株式投資に何を求めるか

私には今後の相場展開は分からない。知るよしもない。分からずとも株式投資はできる。私は、以前から「情報」「材料」での売買は一切行わない。さらに、投資の基本中の基本とされるファンダメンタルズさえも見ない。

「情報」「材料」「ファンダメンタルズ」などを勘案することがない。そのため、これらの判断に迷うこともなく、気楽な売買ができる。投資を長く続けていくにはストレスを溜め込まず平常心を保つ、この気楽さも必要であると私は考えています。

私の売買は、相場が下降すれば空売りを増やし、相場が上昇すれば買いを増やす。これらをシステムに従って忠実に発注するだけです。

私も経済ニュースなどはよく見る。「相場は今後上昇する」などのメディアの情報も、あれこれと考えをめぐらしている。今後の景気予想などもしてみる。そして、今後の株式市場はこうなるだろうなどと考える。

しかし、私の運用手法は完全なシステム売買であり、その売買は忠実にシステムの指示に従っている。そのため、時にはシステムの指示が自分の考えと相反することもある。「自分はこのような展開を予想しているのだが、システムの指示が反対なんだよなあ」と悩むことがある。

私は、このような時でもすべてシステムの指示に従って売買する。今までの経験において、自分の予想や判断の多くは外れている。つまり、長期間で見れば、自分の予想や考えがシステムには勝てない。私はそのことを良く知っています。

「情報」「材料」「ファンダメンタルズ」などを一切採用しないという私の考えに、当然ながら反対意見も多いと思います。しかし、それは、それぞれの投資家が投資に何を求めているかによって異なってくると思います。人は、それぞれ異なった価値観持っています。

株式投資に楽しみを求めるのか、株式投資にスリルを求めるのか、株式投資に収益のみを求めるのか、はたまた、株式投資で経済の勉強をするのかなど、投資家によりそれぞれ異なっているものです。ここで、投資家の価値観の違いを云々しても始まらない。

投資世界は、すべて自己責任であり、その手法や考え方に外部からあれこれ言う必要はまったくないということです。投資家が株式投資に求めるものが明確であれば、自分を信じ、その目的に沿った投資スタンスを取るべきであると考えます。私は、このように考えますが、皆さんはいかがでしょうか。

 

タイムラグ

株式投資で、テクニカル分析を否定する評論家や投資家が多いようです。特に、高い経済知識を持つ学者などは、これらを否定する識者がほとんどのようです。しかし、投資の世界では正しい答えなどないですから、テクニカル分析を無下に否定することもないと思いますが・・・。

理論や知識だけで儲かるのであれば、誰も苦労などしないわけです。理論だけで儲かるのであれば、経済学者などはその最先端を行っているのではないでしょうか。しかし、経済学者が大儲けしたなどの話はあまり聞いたこともない。だからこそ投資の世界は面白いのかもしれません。

そこで、テクニカル分析を採用する根拠について考えて見ましょう。一般に、原因なくして、結果なしと言われるように「原因、結果の法則」に従い、根拠のないものは、いずれ破綻すると言われています。そのためにも、テクニカル分析を採用する根拠を明確にしておかなければなりません。

株式投資は、企業業績を検証し、好調な銘柄を買い付けるということが一般的です。これらは正しい考えです。しかし、その投資スパン、つまり投資期間を考えてみるといかがでしょうか。

5年、10年という投資スパンであれば、ファンダメンタルズによる投資が一番優れていると思います。しかし、皆さんも業績が良いので買い付けしたものの、株価が一向に上がらないという経験をされたこともあると思います。

その原因は何であるか、その理由には「業績の内容と株価の変動が、短期的には一致しない」という点にあります。

投資というものは、将来に対しての行為であるため、株価は常に、これらを織り込みながら先行するという習性を持っています。そのため、業績が最高の時は株価はすでに織り込み済みとなっている場合が多くあります。

一般的に、株価は業績の6ヶ月から長くて9ヶ月先を織り込みながら推移するといわれています。その根拠としては、投資とは、将来に対しての行為であるということだからです。つまり、業績内容を先取りしてしまうということです。そこに、業績と株価の「タイムラグ」が発生することになります。

実際に、皆さんも企業情報の予想などを見て、その企業の今後の見通しなどを予測しながら、好調な企業に対し投資するのではないでしょうか。つまり、この時点で、すでに業績の先取りをしているということになります。

しかし、業績が良いというだけで、株価が上がるというのであれば、誰でも儲かるはずです。つまり、このような「タイムラグ」が、株式投資をさらに難しいものとしているのです。

そこで、これは私の独自の考えですが、株価が、業績の6ヶ月から9ヶ月先行するとすれば、もし、6ヶ月以内の短期売買であれば、業績の数値はあまり役に立たないということにならないでしょうか。

つまり、短期売買においては、ファンダメンタルズは、参考程度に見ればよいのではないかと考えます。このような考えは間違っているかもしれません。ファンダメンタルズ派からはブーイングが起こるでしょう。一般的な投資の常識から外れているかもしれません。しかし、私はこのように捉えて今まで運用を行ってきました。

皆さんは、驚かれるかも知れませんが、私は売買に際し、ファンダメンタルズはほとんど見ておりません。たしかに、持ち株で上昇していない銘柄は、後から見れば業績が芳しくないという銘柄ももちろんあります。

しかし、業績が悪かった銘柄が急上昇して大幅に値上がりすることもあります。上昇相場では、収益率のトップクラスにランクされた銘柄は、いずれもこのような銘柄で、これらは仕掛け後に業績が好転するといった修正を行っています。

このように、後でその業績内容にも納得するのですが、仕掛けの時点では、これらのことは分かりません。よって、私は短期売買を目指していますので、投資対象となる企業の業績はほとんど検証しておりません。このようなことがアウトローと言われる所以かもしれませんが・・・。

要するに、長期投資ではファンダメンタルズは非常に重要な意味を持ちます。しかし、短期売買においては、ファンダメンタルズは参考程度でよいのではないかと考えます。つまり、売買期間が短くなればなるほど、ファンダメンタルズの影響は薄れていくと言うことです。

テクニカル分析を利用するという根拠は、株価は、常に業績を織り込みながら先行するという習性を持っているため、そこに「タイムラグ」が発生する。よって、その分析において、短期売買という条件の下では、ファンダメンタルズ分析よりテクニカル分析が適しているという考え方です。

投資と人生

投資とは長く続けていくゲームである。もし、株式投資で儲かっていれば、まず、株式投資をやめないと思います。やめる場合があるとすれば、その理由はすでにお分かりであると思いますが・・・。

つまり、株式投資は延々と続くゲームである。延々と続くのであれば、その投資家の人生の多くの部分を投資が占めることになります。であるならば、これからも続くであろう投資活動を、人生という長いスパンからも考える必要があるのではないでしょうか。

投資の世界は非常にメンタルな世界です。持ち株が上がれば嬉しいし、下がれば悔しい思いをします。数値を追いながら一喜一憂します。人間の心理として、持ち株が同じ幅だけ上がった時と下げた時のインパクトは、下げた時の方が上げた時よりも2.5倍ものインパクト(ショック)があるそうです。

投資の世界は、一般社会と異なる別次元の世界であるということは、当欄でも、すでに述べています。投資初心者にとっては、一般的な常識や知識もキャリアも通用しない未体験ゾーンでもあるわけです。しかも、投資の世界には、もっと大きな問題が待ち構えているのです。

答えのない投資の世界では、間違った情報でも、まことしやかに独り歩きしています。その間違った情報(知識)をインプットしてしまった投資家は、それを排除する術もなく、潜在意識に埋め込まれていきます。さらに投資家は誰でも自分の考えは正しいと思いがちです。

幼少期に埋め込まれた潜在意識は一生消えないと言います。ある意味、その潜在意識が、その人の一生を左右するとまで言われています。これらと同様に、市場に参入した時に得た知識や体験がいつまでも残っているのです。それらが、その後の投資人生を決定付けると言っても、言い過ぎではないような・・・。

私は、ある投資家と話しました。その投資家はキャリアが30年だと言う。れなりに紆余曲折はあったと思いますが、しかし、いまだに収益を上げることができないでいます。何かが間違っているのでしょう。間違ったまま今まで来てしまったのでしょう。

株式投資は、競馬や競輪と違って、投資における経費は売買手数料だけです。そして、上げ下げの確率は50%程度でしょう。ならば、儲ける投資家は半分と言わずとも、三分の一程度はあってもおかしくないはずです。

しかし、現実はそうではないようです。何かがおかしいのです。何かが変。そうです、何かが間違っている、何かが邪魔をしているから収益を上げられないでいるのです。

これは、私の長い投資活動の中から自分の体験も含めて、これらの問題について感じることがあります。そこには、二つの要因があるのではないかと考えています。

まずひとつは、すでに上記で述べましたように、明らかに間違った知識のインプット。それに思い込み。何が正しいか分からない世界では、これらもやむを得ないのかもしれません。しかし、そうも言っていられません。投資で稼がなくてはならないわけですから・・・。

これらも難しい問題かもしれませんが、一時、「欲」という部分を切り離して、投資について客観的な目で見てみたらいかがでしょうか。

もうひとつは、これは非常に困難な問題です。これらは、本来、誰でも持っている人間としての本能の部分です。それは「人間の判断は本質的に損を招く」というものです。これらについては、アメリカの科学誌「サイエンス」にミシガン大学の心理学者が発表した記事があります。

『投資において負けると、なぜか大きな賭けに出て深みにはまってしまう。こうした行動は、損失を取り戻そうとする脳内の反射的な働きに一因がある。儲けた場合より損をした場合の方が「前頭葉内側野」が活発になり、損をした直後には、その損を取り戻そうと、更に大きな賭けに出る傾向が見られた』とある。

投資家であれば、誰でも「損失の恐怖と利益の歓喜」という共通の意識を持ち、人としての感情がマーケットでの正しい行動を狂わせ、そして、全員が負けるというものです。

いつもながら、重い話題となってしまいましたが、投資家各自がこれらの問題に対し、どのように向き合い、どのように解決していくかが、今後の長くなるであろう投資活動の成果につながるものと思います。

私自身もこのような問題と対峙し苦悩し続けてきましたが、年月を経て、ある一定の方向性を見つけ、現在の投資手法に至ったわけです。私の分析システムは、これらの考え方が組み込まれているため、暴落に対しても分析システムを変更することなく、難なく乗り越えたられたのではないでしょうか。

投資家は、これからも投資活動を続けていく限り、これからの人生の多くの部分を「投資」という問題が占めることになります。このあたりで、これらの問題についても、もう一度考えてはいかがでしょうか。

いつもひとりぼっち

当コメントは、いつもネガティブで辛口な解説となってしまいます。たまには、儲かっている投資家の話題も提供してくれとの要望もあります。しかし、私の周りには、そのようなケースがあまりないもので・・・。

しかしながら、株式投資に真剣に取り組み、努力を惜しまない方もいることを嬉しく思っています。当欄が投資の考え方や売買技術が、投資家の皆さんに何らかのきっかけとなり、自立されること望んでやみません。

投資の世界には、その投資手法や考え方は投資家の数ほどあるといわれています。私の考え方も売買技術も数多い中のひとつでしかなく、その思考も他から見
ればアウトロー的(本人は正統派と思いつつ)な存在であることも理解しています。

私は、他の投資手法に対し排他的な考えはなく、常に聞き耳を立てて納得できるところはできるだけ取り入れていこうという考えです。そのため、最年長でありながらも若い投資家達の集まりなどにも、いそいそと出かけていくわけです。投資の世界には、これが正解というものはない、ということでもありますし・・・。

さて、私が株式投資の技術書を出版しているという関係からか、セミナーなどの依頼も多くあります。しかし、私は、一部の知り合い関係以外からの依頼は、ほとんどの申し出をお断りしています。なぜなら、話ベタということもありますが、投資家は虚業家であり、あまり表舞台に立つものではないという考えからです。

最近は、だいぶ変わってきたとは思いますが、依然として額に汗しない仕事は、一般から認知されていないこともあります。日本の文化、国民性からすれば、まだまだと言ったところでしょうか。しかし、投資の世界は、一般社会より厳しい世界であることは、経験者であれば理解していると思います。黙して稼ぎましょう。

投資家は常に孤独であり、精神的なプレッシャーは計り知れないものがあります。その裏返しと言うか、その反動と言うか、投資家同士のおしゃべりは長い。話をすることによって、少しでも心を癒すかのようです。まるで、おばさんたちの井戸端会議のように・・・失礼。

しかし、話をするということは、それはそれで癒されるものです。問題解決とならずとも、話をすることにより何らかの発散ができるのでしょう。私自身も最近は、おしゃべりになったと、よく言われます。

セミナーなどで、それなりの持論を解説するのも、ある意味ではストレスの発散になるのかもしれません。しかしながら、投資手法を延々と解説した後に、受講者から「先生、何か儲かりそうな銘柄はありますか?」には、ガックリとさせられ、更にストレスを溜め込んでしまうことも度々・・・。

セミナーの多くの受講者は、何か新しい投資技法などの解説を期待してきます。また、セミナーの主催者側も最新の売買テクニックなどを披露していただきたいと望んでいるようです。

受講者の気持ちやセミナー主催者側の立場を考えると、それらもよく分かります。しかし、私は投資で儲けるということは、投資技法や売買テクニック以前に、もっと大切なことがあると考えています。

それらについては、当コメント欄でいつもくどくど書いておりますが、投資に対する姿勢やその考え方であると思っています。しかし、私自身も、このような考えは、当初から持っていたわけではなく、長年キャリアを積んで理解したことなのです。

そのようなコメントも、新規に市場に参入してきた投資家の皆さんには、遠回りしないで投資活動を行って欲しいと考えてのことなのですが・・・。それとも、そんなことは余計なお節介なのでしょうか?。

私は、セミナーなどでは、初心者には一番重要な「投資に対する姿勢やその考え方」から話をしようとするのですが、これがまた受けないのです。「そんなこと、どうでもいいから、早く儲かる方法を教えてくれ」と言わんばかりの視線です。誰でも、儲かる投資技法を知りたいと考えるのも当然なのでしょうが・・・。

そのような投資家もしばらくすると、簡単に儲かる方法などどこにもないことを知ることになると思います。どこにも正しい教科書などないのですから、やむを得ないことなのでしょうか。

投資家は、いつもひとりぼっちです。常にプレッシャーとストレスなどの重圧を背負いながら、そして、常に決断に迫られながら歩き続けています。たまには、そのような重圧から開放されたくもなります。

たまには息抜きもしたいものです。投資家同士の他愛ないお話もいいでしょう。趣味に没頭するのもいいでしょう。投資家もこれから長く続くであろう投資活動に対し、何らかのストレスの発散するところを見つけておくべきです。

投資の世界を客観的に見る上でも、こうしたリフレッシュすること、できるところを考えておくべきです。ひとりで考えていると、その考えは必ず曲がっていきます。それらを矯正する意味でも、投資の世界から一時でも離れて、自分を見つめ直す必要があるのではないでしょうか。

読者の声

当欄のコメントを読まれ、ご感想を頂きましたので、一部抜粋してご本人の了解を得て掲載いたしました。(原文のまま)

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■含み損

私は日本人の気質として、含み損が結構好きなのではないかと思っています。

といいますのも、楽して儲けるのは良くないこと、苦労して儲けるのは良いことと、潜在意識に刷り込まれているため、含み損が膨らむと、今、苦労することにより結果的には成功に向けて進んでいるのだと、妙に前向きに考えてしまっているような気がしてなりません。利食いが早いのも、楽して儲けるのはよくない・こういういいことは長く続かないという罪悪感があるからすぐ手仕舞いしてしまうような気がします。 他にもポジションを変動させていくという、テクニック的な問題もあるかもしれませんが、それは中級以上だと思いますので。
■サラリーマン

あとはサラリーマンというコンスタントに収入を得るパターンに慣れきってしまっているのも勝てない理由だと思います。

相場はどちかというと漁のようなもので、天気(相場)が荒れてればそこに魚(利益)はいないどころか自分の船(資産)の安全すらおぼつかない。それに日や季節によってはさっぱり獲れない(動かない)ときもある。逆に大量(大きく動く)の日もある。穀物も同じで毎日収穫できるわけではなく、収穫できる時期は限られていると。

ところが毎日コンスタントにいくら稼ごうとか、毎月分配型のグロソブがヒットするなど、明らかに投資の世界にサラリーマン思考を持ち込んでいることがよく分かると思います。

つまり、投資に必要な「待つ」ことの大切さを分かっていないような気がします。

これは証券会社が常に買わせようとしてるから、常に買うような宣伝になり、その証券マンが言ってることを日経新聞などが真に受けて専門家のコメントとして載せてしまったりするから、さらにその新聞記事(週末コラムなど)を真に受けて信じる素人やFPが多発しているのだと思います。新聞の記事など鵜呑みにするだけではなく、少しは自分の頭で考えたらどうかと思うのですが。あらゆることに関して。
■最後に

私は投資家のレベルによって次のようになると考えています。

初心者・・・買うことしか考えない。
中級者・・・買うことと売ることしか考えない。
上級者・・・買うことと売ることに加え、待つことも考える。
なんかまとまりがないですが、まとまるように書こうとすると長くなるのでこのへんでやめときます(笑)。

では。
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「損」から学ぶ

私が株式投資関係の仕事をしていると知ると、個人投資家から必ず聞かれることがある。「これから相場は上がりますか、それとも下がりますかね」と。また「儲かる銘柄は何かありませんかね」と。私が「分かりませんねえ」と返事をすると、その尋ねた人は、そのあと相場に対する自説を延々と語り始めます。

また、知人が相場の上昇を見てか「株式投資を始めたいんだが」と聞いてくる。私は、必ず「やめておいた方がいいよ」と返事をする。すると知人は、やはり投資に対する知識が豊富であるがごとく自説をとくとくと話し始める。私はいつも聞き役である。

私は今まで、そのような問いかけに賛同する意見を述べたことはない。なぜなら、彼らの自説を聞いて直感的に「これでは無理だ」と感じるからであり、また、友人を失いたくないという気持ちからでもある。

最近、彼らの噂を聞いた。「○○は、千万円単位で損をしたらしいよ」と。また、「○○は、音信不通だよ」などと、さびしい限りです。もっと厳しく止めておけばと思いつつも、余計なお節介とも・・・。

投資市場に大いなる夢を抱くのは結構なことですが、多くの人は市場の本当の怖さを知らなすぎる。「老後のために少しでも足しになれば」「退職金が出たから」などと、その考えが安易過ぎる。本音の部分では「生き馬の目を抜く市場を何と心得ているか」と問いたい気持ちです。

私は、そのような問いかけに「何もしないで、貯金しておいたほうがいいよ。物価も安定しているようだし・・」と答えています。もし、投資市場に参入するなら知識や技術を習得するなどの相応の準備と努力をしてから参入していただきたい。

しかし、投資知識を得たからといって儲かるわけではない。投資市場は学歴主義ではありません。もちろん知識は必要ですが、投資の世界は知識の上の次元にあることを理解しておかなければなりません。

プロスポーツの世界などを見ても、スポーツで稼げる人は、ごく一部でしかない。プロを目指す多くの人たちは、夢を抱くも夢破れて去っていく。プロのアスリート達もそれまでの過程は、血のにじむような努力を重ねてきたに違いない。そして、稼げるプロのスポーツマンになったのである。

これらに対して、投資家はいかがだろうか。投資市場に参入するにあたって、どのような勉強をしてきたのだろうか。はたして、血のにじむような努力を積んできたのだろうか。プロのスポーツマンと同様に投資の世界で稼げるのも、ごく一部でしかないのに・・・。

しかし、現実を見てみると投資を学ぶのに、それ相当の環境が整っていない。今は金融の時代だと言うのに・・・。これから大学に行って経済学を学びますか?。大学には高名な経済学者がいるものの、大学自体がデリバティブなどに手を出し大きな損失を出している。経済学者達は何をしていたのだろうか。

経済学者が投資の世界で成功するだろうか。私も大学で経済学を学んだ一人ではあるが、今では何を学んだかさっぱり覚えていない。投資の世界は、理論だけではなく、更に統計学、心理学、そして実践と、多岐にわたり学ばなくてはならない。投資の世界は異次元の世界であることを理解しておかなければならない。

では、書店に並んでいるノウハウ本ではいかがだろうか。それらの書物も以前から当欄で説明したとおりです。出版社は、その内容はともかく、たくさん売れればよいということから、いきおい、それらの本のタイトルも人の目の引くものになる。

では、ウェブサイトはどうだろうか。これらはウェブサイトの特徴でもあるが、ブログのように作者の姿が見えてこない。ハンドルネームなどといって、その正体を隠しての発言が多い。「こんなもの誰が信用するか」と思いつつもつい見てしまう。情報が氾濫していて、その真偽の判断が付かない。

このように、現状では投資について真に学ぶところも学ぶ書物もない。投資の世界には「これが正しいという答えはない」というからなのだろうか。それとも、他人の損は自分の利益と考えるからなのだろうか。

このような状況下、環境下では、たとえ投資金を持っていても、投資市場で利益を上げていこうとするには現実的に無理がある。とにかく、実践で学びなさいというのだろうか。実践して投資金が底をついたらどうすればよいのだろうか。

話が堂々巡りになってしまいましたが、私にも結論は出せない。わからない。ただ、私の長い投資体験の中から、こうすればよかったという反省点はある。

そのひとつは、投資の世界に足を踏み入れなければ良かったのではないかと・・・。しかし、これは投資の世界に入らなかったら、今頃どうしていたかと考えると、良かったか悪かったかの結論が出ない。

もうひとつは、市場に参入して分かったことですが、それはやはり「リスク管理」「リスク・マネージメント」の重要性をつくづく感じました。一番辛かったのは、たくさんの引かれ玉を持ったまま暴落に遭ったことです。立ち上がれないほどの辛い思いをしました。

新規参入者や初心者は、市場での大儲けを夢見て売買を始めますが、上記のように、投資を学ぶ環境の無い現状では、投資技術も知識も少ないはずです。

そこで、私の体験からですが、たとえ投資知識が少なくても、リスク管理、つまり「損切り」を徹底すれば、長い間、市場にとどまることも可能となるはずです。そうすれば、その間に実践で多くの経験や体験を積むことができるはずです。

何事でも、実践でのたたき上げほど強いものはない。老婆心ながら、くれぐれも私の二の舞にならないように・・・。

投資の世界では、その知識は広範囲にわたります。しかし、我々個人投資家では、これらにも限度があります。まずは、投資で一番重要なことから学ぶべきではないでしょうか。

個人投資家が投資を何から学ぶかは現状では難しい環境にありますが、私が実体験を通して言える事は「損」から学ぶことがベストではないかと考えています。

時代背景 (サイクル)

振り返ると、バブル崩壊後に「失われた10年または20年」などと言われ久しくなりますが、その後はやや落ち着きを見せていますが、体感的に好景気とはなっていないようにも思えます。

景気と同様に国の盛衰には、大きなうねりがあることも理解しておかなければなりません。一般的に国の盛衰は、成長期から始まり、繁栄期、その後の衰退期とおのずと運命付けられているのではないでしょうか。かつては、「ローマは一日にして成らず」と言われたローマ帝国でさえも滅亡しています。モンゴル帝国も然り。

長い世界の歴史から比べれは、我々が生存中に経験できることなどごくわずかです。そのわずかな経験や体験から、現在の景気や今後の見通しなどを判断しているわけです。しかし、それらは国の盛衰などと密接にかかわり、非常に大きなサイクルで変動していることも忘れてはなりません。

時代の変化は、過去の歴史の中から学ぶほかありません。日本の歴史を振り返ってみると、戦後の移民(海外への出稼ぎ)の時代から始まり、加工貿易の「メイドイン・ジャパン」の物の時代、その後の金融の時代と大きなサイクルで変動しています。

つまり、人から物へ、そしてお金へと変化していくわけです。国の成長段階は、おおむね上記のような経過を辿るものですが、さしずめ、現在の中国は物の時代、つまり「メイドイン・チャイナ」の時代でしょう。米国の金融の時代は、そろそろ、終焉に近いのでは・・・。

日本においても「物づくりのニッポン」と言われていますが、これらを現在の時代背景と照らし合わせてみたらどうでしょうか。今、物づくりの中小企業が苦しんでいます。

さて、金融の時代の後には何がくるかご存知でしょうか。賢明な皆さんは、すでに理解されていると思いますが・・・。現在、我々はどのような時代に、そして、これからの時代はどのように変化していくのかをしっかりと認識すべきです。そして、その上に立って、時代背景を味方にして行動すべきです。

ビジネスにおいても投資においても、その時代の流れ、つまり、時代背景を正しく理解していないと、その波に乗り切れないということになります。時代背景を読むということは、今後、生活していく上では非常に重要な要素となります。

さて株式市場ですが、過去を振り返れば、株式市場はランダムであると言われるも、ある一定のサイクルで変動しているのが分かります。これらは、実体経済であるファンダメンタルズや需給関係により、ある程度のサイクルが存在します。

巷には「30年サイクル説」なるものがありますが、これは一人の人間が働いている年数であり、世代が変わればその価値観も変わり時代が変化していくというものです。

しかし、個人投資家である我々には、これらについて深く理解することは困難であり、ましてや、これらを株式投資に活用するなど至難の業です。景気サイクルと持ち株との関係など、どのように関連付けしてよいのかも分かりません。

そこで私が考えついたのが、ヘッジ比率(ポジション比率)です。ヘッジ比率を過去にさかのぼって、時系列にグラフ化すると、それらは、ある一定のサイクルを描いているのが分かります。

ヘッジ比率とは、実際にはいくつかの指標を組み合わせたりして数学の公式などをを利用して算出されるものですが、簡単に述べれば上昇している銘柄と下降している銘柄の比率ということになります。

これらにより、投資家がおかれている現在の位置を確認することができますし、運用においても投資資金の適正な配分を可能としています。

ヘッジ比率を採用することにより、株式投資の世界が見違えるほど変わってくるはずです。すでにヘッジ比率またはそれらに類似した指数をご利用されている投資家の方には、ご理解いただいていると思いますが、ヘッジ比率を採用することにより、大暴落などを凌ぎきり、退場することなく運用を続けることができるはずです。

私はヘッジ比率(ポジション比率)は、投資家必携のユーティリティ・ツールであると自負しています。

酒と女とレバレッジ

前々回および前回のコメントの『「危険な傾向だ」と・・・』について、投資家の皆さんから再び多くのご意見を頂きました。このように、反響が大きいということは、いかにこれらの金融派生商品で売買されている投資家が多いかということの裏返しでもあると思います。

実際に自分が金融派生商品で売買しているので、このような内容の解説に少し怒りと不安を感じたのかもしれません。そこで、これらのテーマについて、もう一度解説してみたいと考えました。これらについて私の本音の部分で説明いたします。

時代というものは、その良し悪しにかかわらず、常に一定の方向に向かって進んでいくものです。現在で言えば、温暖化の問題や環境問題など、世界中がこれらの問題を解決するべき議論がなされています。

過去には、第二次大戦に向かって、国民が一丸となって突入していった経過においても同じことが言えるのではないでしょうか。このように、世界は、あるいは国は、善悪は別として、ある程度、ある一定期間ひとつの方向に向けて進んでいくものです。

これらの結果、常に行き過ぎが起こり暴走することもあります。リーマンショックにおける金融危機なども同様ではないでしょうか。

金融派生商品も同様に、その良し悪しは別として、時代のニーズであり、現在の金融界のひとつの方向と受け止めることになります。それらの結果は、今後の歴史の中で結論付けられることになるでしょう。

私は、常々申し上げておりますが、規制や倫理観の無い「自由」は「暴走」し、最後には「崩壊」という道を辿ることになると・・・。資本主義の基本は自由経済です。しかし、資本主義の発展とは、技術の向上や資本の蓄積によってもたらされるだけではないのです。

昔の話になりますが、共産主義のソビエト連邦が崩壊し、当時ロシアのエリチェン大統領が資本主義に転換を図りました。そして急激な技術革新や資本の蓄積にまい進しました。その結果はいかがでしょうか。

技術革新や資本の蓄積はある程度できたものの、いまだに経済は低迷している状況にあります。結果的にマフィア経済になってしまったのです。何がいけなかったのでしょうか。それは資本主義の根幹である技術革新や資本の蓄積のほかに、資本主義における高度な倫理観がなかったためです。

資本主義の倫理観とは規律や法令順守や自己規制、モラルであり、これらが欠如していれば資本主義国家は成り立たないのです。投資においても自己規制やルールの遵守を怠れば暴走し崩壊を辿ることになるのです。

投資は金融派生商品のように高いレバレッジでの運用が可能な商品があります。これらのレバレッジは、投資家の判断により自由に設定できます。しかし、金融派生商品に限らず投資では、そこに投資家のよほどの自己規制がなければ、必ず「自由」→「暴走」→「崩壊」を辿ることになります。

面白いことに、最近の話題に、身を滅ぼすものは「酒と女とレバレッジ」とまで言われています。反面、これらを上手に使いこなせれば、これ以上の幸せなことはないとも言えますが・・・。「酒と女とレバレッジ」は、諸刃の剣でもあるのです。

『「危険な傾向だ」と・・・』について、私の心配として、前回ご説明しましたように、これらの商品を単独で売買している投資家の多くが市場から退場(私の知る限り)して行ったという事実がひとつ。

もうひとつは・・・、これが私の本音の部分です。金融派生商品は、小資金で高いレバレッジでの売買が可能ですが、これらの売買を小遣い程度の小資金であれば、たとえ損をしても生活に支障をきたすことはないでしょう。また、資金をためて再チャレンジすることができます。

しかし、これらを大きな資金で本業として運用するとした場合はどうでしょうか。本業を別に持ち、余力資金で売買しているには、金融派生商品も刺激的で面白いと思います。たとえ負けたとしても逃げるところがあるのですから・・・。

しかし、大きな資金で、これらを生活の糧とした場合、金融派生商品を単独で、しかも高いレバレッジで運用できるかということです。私はこの点を強調して言いたいのです。もし、投資で生活をしていたとすると、万が一、失敗したら、もうどこにも逃げるところはないのです。私の本音はここにあるのです。

ネガティブな解説で申し訳ないのですが、以前に、外国(イギリス)の銀行でカリスマと呼ばれたトレーダーの収益が、その銀行の収益の半分を稼いでいたという話を聞きました。しかし、そのトレーダーが、ちょっとしたつまづきから巨大な損失を被り、結果的に、その銀行を倒産させてしまったという実際の話があります。やはり、これらも金融派生商品の単独の売買だったようです。

金融派生商品の悪い面ばかり書き綴ってしまいましたが、金融派生商品も本来の正しい利用であれば、その限りではないことも申し添えておきます。

金融派生商品に限らず、投資の世界は、風船と同じように、ある程度のところまで膨らまして終わりにすればよいのですが、人間の欲には限りがないように、膨らましすぎればいつかは破裂してしまいます。投資とは、このようの人間の欲(弱い)の部分を突いてくるものです。

では、なぜ金融派生商品は高いレバレッジが可能なのでしょうか。その理由については、あまりご存知でない方も多いかもしれません。株式はレバレッジが3倍程度であるのに対し、金融派生商品は何十倍もの高いレバレッジが可能です。その差には何があるのでしょうか。それは、そもそもその利用方法が「保険として利用するべきものである」という理由からです。

火災保険を考えて見ましょう。たとえば家屋に2000万円の保険を掛けたとしましょう。一般に、その保険の掛け金は年間数万円といったところでしょうか。万一のことがあれば、掛け金数万円で2000万円の保証が得られるということになります。そのレバレッジは相当なものです。

同様に、金融派生商品は保険の役割をするものですから、少ない資金で大きなレバレッジを効かせることが可能となるわけです。くどいようですが、金融派生商品の本来の利用方法は、ヘッジとして利用するために開発された商品なのです。ある意味では、掛け捨ての保険と考えることも・・・。

何事も、その利用方法を正しく理解して使用しなければ本来の機能を発揮できないものです。正しく利用しなければ、たとえ、一時的に収益を上げたとしても長くは続かないということです。

これからも長く投資の世界で活動して行きたいと考えるならば、これらの点について深く理解し、正しく運用していただきたいものです。

私は、このように投資活動を長期的展望に立って「投資の世界で長く生きていく」という視点から解説しています。当コメントは、今後も常にこのような考えに沿って解説して参りますので、何卒ご理解いただきたいと思います。

ひとりごと

投資の世界は、長期的にはファンダメンタルズをベースして変動し、短期的には、需給関係で上下するものです。たとえば、株価が1000円になったとします。この1000円で利が乗ったので利食いしようと考え、決済する投資家がいます。

一方、1000円は、まだ割安であると判断して新規に買い付けに入る投資家もいます。つまり、同じ価格でも決済する投資家がいれば、新規買いをする投資家もいるわけです。投資で利益を上げようとするのが投資家ですから、その目的は一緒のはずですが・・・。

同じ価格で一方は売り、他方は買いとなって初めて値が付くことになります。それらが出来高となって現れてきます。これらの繰り返しが市場を変動させる要因となります。もし、すべての投資家の考え方や投資手法が同じであれば、株価は一方通行になるか、または変動しなくなるわけですから・・・。

これらは目的は同じであるものの、その行動は異なっています。それは、それぞれの投資家の投資に対する考え方、投資手法、資金量などが異なっているからです。投資家も十人十色であって、それぞれの価値観を持って行動します。

そこで、当コメントの解説につきましても、たった一人の投資家の価値観で解説していますので、これらの解説に対して異論や反論があるのも当然です。私は、これらを理解し、すべてにおいて受け入れているつもりです。

世の中には、素晴らしい才能を持った人がたくさんいます。投資においても、動物的な勘が鋭く、カリスマと呼ばれる投資家もいることでしょう。人間には、それぞれに得意とする分野があるものです。才能や価値観は、それぞれ異なって当然です。

ましてや、ただ長く投資の世界にいるだけという、ひとりの投資家の考え方など間違っているところも多くあるでしょう。一介の投資家が、多くの投資家に対し「投資とは何ぞや」などと解説するのも、おこがましい感じもしているのですが・・・。

人間は、今まで生きてきた過程において、いろいろな経験や体験を通して、その人なりの人格が形成されるものです。ですから、投資の世界においても、それぞれの価値観は異なっても良いわけです。

私が、先週コメントした『「危険な傾向だ」と・・・』にしても、私が歩んできた投資人生において直感的に感じたものであり、私自身の経験や体験から無意識に出てきたものであり、これもまた、私自身の中では否定できないものです。

「そんなのは古い考えだよ。時代遅れだよ。」という声も聞こえてきそうですが、これらに対しても、金融派生商品は時代のニーズであり、その性格を理解し、リスクヘッジとして利用すれば非常に効率的な運用が可能であることも理解しています。

このように世の中は常に変化して、とどまることを知らない諸行無常の世界であることを理解しつつ、ご意見や反論には自戒を込めて受け入れているつもりです。

「危険な傾向だ」につきましては、現在、実際にオプションやFX、先物、仮想通貨等を実践している投資家からは反論が出てくるのも当然です。これらの金融派生商品を売買している投資家の気持ちも十分に理解しているつもりです。先週のコメントに、『かつては、私もそうであったように、若い投資家の気持ちは理解できる』と説明してあります。

また、『投資の世界も常に進化し、金融派生商品などもどんどん開発されてきていますので、当然の傾向なのかも知れません』と、受け入れているつもりです。

しかし、若い投資家の気持ちを理解しつつも、現実の世界に目を向けてみると、これらの派生商品を単独で売買をしている投資家が、私の周りから一人減り、二人減りと消えていく悲しい現実も見ています。私には、これらのインパクトが強かったためか「危険な傾向だ」と直感的に感じたのかもしれません。これも事実です。

当然ながら、これらの派生商品の本質を正しく理解し、確実に収益を上げている投資家がいることも知っています。私は、これらの事実は事実として直視し、理解しているつもりです。

「自分の投資法が最高」と、誰でも、現在使用している投資手法やその考え方をベストと思っています。当然です。その投資手法が自分の価値観に合っているのでしょう。だから、現在も自信を持って、その売買法で運用しているわけです。しかし、自分の投資手法以外をすべて否定することはいかがなものでしょうか。

すでに述べましたように、人間は、それぞれ価値観が異なります。よって、他の投資家の考え方や投資手法を否定すべきではないと考えます。『それらの考え方や投資手法は、自分には「なじまない」』と理解すべきではないでしょうか。投資の世界には正しい答えはないわけですから・・・。私はそのように捉えています。

当コメント欄は、長い間、投資の世界で生き抜いてきた、孤独なひとりの投資家の経験や体験の中から生まれた、投資に対する「ひとりごと」と理解していただければ嬉しく思います。

虎の子の資金を失わないように

一般的に、家を買うために銀行から住宅ローンを受ける場合、景気動向や金利情勢により多少の変動はあるでしょうが、通常、頭金は20~30%の現金を入れて購入するものでしょう。

頭金の20~30%は、長年培われてきた経験則やデータに基づいてはじき出されたもので、双方にとって無理のないところなのでしょう。これらにより住宅ローンで家を買う立場の人のレバレッジは、3倍から5倍ということになります。

貸出先である銀行も、この程度であれば債権の回収が可能と踏んでのことです。しかし、デフレが続けば、その担保となる土地などが値下がりし、担保割れということも起きてきます。

担保割れとなれば、債権の回収ができなくなる可能性が発生し、時には追加担保を要求されることもあります。このように景気動向によっては、貸出先である銀行側にもリスクが発生してきます。

一方、借り入れ側においても、景気低迷により収入が減少し、ローンの返済が危ぶまれる可能性も発生します。購入した土地が値下がりすれば、自宅を処分しても借金だけが残るということにもなります。最近は、住宅の競売が増加しているとのニュースも聞かれます。

このように、景気低迷となれば、貸し出し側、借り入れ側双方が痛手を被る結果になります。以前のリーマンショックは、このようなサブプライムローンをきっかけに発生したものです。資本主義は、緩やかなインフレ状態の中でしか効率的に機能しないものです。

景気低迷により金利も低く抑えられているため「利息も少ないし、今後のために何かに投資しなければ」という考えで、投資市場に参入してくる投資家も多いようです。しかし、金利は景気動向により決定されるものであって、現在のように、消費者物価もあまり上がらない状況では、あえてリスクのある投資などには向かわなくてもよろしいのではないでしょうか。ミイラ取りがミイラにならないように・・・。

さて、上記の解説は、レバレッジが3倍から5倍でも景気動向によっては、双方にリスクが発生するという説明ですが、なぜこのような説明したかと言いますと、実は、私がある会合に出席して感じたことについて説明しようと思ったからです。

その会合は30代が中心の投資家の集会でした。いろいろと話を聞いているうちに感じたのですが、それは「株式投資」の話がほとんど出てこないということです。話の中心は、「オプション」「FX」「先物」、更には「仮想通貨」「CFD」に関することでした。その主催者にも聞いたのですが「最近は株式投資は少なくなっているようです」との話でした。

オプション、FX、先物、仮想通貨、CFD等は、小資金での売買が可能であり、非常に大きなレバレッジでの取引ができ、大儲けが期待できる商品でもあります。つまり、ハイリスク・ハイリターンの取引となります。

会場では、それらについて皆さん得意げに話をしていました。たしかに書店に行っても、オプション、FX、先物、仮想通貨などの書籍が幅を利かせているのは事実ですし、証券会社も一生懸命にセールスしているようです。投資の世界も常に進化し、金融派生商品などもどんどん開発されてきていますので、当然の傾向なのかも知れません。

そこで私は尋ねてみました。「株式投資はどうですか」と。すると「株はかったるくてやってられないよ。買ってじっといつまでも待ってることなんかできないよ。儲けも少ないし・・・」との返事が返ってきました。

最近の若い投資家は、このような考えでオプション、FX、先物、仮想通貨などを中心に売買しているのかなあと思いました。いろいろと参考になりました。しかし、私は直感的に感じました。「危険な傾向だ」と・・・。オプション、FX、先物、仮想通貨などの本来の利用の方法を理解しているのだろうかと。

若い年代の人は動きが機敏であるし、デイトレードなどで売買を行っても、その反応は早く、思った価格での売買も可能でしょう。また、集中力もあるし、モニターとにらめっこしての長時間の売買も可能でしょう。それより何よりも、リアルタイムに動く変動が刺激的なのでしょうか。

私が感じたもうひとつは、若者ゆえにその投資資金は少ない。少ない資金で低い利回りでは利益も小さく物足りない。そのため、いきおい大儲けを狙い、レバレッジを大きくかけることのできる商品の売買に走るのではないか・・・。かつては、私もそうであったように、若い投資家の気持ちは理解できる。

しかし、上記のようにレバレッジが3倍から5倍であってもリスクは生ずる。レバレッジもほどほどにしないと取り返しのできないことにもなりかねない。そして、それらの商品の正しい利用の方法も・・・。これらのことを十分頭に叩き込んでから売買していただきたいものです。

老婆心ながら、「急いては事を仕損ずる」「急がば回れ」ということわざがあるように、あせらず足を地に付けて売買すべきであると思うのですが・・・。オプション、FX、先物、仮想通貨などは、それなりの専門知識を必要とします。「大儲けかできるから」などと安易に考えていると大怪我をすることになりますよ。

株式投資家が市場に参入して退場するまで4、5年と言われています。FXなどでは、退場するまで4、5ヶ月とも言われています。知識も乏しく、投資金も少ないのでは、すぐに強制退場させられます。これらを裏付けるかのように、今回、会合に集まったメンバーは以前の半分以下であり、出席したメンバーも大半入れ替わっていた。

投資市場は、そんなに甘いところではありませんよ。ブームに煽られ、証券会社の甘いささやきに乗せられて、虎の子の資金を失わないように・・・。

「ブームはバブル」なのですから・・・。