損することを嫌う人間心理

私はテクニカル分析を専門としていますが、当欄ではテクニカル分析の解説が少ないように思っています。また、そのようなご意見もいただいています。なぜ、テクニカル分析が中心であるにも関わらず、その解説が少ないのでしょうか。

私は長いこと投資の世界に身をおいていますが、その過程において数多くの分析手法を試みてきました。そのような中、やはりテクニカル分析が自分に一番合っていると思いました。私がテクニカル分析手法を採用するのはただそれだけのことです。ですから、テクニカル分析以外の手法を否定するつもりはありません。やはり自分に合っている手法が一番良いと思っていますが、いかがでしょうか・・・。

当コメントを長く読んで頂いている方にはご理解いただけていると思いますが、投資の世界で継続的に収益を上げることは、本当は投資のスキルではなく、他のところにあることに気づいていただけていると思います。

私は投資の世界で勝敗を分けるのは、投資家の「心」にあると思っています。ですから、当コメントにおいても投資家の心理面についての解説が多くなっています。投資家からは「そんなことはどうでもいいから、儲かる投資法を教えてくれ」との意見も多いのですが、そのようなご意見の方は、失礼ながらあまり儲かっていないように思います。

前回解説しました「買いコスト」についても投資家心理が大きく作用していことがお分かりいただけたと思います。投資の三要素は「相場観測」「銘柄選択」「売買タイミング」ですが「投資家の感情のコントロール」は、その上に位置します。

このように投資家の心理は、投資において勝敗を分ける最大で重要な要素となります。これらを避けて投資の世界での成功はあり得ないと言っても過言ではないでしょう。投資家の心理や感情の問題の重要性をここで再確認して頂きたいと思います。

もし、株を買ったとします。しばらくして株価が上がると、もっと上がるかもしれないと期待する。そして、下がったらどうしようと不安になります。この二つの感情が交錯します。そこで投資家の心理ですが、多くの投資家は損をすることが嫌いですから利食いしてしまうことになります。なせでしょう。

それは、多くの人が、安心より不安の方が勝ってしまうという心理を潜在的に持ち合わせているからです。そのため「早い利食い」となってしまいます。株が値上がりしているのに不安になると、少しの利ザヤでもいいから早く売って、利益を確定しようとします。儲かっているうちが花だ。欲をかいて持ち続けて下がってしまったら元も子もないという心理が強く働くからです。

逆に買った株が下がったら、どんな心理状態になるでしょうか。もちろん不満ですが、ここで売ってしまうと損が確定します。損するのは嫌ですから、その選択はしたくありません。それに、いまは下がっているけど、もう少し我慢していたら上がるかもしれないという根拠のない見通しにすがろうとします。結局、売らずにそのまま持ち続けるわけです。

それでも株価は上がらず、もっと下がってしまいました。損が膨らんでいますから、ますます売る気にはなれません。それどころか、ここでまた都合のいい考えが頭をもたげます。ここまで下がったんだから、安値で買い増せば平均コストが下がり、今度上がったときは大きく儲かるぞ・・・と、これが「ナンピン買い」です。

ナンピンすることによってコストは下がったように見えますが、投資金額は増えていますから、逆にリスクは大きくなっています。投資初心者の行動パターンはおおむねこのようなものでしょう。これでは儲かるはずもありません。ここに投資家心理が大きく作用しているのです。

以上のように、投資家の感情的、感覚的な行動パターンは損をするようになっているようです。これらを踏まえたうえで、今、自分には何が必要か、何が不足しているかを客観的に見つめなおす必要があるのではないでしょうか。

投資家の感情を抑える訓練をするか、または感情を出せないようなシステムで運用するか、あなたならどちらを選択しますか・・・。

突然のサプライズ

株式投資における分析は多岐にわたります。内部要因や外部要因、それらにまつわる詳細なファンダメンタルズ分析やテクニカル分析、さらには投資家心理なども分析対象となってきます。

あらゆる角度から検討分析し「これならいける」と仕掛けに入ったものの突然の悪材料の発表で株価は急落。このような経験をされた方も少なくないと思います。我々が知らないところからの突然のニュースなどは投資家を悩ませるものです。

しかし、突然のニュースなども後で振り返ってみると「そう言えば・・・」と思い当たる節もあるものです。リーマンショックなども、事前にそれらしき「危ないよ」というニュアンスの情報は流れていたものです。

これらに近い最近のニュースとしては、中国のシャドーバンキングがあります。中国の社会科学院は、13年10月に影の銀行(シャドーバンキング)の規模について、20・5兆元(約328兆円)と、驚くべき数字を公表しました。これ以外にも、通常の銀行経由の融資も巨額であると言う。

ゴールドマン・サックスは、中国のバブルが崩壊した際に、貸倒損失が最大18・6兆元(約297兆円)に達するとの見通しを発表しました。

中国のシャドーバンキングは、日本におけるバブル崩壊後の「住専」の問題に似ています。人間のすることは、どこでも同じなのかなあと感じるところです。

中国のシャドーバンキングも大きな問題ですが、私としては、最近のニュースにある中国のスモッグの問題です。PM2.5が測定不能の状態にあるということです。さらに、水の汚染、土壌の汚染、それによる食の問題など、人間が住めるところではなくなってしまったようです。

これらの汚染がひどいため、富裕層は海外移住しているという。経済発展も良いのですが、それにより引き起こされた負の部分も多いのです。世の中、結局はプラス、マイナス、ゼロと言うことなのでしょうか。負の遺産は後世に残さないようにと願うばかりです。

投資における外部材料(悪材料)は、すでに知りわたっているときは織り込み済みとなることもありますし、リーマンショックのようにある程度知られていてもクラッシュになることもあります。やはり、投資とは難しいものです。

私のように、テクニカル分析を中心に行っている者にとっても、突然のサプライズは頭を悩まします。順調に上昇カーブを描いていたものが突然のサプライズで株価は「つるべ落とし」のごとく奈落の底に真っ逆さま。

一般に、テクニカル分析は過去のデータなどから分析するのですが、その分析手法の多くは「平均値」を使用します。そのため、突然の株価急落では、その判定が遅きに失することになります。

これらはテクニカル分析に限らず、どのような手法でも同じです。つまり、突然のサプライズには対処法がないということです。せっかく積み上げてきた利益を一瞬にパーになってしまいます。投資の世界にはよくあることですが・・・。

しかし、損は損で受け入れるとしても、大きなショック(大損)をもろに受けない方法はあります。それはいつも解説していますヘッジ売買です。

たとえば、私が今、実践とともに研究していますバスケットによる裁定取引です。この手法は、ETFの先物売に対して複数銘柄の買いでバスケットにして売買するものです。

売りの金額と買いの金額を同じにして(実際にはベータ値により多少の変化をもたせます)売買するため、そこに発生するリスクは最小に留まります。このような話を聞くと、売りも買いも同額なのでそこに利益が発生しないのではないかという疑問も沸いてきます。

そこが腕の見せどころです。ETFの先物に対して、いかに割安な銘柄を探すかということにかかってきます。実際に、適正で割安な銘柄を探してETFの先物と組み合わせて売買しても安全性は高まるものの利益は思ったより少ないものです。当然です。投資の世界はハイリスクはハイリターンであり、ローリスクはローリターンなのですから・・・。

「一寸先は闇」という諺があります。まさに投資の世界の諺のようです。このようなリスクの高い世界で投資活動をしているならば、投資家はこれらのリスクに対して何らかの対策を講じるべきでしょう。

少々くどい説明となってしまいましたが、やはり投資の世界にはリスクが付いて回ります。そのリスクをできるだけ押さえて運用することを考え、投資を楽しいものに変えていくべきでしょう。そして、楽しい人生に・・・。

独りよがり

株式市場は相変わらず弱含みである。株式市場はファンダメンタルズをベースに変動するものの、短期的な変動は情報や材料などにより変動しやすいものです。さらに心理的要因も株価変動に影響を与えます。

とりわけ、最近のニュースによるとロシア通貨の急落や中国の「影の銀行(シャドーバンキング)」などが取りざたされています。中国のシャドーバンキングの取引で、債務不履行(デフォルト)が起きる可能性も指摘されています。信託会社が大手行の中国建設銀行を通じ、国内の個人投資家らに販売した金融商品のうち2億8900万元(約49億円)分が満期に償還されなかったことが分かったという。

このように外部要因的には不安材料も多い。大きな不安材料があったりすると、相場は一方向に進みやすくなります。しかし最終的に相場の状況を決めるのはファンダメンタルズですから、今回の株安についても冷静に、客観的に見ていく必要があります。

私の投資手法は、買いと空売りの両建て売買であるため、現在のような状況でも特に問題はないと思います。現状では、指標が「売り長」(空売りが多い)であるため、それなりに収益になっていると思います。

私が昨年末から運用し始めた「バスケットによる裁定取引」もNT倍率が縮小してきたため落ち着きを取り戻し順調な状況にあります。このような運用の中で、バスケット方式による裁定取引のスキルなど多くのことを学びました。

やはり「バスケットによる裁定取引」は、売り銘柄としては日経平均先物ではなくTOPIX先物の方が良いように思いました。実践と同時に売りをTOPIX先物にしたシミュレーションも並行して行ったのですが、成績は多少の上下はありましたがマイナスとなる時期は少なく、現在でもある程度納得できる成績となっています。

晩年になったら「バスケットによる裁定取引」のようなマイナスの少ない投資手法が良いのではと思っています。「バスケットによる裁定取引」の最大の特徴は、収益はあまり多くは望めないもののリスクは小さく、何といっても相場に振り回されるようなストレスがないことです。晩年の投資においては、やはりストレスがないことが一番ではないでしょうか。

さて、私は「バスケットによる裁定取引」と同時に、従来の短期売買も実践しています。成績は相場指標である現在の「ヘッジ比率」を見て頂ければお分かりいただけると思います。

新しい短期売買の分析システムがほぼでき上がりました。現在までの検証結果は、採用した2000銘柄のうち年間を通してプラスになった銘柄は約75%、つまり2000銘柄中1500銘柄は収益があったということです。

また、年間の利益率は20~25%程度(年率)でした。これはマイナス銘柄を含めた2000銘柄の年間平均値です。もちろん、買いと空売りのどてんによる連続売買です。ランキング上位銘柄(上位100銘柄)のほとんどが年間の利益率は100%以上でした。

また、勝率は平均で45%前後でした(マイナス銘柄を含めた2000銘柄の年間平均値)。当然ながらランク上位銘柄の勝率は、それを上回りますが、実際の売買においては勝率50%前後と見ておいたほうが良いと思います。売買平均日数は18日前後、年間売買回数(1銘柄あたり平均)は21回程度です。

数値を見る限り、かなりの短期売買となりますので、多くの銘柄で売買すると非常に忙しいトレードとなります。

私は、以上のような分析システム開発も誰に相談することなく、何の資料も見ることなく、ひとりで行っているわけです。まあ、相談する人がいないということが現実なのですが。また、いまさら市販のノウハウ本を参考にする必要もないし・・・。

そのようなことで、ひとりでシステムの開発をしていると、どうしても「独りよがり」となって考えが曲がってしまうものです。このことは、私自身、体験的によく理解しています。これらを補正する意味でも、今後、これらの分析システムも何らかの形で公開して、いろいろなご意見をお聞きしたいと考えております。

 

一筋の道を踏んでゆけ

世界の株式市場では今、何が起こっているのでしょうか。このような中、我々、個人投資家はどのように対処すればよいのでしょうか。

米国の量的緩和の解除が新興市場国の経済成長に悪影響があると考えられるため、結果的に米国や日本の株式も、一旦は投資を手控えようという投資家が増え、連鎖的に下落が進んでいるわけです。新興国から流出した資金の一部は日本円にも向かってきますから、円高が同時に進行することになります。

市場は基本的にその時点での経済状況を反映するとされていますが、必ずしもそうとは限りません。投資をするのは人間ですから、その行動には「心理的な要素」も大きく影響します。大きな不安材料があったりすると、相場は一方向に進みやすくなります。しかし最終的に相場の状況を決めるのは経済ですから、今回の同時株安についても、冷静に世界の経済情勢を見据えた上で判断する必要があります。

今後しばらくは、好調な米国経済が世界経済を牽引するものの、成長が鈍化する新興国がその足を引っ張り、全体としては緩やかな成長にとどまることが予測されています。現在はちょうどその転換期にあたるため、不安心理が高まり過剰に資金が動いてしまったという面が大きいのでしょう。

新興国から米国へという資金の流れは、好調な米国経済を背景にしたものなので、それ自体は健全なものです。新興国にとっても、米国の成長が続けば最終的には恩恵を受けることになりますから、今回のショックもいずれ落ち着く可能性が高いと考えられます。

米国経済が好調であることは日本の輸出産業にとってもプラスです。日本株についても、過度に心配する必要はないと考えられます。これが私の考えですが、いかがなりますでしょうか。

株式市場は、上記のような理由により波乱状態ですが、このような相場環境の中、投資家の対処はいかににすべきかですが、結論から言えば、やはり「自己ルールの厳守」でしょう。結局は、ここに回帰するものです。

対処法を「ああでもない、こうでもない」と考えをめぐらしても結局は徒労に終わるものです。「迷ったら基本にもどれ」という諺がありますが、やはり、迷ったら投資の原点(基本)に立ち戻るべきではないでしょうか。

また、孫子の兵法に「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」とありますが、波乱相場の中で、投資家自身が己を見失っては勝てるはずもありません。まず、現在の自分が冷静沈着な状態にあるか問いて見ることです。

もし、焦っていたり興奮状態であったなら、それらの決断を一旦見送るべきでしょう。『決断する前に自分の鼓動に聞いてみろ。興奮状態で結論を出すな。決断は平常心で行うべし』とあります。

柔道の創始者、嘉納治五郎が「勝って、勝ちに傲ることなく、負けて、負けに屈することなく、安きにありて、油断することなく、危うきにありて、恐れることもなく、ただ、ただ、一筋の道を踏んでゆけ」と言ったとされています。

この文言はまさしく相場道にも通じます。勝って有頂天になることなく、負けても落ち込むことなく、わき目もふらず淡々と一筋に歩んで行けということなのです。道を究めるということは、このようなことなのでしょう。

そのためには、しっかりと投資の基本や理論を学び、自分なりの投資手法を構築して、常に平常心で売買を続けて行くべきです。私もこれらを肝に銘じて頑張っています。