むかし、むかしの株の話 (1)

登場人物 —————————————————————-

・株鬼   (昔は名相場師と呼ばれていたが、80才を過ぎ、今は曲がりっぱなし)
・花子   (株鬼の娘、小料理屋を営んでいる。父思いである)
・一郎   (元、株鬼の弟子。今も堅実に株式投資を行っている)
・太郎   (一郎の息子。父親を尊敬している)

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ある日、小料理屋の花子が、かつて株鬼の弟子であった一郎のもとを訪ねた。花子は一郎に言った。『父が死ぬ前に最後の花を相場で咲かせてあげたい。ついては、その資金を工面していただけないだろうか。小料理屋を担保に500万円貸していただけないだろうか』と。

花子は続けて言った。『父は研究に研究を重ね「絶対上がる銘柄見つけた」と言っていたので、父に最後の勝負をさせて上げたい』と懇願した。

この話を聞いた一郎は、昔世話になった恩師(株鬼)のことであり、それならば、500万円を用立てしようと花子に告げた。花子は感激でいっぱいであった。その様子を息子の太郎は鋭く観察していた。

株鬼は、好機到来と長年研究してきた銘柄「バブル電気」を絶対間違いないと、借り入れした資金をもとに、信用で目いっぱい買い付けした。株鬼は、「絶対の買い場」として、相場人生のすべてをかけて一世一代の勝負に出た。

その後、「バブル電気」は株鬼の見込みどおり上昇した。しかし、「好事魔多し」と言われるように、至福のときは長く続かなかった。海外からの「○○・ショック」が起こり、東京市場は大暴落してしまった。

このような暴落のさなか、株鬼は失意の中、心臓マヒを起こして死んでしまった。当然ながら「バブル電気」も暴落し、貸した500万円も帰らぬものとなってしまった。

つづく

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