決断の早さ

株式市場の全体の変動は、これらの世界情勢や国内の経済状況などあらゆる要素を織り込みながら変動し、さらには投資家の心理動向も加味され変化していくわけです。このように株式投資の判断は多岐にわたるため、投資家の投資決断は容易なものではありません。

あるニュース記事がありましたのでご紹介いたします。テーマは「お金を稼ぐ人は自分なりの判断基準を持っている」です。

『お金が稼げるせっかち人間の人に共通するのが判断の速さです。成功している経営者は全員決断が早い。たとえば経営上の判断を仰ぎに誰かがくると、その場で明快に指示をして対応します。動きの速い現代になるほど、その瞬間の早さが大切になります。ビジネスチャンスをものにするのも、危機を回避するにも瞬間の判断と決断の速さが勝負。その点お金を稼げない人は判断や決断も先延ばしにしがち。とくに重要な事項になるほどその傾向が強いようです。短時間で判断することに自信がなかったり、怖かったりするのでしょう。そのくせ先延ばしにしても、その分じっくり考えるかと言えばそうでもない。たんに問題と面と向かうのを避けているだけのことが多いのではないでしょうか?。結局そうやって時間を引き延ばしても、問題が面倒に複雑になるだけ。お金を稼ぐせっかち人間はそれが肌身でわかっているので、できるだけ短時間で結論を出します。ではどうすれば判断や決断が早くなるか?。私はあらかじめ「意思決定の原則」を決めておくことだと考えます。たとえば「やるかやらないかで迷うなら、やる」と決めておく。迷って時間をロスすることもありません。もちろん致命的なリスクがないと判断したうえで、しかも実際に失敗したと思ったらすぐに次善策を講じる。いずれにしても素早い対応が可能になります。そのためにも、普段から経営の勉強をしておき、「原理原則」が身についていることも大切です。間違った判断を拙速にやり続けたら大変ですからね。』

上記の記事は経営について書かれたものですが、株式投資にもぴったり当てはまるのではないでしょうか。要は決断の速さなのです。

株式投資において決断を迫られると「少し様子を見るか」などと考えますが、これは良くありません。つまり決断を先延ばしにしているだけです。問題と面と向かうのを避けているだけのことです。

では、素早い決断をするにはどうしたらよいか。上記では「意思決定の原則」を決めておくと述べています。これを株式投資で言えば「売買ルール」を決めておくとなるはずです。つまり、自分なりの「原理原則」が身につけていることです。経営でも投資でもその根本は皆同じということでしょう。

また、デイトレーダーなどでは瞬時の判断か必要となってきます。そのときの瞬時の判断を正しいものとするには多くの体験が必要となってきます。体験には多くの情報が詰め込まれており、これらのデータベースから瞬時に正しい判断を引き出し決断を下すことになるのです。

以上、投資においては常に何かのテーマを見つけて、これらを完遂したいものですね。

マスメディア

さて先日、どこから聞いてきたのか、あるテレビ局から出演依頼の申し出がありました。内容は、現在活躍している株式トレーダーの特集を行うためとのことであった。ある程度話は聞いたが、考えるところがあってはっきりとお断りしました。その代わりではないが、知り合いのトレーダーを紹介してあげました。

私は、今まで新聞社のセミナーで講演したり、マネー雑誌の記事を書いたりしたことがありましたが、現在はほとんど行っていません。今でも講演や投資記事の申し出はあるのですが、そのほとんどはお断りしています。

我々投資家はトレーダーであると同時に株主でもあるわけです。会社は株主のものであると言われますが、一般の株主にとっては会社の応援団みたいなものでしょう。会社が収益を上げることによって株主も潤うわけですから・・・。大株主は別として、通常は会社が主役で株主は脇役と言ったところではないでしょうか。

以前に「もの言う株主」として、一時マスコミにもてはやされ表舞台に登場し、話題になった投資家(株主)がおりました。しかし、彼も目立ちすぎたのか、結局は叩かれて消えてしまいました。これが日本の現状でしょう。これは私の考えですが、個人投資家の場合は「裏方」「黒子」に徹するべきだと考えています。よって、裏方はメディアなどの表舞台には出るべきではないと思っています。

投資家があまり表にでても良いことはありません。マスコミに散々持ち上げられて、最後には神輿の担ぎ手が誰もいなくなったということになりかねません。私は今まで、カリスマ・トレーダー、時代の寵児などと、もてはやされた投資家が消え去っていく状況をたくさん見てきました。

マスメディアは現在ブームになっているものを取り上げ煽り立てます。またマスメディアは「今これが流行ってます」などと謳いブームを作ることさえします。マスメディアも商売ですからやむを得ないところでもありますが・・・。

しかし、それらのマスメディアを見ていると、特に投資関係のメディアは投資家の方を向いていないことがよく分かります。あることない事を書きたて、ある時は、やらせで投資家を煽りたて初心者を誘導します。そこに視聴率を上げることや発行部数が増えればよいという自己中心的な姿勢が見え隠れします。そして、ブームが去ると知らぬふりをします。そこにマスメディアのポリシーなど一切感じられません。このようなことから、私は今後も煽られて神輿に乗るようにことはしたいと思いません。

しかし、個人投資家のグループなどによる座談会などには喜んで出席したいと思っています。機会がございましたらお声かけください。

予想をたてない手法で

原油価格は最近の高値から大幅に下落している。報道では、その原因をあれこれ述べているようではあるが需要と供給のバランスだけではないようだ。本当のところはわからないものの多分に政治的背景が見え隠れしているようだ。

原油価格の下落は日本にとってはメリットがある。原発の停止により、原油の輸入が年間3~4兆円とも言われていたものが、その半分程度になるのだから好ましいことなのだろう。しかし、世界経済の視点から見るといかがだろうか。

まず、原油価格の下落は産油国にとって好ましくない。産油国であるベネズエラ、イラン、サウジアラビア、ロシアなどであるが、通常、原油価格が下がれば減産して価格を調整するのであるが、今回はサウジアラビアが減産しないと表明している。なぜだろうか。

今回の原油価格の下落を受けて、もっとも影響を受け話題となっているのはロシアである。ロシアでは、原油価格の下落を受けて経済状況が悪化するとの見方からルーブル安が続き、ロシア中央銀行は下落に歯止めをかけようと、政策金利を10.5%から17%に大幅に引き上げた。

金利17%はサラ金なみの金利である。こんな高い金利で経済が成り立つのだろうか。このようなことから、欧州委員会の当局者は、ロシアの経済情勢に懸念を表明し、「ロシアが深刻な不況に陥るのを誰も見たくはない」と述べた。

また、減産しないサウジアラビアの意図は、従来型石油と競合するには価格の高止まりを必要とする米シェールオイル生産者を市場から締め出すのがひとつ。さらに大きな狙いは、シリアの内戦においてアサド政権を支えるロシアとイランを罰することにあると考えられる。

さらには、アメリカが画策してロシア潰しを狙っていることもあるだろう。また、中国のこれまで過剰な開発や投資で石油を過剰消費し、市場価格を引き上げてきたが、ここにきて内需の低迷を示す経済指標が相次ぐなど成長路線に急ブレーキがかかり、エネルギー需要も減少しているなど、いずれにしても、その真相は分からないところである。

このように政治と経済(投資)とは密接に絡み合いながら世界が動いている。または、世界を動かしている。原油価格は経済を動かし、経済の源といわれる原油価格が数ヶ月で半値になってしまうとは誰が予想しただろうか。

このように先のことは誰にも分からない。投資の世界も同様である。これから先のことは分からない。分からないが、投資家は皆、予想を立てて戦略を練る。予想が投資家の心のよりどころなのだろうか・・・。

前回も解説しましたが、予想して仕掛け入り、その後、予想と反対に展開した場合は、その傷は深くなる。損切りが遅れたり、最悪の場合は塩漬けになることもある。私もこのような体験をいやというほど味わってきたので、現在は「現在の数値で判断」する、予測をたてない手法で運用しています。

話題は変わりますが、最近「バイナリー・オプション」なる投資法を勧める業者が多いようです。バイナリー・オプションとは、通貨取引のひとつですが、ある一定期間内に上がるか下がるかに賭けるもので、まさしく丁半博打そのものです。取引方法や手法がシンプルなだけに素人なども参入しているようです。

私としては、バイナリー・オプションは絶対に避けるべきであると考えています。我々は投資の世界で活動しているのであって、決してギャンブルを行っているわけではないのですから・・・。投資家の本分を忘れずに!。

コントロールの錯覚

私が投資関係の仕事をしていることを知る人は「最近顔色がいいね。儲かっているでしょう。」と、株式市場の上昇を見て言う。私は苦笑いをしながら「そうでもないよ」と返事する。

実際に、私の投資法は両建てであるため、市場の上昇と比例して収益が上がるものでもないことは自分でも納得している。詳しく説明する必要もないし、説明しても理解されないことは分かっているので適当にお茶を濁している。

また、私が投資の仕事をしていると知ると必ず質問されることがある。それは「これから相場は上がりますか?」「この持ち株はどうでしょうか?」、この二点です。投資を仕事としているので、相場についてはすべて分かっていると思い込んでいるようだ。

ご存知のように、相場の行方などは誰しも分からないし、ましてや個別銘柄の上げ下げなど分かる由もない。「分からないよ」と返事すると、「知っているくせに教えないんだろう」などと皆けげんそうな顔をする。投資の本質を理解していない輩の言いそうなことである。そのような連中には投資の資格すらない。

私は、個人的に今日まで誰にも投資を勧めたことがない。「もし、晩年を豊かに楽しく過ごしたいのであれば、投資の世界には一切足を踏み入れるべきではない」とまで付け加えている。読者であれば理解いただけると思いますが、投資の世界ほど苦しく辛い世界はないわけですから・・・。

ノーベル経済学賞受賞者で「シンキング・ファースト&スロー」の著者であるダニエル・カーネマン氏が「コントロールの錯覚」と呼ぶ、多くの投資家が市場を見据える際に抱く思い込みを克服することだ。あなたの手で自由になるのは、投資額と投資頻度、貯蓄額だけにすぎないと言っている。

ここで言う「コントロールの錯覚」とは、投資に対する常識を思い込みすぎるなと言うことであろう。また、一般投資家が抱く、相場の行方に対する先入観における警告であろう。つまり、常識と先入観を排除しなさいと解釈できるでしょう。

投資の常識については当欄で「投資の常識は非常識」と何度も解説しています。また、先入観は投資家であれば誰でも抱くものですが、それは投資家にとって都合の良い方への思い込みです。つまり、偏った思い込みです。たとえば、相場は上がると判断し仕掛けたものの、意に反し下降となった場合、思い込みが強ければ強いほど損切りが遅れるはずです。

「投資の常識」もある意味では思い込みでもあります。バブル期までの常識がその後も通用するはずもありません。投資常識や思い込みだけで相場に勝利するはずもありません。やはり、相場に感情移入せず、自分なりの投資手法や売買ルールに従って客観的に売買することが勝利への近道ではないでしょうか。

さて、相場は上昇しているものの私の成績はいまひとつです。「私は苦笑いをしながら『そうでもないよ』と返事する」もまんざら間違いではありません。その原因は分かっています。

私は現在、両建てで50~100銘柄を運用しています。最近、一銘柄あたりの投資金額を増額したのです。私の仕掛け、決済はすべて寄り付きの成り行きで売買しています。寄り付きの成り行きでの売買であるため、出来高の少ない銘柄では、寄り付き値が飛んでしまいます。当然ながら各銘柄の出来高はチェックしています。

さらに、私の手法は「どでん売買」であるため、たとえば買った銘柄を売り決済するとともに新規に空売りを仕掛けるため、玉数が通常の二倍(決済と新規)となるわけです。そのため、寄り付き値が飛んでしまい、仕掛けるとほとんどの銘柄が前日比マイナスとなってしまいます。毎日数銘柄は売買していますので頭の痛いところです。

対策としては、分割仕掛けや出来高の多い銘柄のみとするなどが考えられます。ここで私が学習したことは「急激な環境変化は良くない」ということです。たとえば儲かったから投資金を倍増する。また、損をしたから持ち株すべても一度に処分するなどなとは急激な投資環境の変化に当たるのではないでしょうか。

昔、台湾の友人が話してくれたことを思い出しました。「焼けた石を水に入れると割れてしまうが、ゆっくり冷ませば割れることはないよ」と。投資に限らず、何事も急激な変化は良くないものですね。

私も「日々是勉強」です。