なぜ日本人は相場が下手なのか

日本の相場歴史は江戸時代の米相場からと言われています。大坂・堂島では、宝永・正徳期から米相場が始まり、紆余曲折の末に享保15年(1730年)になって江戸幕府の公認を受け、堂島米会所を開いた。これが先渡し契約の無い公認の近代的な商品先物取引の始まりです。

つまり、差金決済の先物の考え方は日本から始まったのです。相場の世界では、日本は先物取引の先進国であったのかもしれない。さらに、そこで相場師たちはデイトレードも行っていたというから驚きです。

当時、相場師と呼ばれる投機家たちが商品先物取引でデイトレードを行っていたという記録がある。江戸時代、デイトレードのことを「日仕舞い取引」、先物取引の証拠金を「敷銀(しきがね)」と言れていたようです。

投資技法で有名な酒田五法も日本で作られ、またローソク足チャートも江戸時代の日本で作られたようです。これらが現在の日本の相場でも海外の相場でも使われているようです。

しかしながら、相場の先進国であった日本の投資家がどうして相場が下手なのであろうか。たしかに過去において日本でも有名な相場師が輩出されている。しかし、過去の相場師の歴史を紐解いていても、その多くは大量の資金に任せての大勝負であったようです。

相場師の中には成功裏に終えて、後に実業家に転身し更なる躍進を遂げた人もいますが、その他の多くの相場師の末路は決して華々しいものではなかったようです。

私は、なぜ日本人は相場が下手なのかについて以前から考えていますが、いまだに結論は出ていません。その要因は複雑で多岐にわたると思いますが、考えられるいくつかの要因を挙げてみましょう。

まず日本人の民族性です。我々日本人は元来、気候に恵まれた農耕民族です。春に種をまいて秋に刈り取るというサイクルを長年続けてきました。農耕には耕作した作物が台風などで被害を被ることもありますが、そこに投資や投機という考えはあまり存在しません。

また、日本の文化に由来する要因もあります。額に汗して働かない稼ぎは「不労所得」などと揶揄され、また「悪銭身につかず」といった格言によって利潤追求を蔑視する意識があります。

日本人にとって、潜在的に投資や投機は「悪いこと」という概念があるようです。私が投資関係の仕事をしていると分かると「楽して儲かっていいですね」と、嫌味半分で言われます。そこで私は「額に汗してはいないが、背中には冷や汗をかいているんだ」と言って返したいところですが、分からないやつにはいくら説明しても無駄なのでやめた。

以上のように、日本には投資や投機に対しての理解が遅れているような感じする。さらに、投資に対するネガティブな話題が多すぎます。たとえば、ある人は先物に手を出し破産した。会社の金を横領して投資につぎ込んだなどの話題が多すぎる。また、投資詐欺の報道のたびに投資に対する否定的な世論が形成される。

反面、マスメディアでは、大儲けしたなどのカリスマ?投資家の話題を捏造してキャンペーンする。これらの情報に安易にのって投資の世界に入っていく。検証のない「相場必勝法」などがもっともらしく宣伝されている。

その他にも考えられる要因はいくつもある。「清貧を尊ぶ文化が継承されている」「お金を卑下する思想がある」「米国の占領政策で骨抜きにされた」「戦後の産業政策で国民の預貯金を奨励した」「若い世代の収入が少なく、投資する余裕がない」など、その要因はいくらでも考えられる。

まず、我々投資家は、投資技法や投資理論を構築する前に、これらの外部環境とも戦わねばならない。大変なことです。このように日本における投資環境はマイナス要因が多すぎる。これらの要因を払拭できる方法はないものだろうか。

これらの要因を一掃できる方法はひとつしかない。それは投資理論でもない。投資技術でもない。それは実践で成績を上げて投資の優位性を見せ付けることである。つまり、裏付けのあるスーパースターの登場です。 ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロス、ジム・ロジャーズなどのような投資家の登場です。

日本人にその手本を見せてあげることです。それはあなたかもしれません。がんばりましょう。