己のほかに敵はない

最近システム売買を希望する投資家が多くなってきた。なぜ、システム売買を希望するか聞いてみた。おおむね次のようなことであった。

『今まで長い間株式投資を実践してきた。しかし、成績はいまひとつ。証券会社のアドバイスも受けた。投資顧問にも入会した。株価分析ソフトも購入して売買してみた。ネットのあらゆる株式サイトも覗いて情報収集もした。ありとあらゆる売買法もテストしてみた。一時的に儲かるときもあるが継続しない。結局儲からない。昨年の相場の下げで追証となり、持ち株を投げた。利益が一瞬に消えてしまった。もう、精神的にズタズタですよ。何がなんだか分からなくなってしまった。しかし、株式投資は好きだし、何とか継続していきたい。そこで、システム売買であれば、何も考えずに売買できるし楽だし、うまく行くのではないかと思う。』

これらの理由により、システム売買に移行したいと考える方もいるようです。

しかし、私に言わせれば、このような投資家がシステム売買に移行してもうまくいかないと思う。なぜなら、そこに根本的な間違いがあるからです。

証券会社や投資顧問のアドバイスを受ければ儲かると考える。株価分析ソフトを利用すればすぐにでも儲かると考える。ネットの株式サイトには、おいしい情報があると考える。これはすべて間違いです。すべて他力本願です。冷静に考えれば誰でもわかることです。欲が絡めば見えるものも見えなくなってしまうものです。

私は常々、株式投資で利益を上げるには、自分の確固たる売買ルールを確立し、そして、それらをひたすらロボットのようになって続けることであると申し上げてきました。これがシステム売買の原型です。しかし、ここでの「確固たる売買ルールの確立」より、それらの売買法を「継続する」ということが、いかに難しい問題であるか知らされることになります。

ある投資家が、一念発起して「この売買法で実践しよう。その売買ルールを厳守し実行あるのみ」と固い決意をして実践に入ります。しかし、2,3回続けて負けると、その固い決意がぐらついてきます。その後、半信半疑ながら続けていくと、また負ける。この時点で、それらの売買法を放棄することになります。そしてまた、次の売買法へと・・・・。これではいつまでたっても自分の投資法など身に付けることなどできません。どこにも、ずば抜けた投資法などないことを自覚するべきです。

株式投資は、恐怖と歓喜と欲望の世界です。感情は投資家自身の問題です。この問題は投資家自身が解決しなければなりません。誰も手助けはしてくれません。たとえ、どんなにすばらしい「システム売買」があったとしても、これらの問題解決なしには継続的な運用は不可能です。

長い相場の歴史の中で専門家が出した結論は、『人の判断は本質的に損を招く』ということでした。投資家は誰でも共通の意識を持ち、感情がマーケットでの正しい判断や行動を狂わせ、そして、全員が負けると言うことです。相場では、感情という己の敵を切り捨てることです。

Copyright(C)SPS研究所 照沼佳夫
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