初心者のための信用取引(その1)

最近株式投資を始めた投資家より信用取引についての質問が多い。信用取引の詳細についてはいろいろなサイトなどに詳しく述べられていますので、信用取引をまったく知らない投資家はそちらをご覧いただきたいと思います。

信用取引には「制度信用取引」と「一般信用取引」の二通りの方法があります。「制度信用取引」は、証券取引所に上場している株券等を対象とし、金利、品貸料及び返済期限等が証券取引所の規則により一律に決定されている信用取引です。「一般信用取引」は、証券取引所に上場している株券等を対象としますが、金利、品貸料及び返済期限等は、投資家と証券会社との間で自由に決定することができる信用取引です。

以下に述べます信用取引については「制度信用取引」について解説いたします。一般に信用取引は「資金の三倍まで取引できる」「信用取引は怖い」などのイメージではないかと思います。これらの考えはあまり正しくない認識ではないでしょうか。

信用取引では資金の三倍まで売買は可能ですが、資金の三倍まで買い付けして、それらが30%以上引かされてしまったら元金はゼロになってしまいます。一般には手持ちの株券などを担保にして信用取引をするのでしょうが、このような場合、相場が10%以上下落した時は、やはり元金はゼロになってしまいます。なぜなら、相場下落時には、担保とした株券の評価も同様に下がってしまうからです。

このようなことから「信用取引は怖い」ということになるのでしょうか。信用取引の本来の利用方法は、現物株を何らかの理由により処分できない場合に「つなぎ」などにより下落分を保全する意味合いでヘッジなどに利用することが本来の利用法であると考えます。

信用取引の本来の利用方法を説明せず「資金の三倍まで取引できる」ことを前面にアピールする証券会社がいかに多いことか。証券業界の体質やモラルが問われるところです。業界関係者は株式初心者に対して、利益至上主義に走らず、もう少し株式投資の本質的な教育やアドバイスを行うべきであると考えます。そうすることにより、個人投資家も増え業界の活性化もはかれるのではないでしょうか。

(次回へつづく)

Copyright(C)SPS研究所 照沼佳夫
無断転載厳禁