分からないことはやるな

私の語録に「欲しい物があったら必ず自分で取りに行け。外部のささやき、甘言はすべて拒否せよ。外部のすすめで失敗すると「恨み」だけが残る」とある。つまり、人の勧めには安易に乗るなということです。

「人の勧め」、つまり、セールスなどが昼夜に関わらず攻勢してくる、「これは有利ですよ。これは儲かりますよ」などと、いかにその商品がすばらしいかをまくしたてる。BSチャンネルのコマーシャルなどはその典型かもしれません。これらのコマーシャルも毎日毎日見ているとサブリミナル効果となり潜在意識にインプットされ洗脳されてしまう。

『サブリミナル効果とは、意識と潜在意識の境界領域より下に刺激を与えることで表れるとされている効果のこと』

人に勧めることは、勧められる人にもメリットもあるかもしれませんが、一番メリットがあるのは勧める側であることを自覚しておかなければならない。勧める側に何のメリットもないのに勧めるわけはありません。ボランティアではあるまいし。ともかく、日本人は、お人良しで疑うことことを知らない。「振り込め詐欺」がなくならないのもその辺りにあるのでしょうか。

さて、これらと同様の話ですが、我々の業界でも一時期NISA(ニーサ)の売込みが激しかった。NISAとは、小額投資非課税制度というもので、最高100万円までの株や投資信託などの運用益や配当の利益に税金がかからないシステムである。

誰彼かまわず、100万円までの投資ならどれだけ儲けても税金はナシにしてやるからと、うまいことを言って口座数を増やしてるのです。日本の眠っている金融資産が1600兆円あると言われており、そのお金をわずかな定期預金の利子で増やすよりは株でもやって増やせという、まさに国策事業です。

当然ながら私のところにもNISAの誘いがあった。私は言ってやった。「私は人の勧めは一切受け付けないことにしています。これを信条として生きていますから・・・」と言ったら、その後一切勧誘はなかった。

NISAは一般市民に投資に関心を寄せるためとも言われていますが、NISAにはいろいろ問題があり、制度を変えるべきという考えの人が増えてきました。どういう状況なのか考えてみましょう。

人間の心理としては、口座にお金を入れたら、早速何か株を買ってみたくなるはずです。現在、株価はやや下降ぎみであり、NISA口座のほとんどのお客さんは、含み損を抱えている気がします。

NISAに100万円のお金を口座に入れると、無税としての取引可能額は現物の100万円のみなのです。従来の株取引は回転売買と言って、100万円分の株を買って、それを失敗して95万円で売れば、また95万円から、別の買い物ができた。NISAはその再利用が非課税としてはできないわけです。

つまり100万円で、年に1回か2回のチャンスを的中させて、それで利益確定を狙うことはトップディーラーですら困難なことを全くのビギナーに強いているのです。

個人投資家が含み損を抱えている現在ですが、大手企業側は安定した株の引き受け先が見つかってひと安心していることでしょう。しかも、将来は総額50兆円ほど。仕方ないので各企業の優待券とかもらって気長に待つしかありません。結局、NISAは各企業や証券会社に非常に有利だったということです。

以上のように、人の勧めには慎重に対処するべきであり、安易に乗らないことです。もしあなたが、何の知識もなくセールスの「儲かりますよ」の言葉を信じ、その話に乗って失敗したらどうしますか。

資産が多くあれば「仕方がない」で済ますことができるでしょうが、もし、虎の子の資金を投入して失敗した場合はいかがでしょうか。怒り狂って「だまされた」となるでしょう。人を恨むことは勝手ですが、欲をかいてその話を受け入れた無知だった自分に、その責任の半分はあることを忘れてはいけない。

結論としては「人の勧めには乗るな。分からないことはやるな」ということです。やるなら自分で勉強して納得してから始めるべきです。