決断

昨年から問題となっている「サブプライムローン」は、信用度の低い層への高い金利での貸付であり、その住宅ローン全体の13%にも及ぶと言われています。これらのローンが債権化され世界中にばら撒かれているようです。当面の混乱は一応収まったようにみられますが、まだまだ予断を許さない状況にあると考えます。

投資家であれば当然ながら、これらについては理解しているものと思います。しかし、これらの問題は以前から言われていたことではありました。

これらの問題は株式投資家にとっては材料であり、材料で売買されている投資家にとってはマイナス材料となるのではないでしょうか。マイナスの材料であれば、買いはストップして、または少なくして空売りに入るべきではなかったでしょうか。

実際にサブプライムローン問題は表面化していたわけですから、材料で売買している投資家は、このあたりの対策は完璧にできているのではないかと思うのですが・・・。

現実はどうでしょうか。「これらの問題は知っていたのだが」「日本株には影響ないと思ったので」「儲けが出ていなかったので」「相場が下がれば切ればよいと思ったが」などと、材料派を自認する投資家であっても、その材料に対する対処法が後手となってしまっているようです。

材料については理解している。情報化社会ではその詳細についても素早く調査することができる。しかし、個人投資家レベルでは、その材料が相場に対してどのような影響を及ぼすかは分からない。ましてや、自分の個々の持ち株に対する影響など分かるはずもない。結局、その影響度などは投資家の主観や裁量に頼らざるを得ないのではないでしょうか。

株式投資において材料、情報などは投資家の都合の良いように捉える傾向が強い。もし、持ち株がすべて「買い」であった場合、このような状況に置かれると、上記のように「日本株には影響ないだろう」「下げれば切ればよい」などと考える。

しかし、実際に相場が下げると持ち株の処分ができない。あれこれと自分に言い訳しながら持ち株を持続する。結局は塩漬けとなる。いつもこれらの繰り返しである。学習効果も発揮できない。

情報、材料で売買することはいけないことではないが、情報、材料で売買している投資家は、これらの点についてしっかりと自覚して取り組まなければなりません。

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ブラックマンデー

1987年10月19日(月)、ニューヨーク証券取引所で平均株価が508ドルも下がる(22.6%)という史上最大の大暴落があった。これがブラックマンデーでした。当時、私自身も株式で運用を行っていましたが、そのすさまじさには驚きました。ほとんどすべての銘柄が値付かずのストップ安の売り気配。今でも鮮明に覚えています。

ブラックマンデーを引き起こした大きな要因としては、当時アメリカの財政赤字や貿易赤字が拡大傾向にあり、更にはドル安でインフレ懸念があった事などがあります。しかし、それにしてもそこまでの下げ幅になるほどの要素は無かったといえます。このブラックマンデーが起きた最大の原因は、大口投資家の「プログラム売り」でした。

大口投資家は投資している株式の銘柄をコンピュータで管理していますが、万一どれかの銘柄が一定の幅を超えて価格が下落した場合、損失を最小限に抑える(損切りする)ため、その銘柄を売りに出すというシステムを組んでいるのが普通です。

ところが、みんながそういうシステムを使っていると、いったん株価が下がり出すと、全員が一斉に自動的に全ての株を売り始めることになり、売りが殺到して株価の下げ圧力が強まり、一気に大暴落を起こしてしまうのです。

また、他にも株価が下がり出した場合、投機筋がまだ株価が高い内に空売りをして、下がりきった所で買い戻して利益を得ようとするので、このような暴落に拍車を掛けてしまう面もありました。

このように、投資の世界ではあらゆるリスクが存在しています。投資家は常にリスクに対しては、細心の注意を払い運用していかなければなりません。

現在、株式市場に参加している投資家の平均キャリアは5年程度と言われています。これらは、2003年の大底からの上昇期間と一致します。つまり、現在市場に参加している投資家のほとんどは、ブラックマンデーのような体験はしていないということではないでしょうか。

投資の世界はサバイバルゲームであり、生き残らなければ収益を上げ続けることはできません。リスク管理、つまり分散投資、ヘッジ、ロスカットや資金管理などのマネーマネージメントをしっかりと行っていかなければなりません。

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トレンドフォロー型の問題点

株式分析手法は数多くあるけれど、その手法が「損小利大」にならなければ継続して利益を生むことはない。感情、欲の赴くまま行動すると必ず「損大利小」になってしまいます。

「損小」と「利大」で、どちらが難しいかと言いますと、当然ながら「利大」の方が難しいものです。初心者の場合は、持ち株が少しでも上がると嬉しくなります。これらと同時に「もし下がったら利益がなくなってしまう」と期待と不安が交錯し、早々に利食いをしてしまいます。

では、「利大」に比べ「損小」は簡単ではと考えがちですが、「損小」もそれなりに難しいものです。「損小」にするには損切りが不可欠となります。損切りができなければいつまでも初心者です。

そこで、損切りについて説明したいと思います。これらは、その考え方について述べるものであって、具体的な手法についての説明ではありませんのでご了承下さい。

まず、ある株価のチャートに任意に横の水平なラインを引きます。このラインは株価の中心あたりでよいと思います。そこで、そのラインを株価が上に抜いた場合に「買い」とします。反対に株価が下に抜いた場合に「売り」とします。

仮に、これらの方法で売買していったとしますと理論的には利益は発生しないことになります。しかし、これらの方法で実際に売買すると損金が発生します。もちろん売買手数料などは考慮しないとします。

実際には、そのライン上での売買ではなく、ラインを上に抜けてからの「買い」、下に抜けてからの「売り」となるわけですから、おのずとそこに損が発生します。その損の幅は統計上10%弱となります。

つまり、仕掛け後に株価が大幅に変動しない場合には、ほぼ仕掛け水準での決済となります。しかし、上記のように仕掛けと同水準で決済したとしても10%前後の損となるわけです。

では、10%前後の損になるのであれば、10%上で切ればという意見もあるかも知れませんが、それができないことは、よく考えれば分かることです。

売買手法としてはトレンドフォロー型の手法であり、株価がある程度上がって「買い」、ある程度下がってから「売り」というスタイルです。つまり、鯛焼きのあんこのところだけ取ろうとするものです。

このような手法もすべてにうまくいくと言うわけではなく、相場のもちあい時期には売買が逆になってうんざりすることもあります。しかし、この手法は基本的には間違っていないと考えています。

これらの手法を実際の売買で見てみると、仕掛け後にうまく上昇となって決済のサインがいつ出るかと見ているが、一向に決済サインが出る気配もない。やっと決済サインが出たら仕掛け水準に戻っていたということは頻繁に発生します。

「さんざん喜ばしておいて結果はゼロかよー」となる。これらについては、その本質を理解できれば納得していただけると思います。これは「利大」にするための方法であり、これらは「利大」にするための犠牲となった銘柄となります。

相場の世界は、リスク(犠牲)があってのリターン(利益)であることを考えれば当然のことではないでしょうか。リスクなしでリターンは望めないものです。これらの投資の基本についてしっかりと認識していただきたいと思います。

しかし、これらを理解しつつも現実問題として、一時は大幅な評価益があったものの、決済時にはトントンあるいはマイナスにはつらいものがあります。これらを解決する方法はないものでしょうか。底値買いの天井売りの手法が・・・。

これらを解決する方法が全くないというわけではないのですが、実際に運用となると当然ながらいろいろな問題が発生してきます。たとえば、その分析に時間がかかりすぎるなどです。最速のコンピュータでも、その計算結果が翌日になってしまうということでは現実的ではありません。

分析に時間をかければ良い結果が出ると言うわけではありませんが、簡単に計算できる手法では、あまり良い成果が得られないという現実もありますので・・・。

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