売り方の評価損率

前回は買い方の評価損率について解説いたしましたが、今回は売り方の評価損率について解説しましょう。ご存知のように信用の売り方の評価損率は公開されていません。公開されない理由についてはすでにご承知の通りです。

売り方の評価損率については、ある証券会社に、その証券会社のみで扱っている投資家(信用取引)のリアルタイムの評価損率のデータがありました。これらのデータを分析すると面白いことが分かってきます。

買い方の評価損率は、通常、評価損がマイナス15%程度になると底打ちすると解説しました。信用取引をする投資家の多くは現物株を持っていますし、その現物株を担保にして信用取引をするため、相場が下げた場合、担保に入れておいた現物株も信用での買い銘柄も下落し追証発生の恐れがあります。

売り方の評価損率は、通常マイナス20%程度で天井を打つことになります。もちろん大きな材料が出れば、それ以上になることもありますが、それでも最大マイナス25%程度まででしょう。

買い方の評価損率は、通常、評価損がマイナス15%であるのに対して、売り方の評価損率は20%と違いがあるのはなぜでしょうか。その理由については、皆さんお分かりであると思いますが、信用での買い方も売り方も投資家の多くは現物株を担保に信用取引を行っています。

信用での売り方の投資家は、相場が下がればもちろん信用売りの部分に対しては利益が上がります。しかし、信用で空売りしているものの相場が上昇してしまった場合には空売りは当然損失となります。しかし、担保にしている現物株の評価はいかがでしょうか。

相場が上昇すれば、担保にしている現物株の評価は上がりますので、たとえ空売り分の評価が下がったとしても、現物株の担保評価で空売りの損の評価もカバーされるわけです。よって、買いの評価損がマイナス15%程度なのに対して、売りの評価損がマイナス20%程度と多少余裕が出てくることになるわけです。

いずれにしても、信用取引においては最優先で処理しなければならない恐怖の追証が発生することになりますので慎重に取引しなければなりません。

信用での売り方はもちろんですが、特に買い方は常に信用買い分の時価評価と担保にした現物株の時価評価を常に注意していければなりません。相場が下がってくると値動きより時価評価が気になりハラハラドキドキすることになります。

つまり、信用での売り方も買い方も分母となる現物株の評価によって追証の危険度が異なってくるわけます。もし、信用取引の限度いっぱいで売買していると、一瞬にして崩壊しかねません。十分注意しなければなりません。

私も当然ながら空売りを行いますので取引は信用での売買となります。しかし、あまり追証などを気にしたことはありません。なぜなら、分母となる担保を現物株ではなく、現金を保証金と差し入れているためです。つまり、分母となる担保が現金であるため分母が固定されるため、ちょっとやそっとでは追証は発生しません。

担保が現金では利息が付くわけでもなく、資金効率が悪いのではないかとの質問を受けることがありますが、これは私のスタイルであり、長らくこの方法で運用してまいりました。私は、投資運用は常に冷静で客観的な立場で行わなければならないという信念を持っています。常に追証を気にしながらの売買は私には向いていないのです。

投資の手法はどのようなスタイルでも良いのですが、相場の変動によって大きく投資家心理が揺さぶられるような投資スタイルは避けるべきです。常に冷静な売買ができる投資手法をお勧めします。

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