あの人は今(2)

まずは、レバレッジの掛け過ぎが考えられますが、株式投資では、そのレバレッジは3倍程度に過ぎません。レバレッジの掛け方に問題があることは分かりますが、それが決定的な要因とは考えられません。為替の売買などでは何十倍ものレバレッジも可能なわけですから。

私が考えるに、あまりにも短期のスウィング・トレードに走り過ぎ、目先的な売買テクニックに終始しまったことで、近視眼的になり、大きな相場のうねりをキャッチできなかったのではないでしょうか。つまり、相場のトレンドが変化したのに気づかなかったということです。

もし、相場のトレンドが変化したことに気づけば、空売りなどの手法に転換することも可能であったと思います。しかし、過去の栄光が素晴らしかったため、それらを忘れることができなかったのかも知れません。

株式投資とは、長期間にわたり継続して運用するものです。継続運用して初めて収益を上げることができるわけです。彼のように、一時的に収益を上げたとしても最後には、その利益が消えてしまうような投資手法では、長期間にわたり継続して運用もできないということになります。

投資収益が驚異的に伸びなくても、長期間にわたり継続できる売買手法で、リスクを押さえ、時間とともに利益が積み上がる手法での売買が、最終的に投資の世界で勝利者になれるのではないでしょうか。亀のように・・・。

では、長期間にわたり継続して運用するにはどうすればよいのでしょうか。

長期間にわたり継続して運用を可能とする手法として考えられることは、

1.市場のトレンドを判定し、それらに追従した売買を行う。
2.市場のトレンドを無視し、マーケットのリスクをほぼゼロにするマーケット・ニュートラルによる売買を行う。
3.常にヘッジをする。

市場では多くのサプライズがあります。このような捉え所のない市場で長く生き残る方法、そして利益を積み上げていく方法としては、「トレンドの判定」「マーケット・ニュートラル」「常にヘッジをする」の手法が最強ではないかと考えます。

投資の世界では何があるか分かりません。そのためにも「あの人は今」とならないように危機管理は、しっかりと行っておくべきです。

Copyright(C)SPS研究所 照沼佳夫
無断転載厳禁

あの人は今(1)

町で偶然ある人に会った。ある人とは以前に投資仲間の会で何度か顔を合わせ、話をしたこともある。私が「最近はどうですか」とたずねたが返事がなかった。

彼は、投資仲間の会で得意げに自分の投資法の話していたのを記憶している。それも当然であろう、数百万円の資金を億単位までした男である。それだけの金額を稼げば自分の投資手法や考え方に絶対の自信を持つのも当然であろう。

立ち話もなんだからとお茶に誘った。そこで今までの経過などをぼそぼそと話し始めた。やはり、2007年の後半からの相場下落で、破綻寸前までいってしまったらしい。肩を落としていた彼に「これからも頑張ってください」と励まして別れた。

彼の売買手法は短期のスウィング・トレードで、利益が出れば、さらにその利益にレバレッジを掛け、投資金をフル回転させる投資法であった。たしかに、この方法であれば数百万円の資金を億単位まですることも可能であろう。

彼が本格的に株式投資を始めたのは2003年からであった。2003年といえば、相場が大底から立ち上がり、未曾有の上昇トレンドに入った時期でもある。このような時期であれば、売買手法など何でも儲かった時期でもあった。レバレッジを最大限に掛けて回転売買を行っても破綻することはなかった。

長い相場の中には、このような時期が必ずある。今回の相場もそうであったが、過去のバブル期も同様の状況であったと記憶している。相場の世界は、いつも変わらないなあとつくづく感じるところです。

リターンが大きければ、そのリスクも大きいことは誰でも知っていることですが、彼はそれらを身をもって体験した。彼もそれなりのノウハウは持っていたと思いますが、決定的な間違いは何だったのでしょうか。

Copyright(C)SPS研究所 照沼佳夫
無断転載厳禁

投資家必修 三題(2)

もうひとつは、皆さんも体験されていると思いますが、「株式投資の世界は、一般社会とは異なる別次元の世界」であると言うことです。

株式市場に参入すると、一般社会で経験したことは、ほとんど役に立たないことを痛感します。会社でトップまで上り詰めたキャリアでも、株式投資の世界では、その経験は、ほとんど通用しません。

知識や常識がある人が儲かるかと言うと、そうではありません。逆に、知識や常識が邪魔をするという皮肉な結果もあります。投資に抱く感情は誰でも同じです。「儲かれば嬉しい」「損すれば悔しい」。

儲かれば誰でも嬉しいし、損となれば誰でも悔しい思いをします。突き詰めていけば、投資家の抱く感情は、これだけしかないのです。社会的な地位や年齢に関係なく、そこに抱く感情は皆同じであるということです。

なぜそうなるかお分かりであると思いますが、株式投資では、人間が本来持っている「欲」という感情が前面に出てきてしまうからです。特に、投資の世界では、人間の本能がむき出しとなります。しかし、投資に感情(本能)が出ると必ず負けます。そこに矛盾が生まれます。この矛盾が投資家を苦しめます。

それともうひとつ。投資においては必ず「損」が発生します。投資家は、その「損」に拒絶反応を示します。それはなぜか。それは「損」を受け入れるという経験がないからではないかと考えます。一般社会では、給料をもらって、それらを消費するということが通常ですから、そこに「損」という概念がないのです。頭では分かっていても、その損の処理方法が分からない、だから拒否するということになります。

投資家は「損」というものをどのように自分の中で受け入れ、処理していくか、これらの処理方法によって勝敗が分かれることになります。

以上のように、投資の世界では、一般社会と異なった世界であるということを認識しなければなりません。

これらをまとめると

「株式投資は長期間継続して運用する」
「株式投資の世界は、一般社会とは異なる別次元の世界」
「損に対する処理方法」

Copyright(C)SPS研究所 照沼佳夫
無断転載厳禁

投資家必修 三題(1)

投資家は株式市場で収益を上げようと参入してきます。そして、あらゆる技術を駆使して、できるだけ高いパフォーマンスを上げようと努力しています。投資家であれば当然の行為です。

具体的に、市場で収益を上げるためにはどのようなテクニックが必要なのでしょうか。情報の先取りや銘柄選択、売買のタイミングなどと、その手法は投資家により異なります。このような多様な考え方、多様な手法によって株価が変動するわけです。

一般に、情報の先取りや銘柄選択、売買のタイミングなどの洗練された技術が儲ける秘訣のように考えられているようです。もちろん、これらの技法も重要であることに間違いありませんが、私は、本当に儲ける方法は、もっと別なところにあるのではないかと考えています。

これらについては、私の体験から言えることですが、投資家は儲かっているとすれば、株式投資をやめることはないと思います。とすれば、株式投資とは、「延々と継続していくゲーム」であるということになります。

「延々と継続していく」と言うことは、「株式投資とは長期間継続して運用する」と言うことになります。つまり、株式投資では、「株式投資は長期間継続して運用する」という前提で、その考え方や売買手法を構築しなければならないということになります。つまり、小手先のテクニックだけではないということです。

目先の売買テクニックや銘柄選択だけではなく、もっと長い目で、「いかに長期にわたり売買を続けられるか」という視点から株式投資を捉えなければならないということです。これらの考えに基づいた手法でなければ投資継続は無理となります。

Copyright(C)SPS研究所 照沼佳夫
無断転載厳禁

空売りができて一人前

ある銘柄を500円で空売りしたとします。その銘柄が業績悪化で倒産してしまった。当然ながら株価は紙くず同然となります。仮に株価が0円になったとすると、その空売り銘柄の利益は500円となって、利益率100%になります。

大儲けとなります。しかし、ここで重要なことは、空売りでは、どんなに頑張っても100%以上の利益は望めないということです。

一方、買いの場合ですが、株価チャートなどを見れば分かると思いますが、株価が安値から2倍も3倍も上昇している銘柄はいくらでもあります。任天堂などは、4倍も5倍もの値上がりしている。新興市場などでは、それ以上の上昇をする銘柄もあります。

このように空売りの利益は最大100%まで、買いの場合は、極論すれば無限大となり、空売りにハンディがあるのも事実です。このようなことから、一般に、「空売りの利益は買いの半分」と言われています。

しかし、昨年のような大幅な下落に対して、買いで立ち向かうことは無謀であり、負けることは必至です。また、相場を休むにしても、資金効率の点などから、やや問題もあります。このようなことから、相場下落時には、買いのように利益が上がらずとも、空売りを仕掛けることは正しい選択です。

一般に、「空売りは青天井」などと言われ、投資家によっては怖がって手を出さないようですが、きちんとした理論武装して取り掛かれば、何も怖がることはありません。知識の欠如が恐怖を生むのです。

昔から「空売りができて一人前」と言われるのは、このようなことからだと思います。

Copyright(C)SPS研究所 照沼佳夫
無断転載厳禁

マーケット・ニュートラル投資手法

我々個人投資家は、荒れ狂う市場の中でどのように対応をしていけば良いのでしょうか。市場動向は、報道などで理解しつつも、あまりの急激な変動にとまどうばかりです。

我々は、個々の銘柄について調査検証、分析した上で納得して仕掛けに入ります。しかし、市場の大きな変動に巻き込まれ、散々苦労して探し当てた銘柄であっても、市場の圧力に屈してしまうことになります。結果として、株式投資は個別銘柄云々より、まず市場動向の検証が優先しなければならないということになります。

しかし、何度も申し上げていますように、この市場動向の検証は専門のエコノミストでも困難なものです。投資家は、このような市場動向について判断することは無理とは知りつつも、株式投資を続けたいと考えるものです。

そこで、このような市場動向に左右されず、個々の銘柄の分析、検証で株式投資ができないものかと考えるのも当然です。そこで考えられるのが、市場動向に左右されない投資手法に、マーケット・ニュートラル投資手法というものがあります。これらの手法は、ヘッジファンドなどが多用する投資手法でもあります。

マーケット・ニュートラルとは、買い建て金額と売り建て金額をほぼ同額にして、マーケット全体が変動するリスクから中立な立場をとる投資戦略を言います。インデックスの動きに対して、相場環境に左右されない中立的であるような投資ポジションを持つ投資手法です。

昨今のような変動の激しいマーケットでは、これまで以上にリスク管理が重要となります。投資家は、相場変動リスクからポートフォリオの価値を守ることを強く求めるものであり、そのニーズに応える最良の手法としてのマーケット・ニュートラル投資戦略です。

マーケット・ニュートラル投資戦略が魅力的なのは、今までに世界中のマーケットで素晴らしい運用実績を上げてきたからです。しかし、この戦略はロングとショート、さらにはレバレッジが組み合わされているため、伝統的(片張り)な投資手法とはまったく異なっています。

株式市場には、あらゆる層の投資家が日々投資活動を行っています。個人投資家でも、今後の資産運用にと、ある程度の資金量で運用を考えている投資家も少なくないと思います。しかし、多くの資金を株式市場に投入することには、不安があるのも事実です。

マーケット・ニュートラル投資手法では、マーケット変動リスクを回避した投資手法であるため、ある一定の売買ルールに基づいた運用であれば、多くの資金を投入しても、あまり心配することはなく運用が可能です。不安は、従来型の投資手法である、上がるか下がるか、当たるか外れるかの投資手法の後遺症ではないかと考えます。

ここでは、マーケットのリスク回避という投資手法について紹介いたしましたが、今後は、投資手法の多様化に伴い、従来型の投資手法である片張り的な「売買」から、マーケット・ニュートラル投資手法のような「運用」という投資スタイルに切り替えていくことも考えていかなければならないでしょう。

Copyright(C)SPS研究所 照沼佳夫
無断転載厳禁