ピラミッディング

株式投資を距離を置き客観的に見た場合、株式市場は上場企業の資金調達の場であり、また企業の将来性を見込んで資金を投資する投資家の集まりの場でもある。投資家は企業の将来性に投資するわけですが、上場されている企業の多くは収益を上げているにも係わらず、投資家は一向に収益を上げていない。何故だろう。

今回は投資家が収益を上げられない問題点を掘り下げてみたい。まず、株式投資で収益を上げるには「相場観測」「銘柄選択」「売買テクニック」の三要素が不可欠とされます。

「相場観測」は、投資にとって一番重要な項目です。今後の展開が上昇か下降かがある程度分かれば相場で絶対に勝てます。しかし、予想はするものの当たり外れは五分五分でしょう。であるならば、相場観測から判断すれば収益はトントンになるはずです。しかし、多くの投資家が損をしている現状から見れは、問題は相場観測だけではないような気がします。

では「銘柄選択」についてはいかがでしょう。「投資成果は銘柄選択の如何に係わる」「投資は情報の先取りである」という投資家も多いようです。しかし、情報収集の早い遅いは多少あるかもしれませんが、インサイダーは厳しく処罰されますし、現在は、ディスクロジャー(企業の情報開示)された情報がある程度公平に公開されいますので、銘柄選択が多くの投資家に損を招いているとは考えにくいところです。

「売買テクニック」についてはいかがでしょうか。売買テクニックは株価のどこのポジションで買うか売るかの判断であり、よって、この売買テクニックが投資家の収益に大きく左右するとは考えにくい。

では、上記の内容からすると投資家が大きく損をする決定的な項目はないような気がします。問題は別のところにあるのでしょうか・・・。

何が多くの投資家の損を招いているのでしょうか。投資家が大きく損をする決定的な要因は「感情的な売買による損大利小」ではないだろうか。これらのことについては以前にも解説してまいりましたのでご理解いただいていると思います。

当たり外れが五分五分の世界で、損は大きく利益は小さくでは儲かるはずもありません。これが投資で収益を上げられない決定的な要因であることは間違いありません。このことを正さない限り投資での収益はありません。

さて、問題はこれだけでしょうか。まだ他に問題はないのだろうか。私は今まで、今回のテーマについて解説はしてきませんでした。なぜなら、投資家に受け入れられないと考えたからです。現実的に無理があるからです。しかし、反論もあると思いますが、考え方としては受け入れられるかも知れないと思い、初めて解説いたします。

多くの投資家が何年たっても収益が上げられない問題点。それは「損大利小」のほかに売買の手法にあると考えます。一般に投資家は「安いところで買い、高いところで売る」ことを投資の基本として売買されていると思います。

そのため、できるだけ株価の安いところを狙い仕掛けます。もし、さらに株価が下げるようなら買い増しして平均コストを下げようと考えます。しかし、私はこのような売買を完全に否定します。

以前に「株価の高いところで買って、さらに高いところで売る」という方法を解説したことがありますが、正しくは「高いところで買って、さらに高いところで買い増しする」ということです。私はこの手法が正しい売買手法であると考えています。

私は以前に、これらについて検証を行いました。「買い上がり手法」と「買い下がり手法」を比較した場合、買い上がり手法は多くの利益を手にしますが、買い下がり手法は多くの損失を招く結果となりました。買い下がり手法が、まさしく現在の投資家の成績(多くの損失)となっているのが分かります。

買い上がり手法を実践で証明しているのが、投資家W・Dギャンです。テクニカル分析の理論はギャン理論と呼ばれます。ギャンはピラミッディング(買い乗せ、売り乗せ)という手法で成功を収めています。

ピラミッディングとは、値動きに対して順張りで仕掛け、相場のトレンドに乗って、買い増しして利益を上げる手法です。空売りについても同様に売り下がり(売り増し)で対処します。当然ながら、この手法は資金管理や売買ルールが構築された上で実践されるべきです。

ピラミッディング手法は、個人投資家では心理的、感情的に実践できないのではないかと思います。株価が上がれば、最初に買った価格よりさらに高い水準で買い増しするわけですから、安値買いになれた投資家には、かなり勇気が必要でしょう。通常では利食いするポジションなのに新たに仕掛けるわけですから・・・。「仕掛けは順張り、気持ちは逆張り」とはこのことです。

たとえば、100円刻みで買い上がるとした場合、買い上がりができる時は持ち株は常にプラス評価です。一方、買い下がりの場合、買い下がりができる時は持ち株は常にマイナス評価です。この結果が投資損益となってくるのです。

では、買い上がりの場合に利食いはどこでするのか。これは投資家それぞれの判断となりますが、たとえば、最後に買い付けした手前の買い付けポイントに達したら利食いするなど工夫すれば良いのではないでしょうか。理屈は簡単ですが、実践では感情が揺さぶられ難しいところでしょう。

私が常日頃から述べている「投資の常識は非常識」というのはこのようなことなのです。収益が上がらないのは、その手法が間違っているからです。間違っているから儲からないのです。

投資では「安いところで買って、高いところで売る」という非常識(間違い)に気がつかなければ儲かるはずもありません。このピラミッディングについては、反論が殺到すると思いますが、私は強く信じているところです。そして実践しています。