シミュレーションと投資収益

私が長年、株価分析やシミュレーションを行うことによって、発見したことや理解できたことなどについて、いくつか説明したいと思います。最近の株価分析システムには、シミュレーション機能が備えてあるシステムもありますので、これらを利用する際は下記の点に注意してください。

まず、シミュレーションを行うときの注意点ですが。一般的には、パソコンの株価チャート画面上でテクニカル指標などを駆使して、これはどうか、あれはどうかなどと最適な指標や分析日数などを割り出します。

そこで、仮に最適と思われる指標が見つかったとします。しかし、その指標をいきなり実践に使用することは危険です。なぜなら、それらの指標を利用し続けると成績はマイナスとなってくるからです。では、なぜ成績がマイナスとなってしまうのでしょうか。

通常、自分なりの最適な分析指標を見つけたとすると、そのパソコン上で他の銘柄についても最適な分析指標が機能するかテストするはずです。そして、「おおむね良いだろう」として運用を開始するはずです。

しかし、あれだけ何銘柄もテストしたのに結果は・・・、となってしまいます。何が原因なのでしょうか。多くの銘柄で何度も適正テストして、間違いなくいけると判断したのに・・・。

株価の変動をある一定期間に限ってみた場合、多くの銘柄はだいだい同じような変動をしています。そして、日経平均やTOPIXと連動したような動きを見せているはずです。そのため、上記のようにパソコン画面で表示される程度の期間で、同じような変動の銘柄で適正テストを行ってもあまり意味のないものとなってしまうのです。

つまり、同じような株価変動の銘柄で、多くの銘柄のテクニカル分析指標の最適化を行っても、これでは正しいシミュレーションとはなりません。まず、一般的なシミュレーションにおける失敗は、ここに原因があると思います。

正しいシミュレーションとは、相場の上昇期と下降期に分けて行うべきです。そして、それらのどの時期でも利用可能となる分析指標を採用するべきです。限られた期間での分析では片手落ちということになります。

しかしながら、相場の上昇期と下降期に共通するような分析指標を見つけ出すことはかなり難しいものです。であるならば、上昇期ではこの指標を使用し、下降期ではこの指標を使用すれば良いのではないかと言う意見も当然ながら出てくると思います。

しかし、そうは問屋が卸さないものです。分析指標を利用する前に、上昇期、下降期を何で判断するかということです。これらの判断が容易にできるのであれば、何も分析指標など利用しなくても収益を上げることができるはずです。

多くの投資家が、このような上昇期でも下降期でも共通して利用できる分析指標を捜し求めてさまよっているのも事実です。もし、現実的に相場の上下に左右されず、ある一定の収益を上げることができる分析指標を発見してとしても、その収益は期待しているほど多くはないはずです。

毎年確実に利益を上げているという世界のトップトレーダーでも、その収益は20%前後であるということの本質は、この辺りにあるのではないでしょうか。このようなことから、市場からコンスタントに収益を上げ続けられる手法では、その収益はおのずと低く限定されてくるものです。

たまたま、相場上昇期に株式取引に参入し大儲けしたという話も聞きますが、ビギナーズラックは、そう長くは続かないものです。投資家は、株式市場に大きな期待を持って参入してきますが、ここで改めて申し上げます。相場変動に係わらず、長期間にわたりコンスタントに収益を上げようとするならば、その期待値「収益(利回り)」は大きく設定しないことです。

上昇期でも下降期でも共通して利用できる分析指標で長期間(10~20年)にわたりシミュレーションした場合(2000銘柄以上の平均値)、そのパフォーマンスは年率換算で5~10%程度です。もちろん、これらの多くの銘柄から、さらにフィルターを通してセレクトすれば、そのパーフォーマンスも向上しますが・・・。

当然ながら、これらのシミュレーションも片張り的ないいとこ取りのシミュレーションでは何の意味も成さなくなります。シミュレーションは必ず「どてん売買」によるシミュレーションでなければなりません。

ここでは、シミュレーションの方法と投資収益(利回り)について説明いたしましたが、私の感想としては、投資収益の本質は一般に考えられていることと、かなりズレがあるように感じています。

Copyright(C)SPS研究所 照沼佳夫
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