過去の成功体験は「夢」である

株式投資において、過去の成功体験をいつまでも忘れられない。夢をもう一度と何度もチャレンジするものの、いつも夢を砕かれてしまう。そして、こんなはずではないのになあとなる。

たいした投資技術も持たずとも、誰でも儲かるときがある。株式投資とは、その儲けたときが、株式投資の本来の姿であると大きな勘違いをしている投資家が多い。相場の世界は、その道のプロであっても儲けることは難しい。ファンドの成績を見れば良く分かる。

人生に二度や三度は、誰がやっても儲かる時期がある。過去においては、2003年から2006年の期間であろう。この時期であれば、どの銘柄を買っても、レバレッジを何倍掛けても儲かった。新聞の株価欄を壁に張ってダーツの矢を投げて、当たった銘柄を買っても儲かる。「大儲けした」「こうすれば儲かる」という書籍が多く発売されたのもこの時期である。

投資家は、そのような誰でも儲かった時期の成功体験を引きずり、その体験と比較して現在の成績を憂い嘆く。過去の成功体験は自分の実力であったと誰もが思っている。しかし、過去の成功体験は「偶然」であったと反省する者は誰もいない。

「あの時はこんなに儲かった」と、過去の成功体験を話すことは実に楽しい。しかし、もう、夢から覚めるときです。過去の幻覚から解放されるべきです。現状を受け入れるべきです。そして、今の成績があなたの実力であることを理解するべきです。

「株で儲ける方法を教えてくれ」という問い合わせが多い。私もそれなりの話はするが、そのベースがあまりにも違いすぎるためか理解されない。キャリアという問題もあるが、株式投資の本質を理解していない投資家が非常に多い。とにかく「考えが甘い」。相場の世界に「濡れ手に粟」は存在しない。

たまたま儲けた投資家と、どん底から這い上がってきた投資家では話がかみ合わないのも当然かもしれない。本業を持っての投資家と専業の投資家では、おのずと、その考えに違いもあるだろう。本業を持っての投資家には「本業」という逃げ場がある。専業投資家には逃げ場がない。

私の投資に対する考え方は万人向けではない。どちらかと言うと私の考え方は、アウトローに近いかもしれない。一度も就職もせず、塀の上を歩いてきたような投資人生を歩んできた投資家は、誰にも理解されないことを自覚している。そして、孤独である。

紆余曲折の投資人生を送ってくると、その投資スタイルも考え方も「生き残る」ために保守的になる。そして、意識する、しないに係わらず自然と危機管理意識が身についてしまう。生き残るために・・・。

現在、投資活動をしている投資家も、これから10年、20年と投資経験を積めば、きっと私と同じような心境になると思います。それまで、生き残っていればの話であるが・・・。

過去の成功体験は「夢」であったとして、目を覚まして、心新たにして株式投資にチャレンジしていただきたいと考えるものです。

Copyright(C)SPS研究所 照沼佳夫
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