してはいけないこと、しなければならないこと(その1)

昔あるところに「徳七」という男がいた。彼は相場に精通し「売りの徳七」と言われ相場師として有名な存在であった。売りが得意で、大相場に対し大量の資金にまかせて売り上がり巨利を得ていた。

売り上がり、つまり売りナンピンである。ご存知のように「天井三日、底百日」といわれるように天井の期間は短いため、資金が豊富にあれば売り上がりも可能であり、成功の暁には大きな利益を得ることができる。彼はこのような手法で相場を張っていた。

そののち、戦争終結後の未曾有の好景気に対しても売りに向い、売りナンピンを重ねていった。しかし、相場は彼の売りナンピンにもかかわらず熱狂相場となった。「売り絶対有利」と確信していた彼は、熱狂相場に対し強烈に売りまくった。

しかし、売っても、売っても上がる相場に彼の資金は底をつき、破綻寸前に追い込まれていった・・・。

そこに大手銀行の資金提供の申し出があった。彼も相場師ながら人格者であり、各方面で顔の聞く存在であったため、このような資金提供があったと思われる。現在では考えられないことではあるが・・・。

その後相場は暴落し事なきを得たが、彼は勝つまで売り続けていたにちがいない。もし、大手銀行の融資がなかったら彼は破産していた。薄氷を踏む思いであったろう。彼「徳七」は、現在の大手証券会社の創業者である。

海外の名門銀行のトレーダーは、一人でその銀行の収益の五分の一を稼いでいた天才トレーダーであった。あるとき彼は小さなミスを取り戻すためナンピンをした。過去の実績から自信過剰となりナンピンを繰り返した。

結局、彼は巨額な損失を出し、歴史ある名門銀行を倒産させてしまった。

無限の資金と忍耐力があればナンピンは必勝法となりえるが、そうでなければ破産への道をたどることになる。相場において「ナンピン」は絶対してはいけない行為である。

Copyright(C)SPS研究所 照沼佳夫
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