あの人は今(1)

町で偶然ある人に会った。ある人とは以前に投資仲間の会で何度か顔を合わせ、話をしたこともある。私が「最近はどうですか」とたずねたが返事がなかった。

彼は、投資仲間の会で得意げに自分の投資法の話していたのを記憶している。それも当然であろう、数百万円の資金を億単位までした男である。それだけの金額を稼げば自分の投資手法や考え方に絶対の自信を持つのも当然であろう。

立ち話もなんだからとお茶に誘った。そこで今までの経過などをぼそぼそと話し始めた。やはり、2007年の後半からの相場下落で、破綻寸前までいってしまったらしい。肩を落としていた彼に「これからも頑張ってください」と励まして別れた。

彼の売買手法は短期のスウィング・トレードで、利益が出れば、さらにその利益にレバレッジを掛け、投資金をフル回転させる投資法であった。たしかに、この方法であれば数百万円の資金を億単位まですることも可能であろう。

彼が本格的に株式投資を始めたのは2003年からであった。2003年といえば、相場が大底から立ち上がり、未曾有の上昇トレンドに入った時期でもある。このような時期であれば、売買手法など何でも儲かった時期でもあった。レバレッジを最大限に掛けて回転売買を行っても破綻することはなかった。

長い相場の中には、このような時期が必ずある。今回の相場もそうであったが、過去のバブル期も同様の状況であったと記憶している。相場の世界は、いつも変わらないなあとつくづく感じるところです。

リターンが大きければ、そのリスクも大きいことは誰でも知っていることですが、彼はそれらを身をもって体験した。彼もそれなりのノウハウは持っていたと思いますが、決定的な間違いは何だったのでしょうか。

Copyright(C)SPS研究所 照沼佳夫
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