様子を見る

世界経済は混沌としており、リーマンショックを彷彿とさせるような荒れた相場が続き日経平均株価は音を立てて下落しています。日本をはじめ各国中央銀行の量的緩和だけでは、この状況を打破できるはずもなく悪戦苦闘しているようです。さらに中国経済のハードランディングが懸念されてきており、新興国に暗い影を落としている。

このような中、投資家は、自分の買った銘柄が下落しても、それを認められず、買った自分を正当化しようと必死になる。それでも株価の下落が止まらないと投資家は耐えられなくなり、損切りを迫られる。最後まで下落相場を受け入れなかった投資家がついに保有株を手放したとき下落相場は終息する。

通常、最後まで諦めなかった投資家が大量の投げ売りが出ると出来高は通常よりも多くなり、これにより売りが出尽くしたと判断できる。そして新たなトレンドが生まれる。投資の際は、買い残と出来高の両面に注視したい。

以上が通常の相場の転換点となるのだが・・・。しかし、現状を見てみると世界経済はあまりにも不安材料が多い。株価の混乱、原油安、産油国ファンドの売り、円高など。最近はドイツ銀行の不安説なども出てきている。やはり、何と言っても中国経済の危機であろう。一説では中国経済のクラッシュは、リーマンショックの4倍以上となるだろうと言われている。

このようなことから、我々個人投資家は不安でいっぱいです。荒れ狂う相場の中で、新規に仕掛けてもすぐに損切りとなってしまう。頭を抱えている投資家も多いのではないだろうか。

確かに、現在の相場はボラティリティが非常に高い。しかし、このボラティリティ対策をしっかり講じて売買すれば特に問題はないような気がしますが、いかかでしょうか。我々は「買い」だけではなく「空売り」という手法も利用できるわけですから・・・。空売りは怖いなどと言っているようでは荒れた相場を乗り切れません。

もし、多くの銘柄を保有していまさら引くに引けないという投資家もいるでしょう。長期投資だから我慢しなければという投資家もいることでしよう。そのような投資家も現在の混沌とした金融市場を見ると心穏やかではないはずです。

このように状況に追い込まれた投資家は、保有株をそのままにして、ヘッジ(保険)をかけてみてはいかがでしょうか。もちろん日経先物でも良いでしょうし、株式市場に上場されている225の投信などでも良いでしょう。しっかりとした対策を講じることです。

投資において一番いけないことは、窮地に追い込まれたときに「もう少し様子を見よう」という考えです。投資家の多くは、この「様子を見る」ことで、現状の窮地から逃げているに過ぎないのです。自分に対する方便でしかないのです。そして、結局は保有株が塩漬けとなり動きが取れなくなるのです。

「様子を見る」なら、何らかの対策をとってから様子を見るべきです。たとえば、損切りをするとか、ヘッジをするなどしてから様子を見るべきです。損失を恐れるあまり何の対策も講じないで、ただ様子を見ようなどとは初心者以下に成り下がっていることです。

もし、しっかりとした自分の売買ルールを持ち合わせていたなら、上記のような「様子を見る」ということはなくなるはずです。

投資市場は自由市場です。どのような売買しても自由です。しかし「自由」とは、規則があっての自由です。規律やルールのない自由は暴走し、最終的には崩壊を辿ることになるのです。自己ルールに忠実であれ。

 

辿ってきた道にその答えがある

年初来、市場は大きく動揺しています。そして日本銀行が金融政策にマイナス金利の導入を発表。現状では、低利回りだが、値動きは激しいという運用難が続くと考えられる。2016年も金融市場のボラティリティは高いと言ってもよいでしょう。

このような市場環境下で高いリターンを求めるには、やはり、ある程度のリスクを受け入れるしかありません。現在のようなボラティリティの高い展開では適正にロスカットを入れておいてもすぐにロスカットに引っかかってしまいます。

そこで投資家は大いに悩みます。今まで順調だったのに・・・。何が悪いのか、現在の投資手法がまずいのかなどと考え込みます。しかし、その原因の多くは、現在のボラティリティの高さにあるのではないだろうか。

以前にも解説しましたように、常に市場のボラティリティを計測しておくべきです。そして、ボラティリティの変化に合わせて投資のロジックを変化させるべきです。

市場が大きく変動すると、さらなる慎重な銘柄選択も必要でしょうが、市場全体が大きくブレる状況下では、今後の企業業績の優劣より、目先的な相場全体の変動に振り回されることになります。そのためには、ロスカット幅を少し大きく取るなどの対処も必要となってくるでしょう。

日本の株式市場はボラティリティが高く、リスクがあるとの考えから海外の投資はいかがだろうかと考える投資家も多いようです。しかし、グローバル化した投資市場では、その変動も似たようなものとなりますです。

まず、海外投資では為替という問題があります。まず、為替変動を予測し、さらに投資物件の分析と二重の分析が必要となってきます。結果的にはハイリスク、ハイリターンとなります。であるならば現在の東京市場と同じではないだろうか。

昔から「知らないものに手を出すな」という格言があります。日本市場での運用も難しいのに、ましてや海外市場での運用などさらに難しいものです。

現状がうまくいかないと、その原因も追究せず他のものに目が移りやすいものです。しかしなから、目の前の問題も解決できず、他に移っても成功するはずもありません。結局、現状の辛さから逃げ回っているに過ぎないのです。

「失敗した人の多くは、あきらめた時に、どれだけ成功に近づいていたのかに気付かなかった人たちである」という話もある。逃げてもまた元のところに戻るだけです。少し休憩しても、現在の問題点を分析して、次の投資活動に役立たせることです。今まで自分が辿ってきた道に、その答えがあるはずです。

メンタルとルール

最近の株式市場はボラティリティが非常に高くなっている。一日の変動も乱高下して方向性が定まらない状況にある。このような乱高下では、買い方も売り方もロスカットとなってしまう。「ロスカットしなければ良かったなあ」と思うところですが、サプライズにより反対に展開しただけであって、その確率は50%であるからやはりルールに従って実行するべきです。

勝率50%の世界で勝利するにはロスカットだけです。前回解説しましたように、ロスカットすることにより投資収益は倍増するわけですから・・・。

以前、ある会合でキャンブラーと称する人に会った。彼は世界のギャンブル場を回ってギャンブルで生計を立てているという。にわかに信じられなかったが話を聞いてみた。

「ギャンブルで勝つには何が一番大切か」と聞いた。彼いわく「勝とうとする強い気持ちと自分なりのセオリーを持つことである」と。これを私なりに解釈すると「メンタル面」と「ルール」となる。投資はギャンブルではないが相通ずるところがある。

ギャンブルだってサイコロを振ったときのように、その確率は50%程度ではないだろうか。確率が50%程度で、その中で勝ちに行くにはどうするべきか。やはり勝ちたいという強い気持ち(メンタル)とセオリー(ルール)なのだろうか。

株式投資を客観的に見て、たとえば10銘柄を買い仕掛けしたとする。確率50%とすれば、5銘柄上昇して5銘柄下降となる。下降となった銘柄をロスカットする。その後上昇となった銘柄も適切に利食いしなければ、今回のサプライズのように買値を割れてロスカットとなる可能性もある。よって実践では勝率が50%を下回ることになる。

投資でロスカットを忠実に実行すると、後はいかに利食いを的確に行うかである。この点が投資では利食いが一番難しいと言われる所以であろう。損が続いていると、気持ちも萎縮してしまい、少しでも損を少なくしようと、どうしても利食い幅が小さくなってしまう。これが人間の共通した意識であろう。

しかし、このような時ほど上記のギャンブラーが言うように「強い気持ち」が必要になってくるのだろう。強い気持ちとは「相場に対する万年強気」とは異なる。

投資の世界では、やはりメンタル面(感情のコントロール)が一番重要だろう。戦う前から弱気では、すでに戦う前に負けている。そして、次に来るのはやはり自分なりの売買ルールであろう。

多くの投資家は、どのような手法で売買すれば儲かるのかと、投資技法に走りやすいようですが、やはり投資の基本をマスターしてからの投資技法であることを理解するべきでしょう。

損切りの多様性

現在の悪材料を列挙すると、中国経済不安、元安・株価の混乱、原油安、産油国ファンド(SWF)の売り、円高、中東および北朝鮮の地政学的リスク、アメリカ経済・利上げの不透明感、大幅減益になるかも知れない米企業業績、移民が押し寄せる欧州経済、ロシアの経済危機など。これらの原因はすべて米利上げのせいとは思いませんが、何がしかの関係があるのは確実です。

原油安は日本において好材料ではないかという意見もありますが、原油の輸入だけを考えればそのとおりかもしれません。しかし、経済がグローバル化した現在では、産油国の収入減や世界経済の低迷となれば日本でも経済減速は免れないでしょう。

さて、以上のような世界経済の混乱の中で株式市場も大荒れの状況です。一日の値幅が驚くほど大きくなっています。日経平均の寄付き値が何百円も飛んで寄り付いています。これでは投資家も市場に振り回されてしまいます。

現在のような大荒れな市場でも勇気ある投資家は、ここがチャンスとばかり果敢にチャレンジしています。しかし、現在のような市場では、従来のテクニカル指標などは役に立たないのではないでしょうか。たとえ、テクニカル指標を現在の相場動向に合わせてうまくいっているように見えても、それらの指標が今後も利用できるという保障はありません。

大荒れの相場状況下で投資家が取る対策は、まず初心者であれば戦線を縮小する。損切りは確実に行う。自分の売買ルールに忠実に従うなどでしょう。また、今回の相場でたまたま大儲けしたからといって戦線の拡大は慎むべきです。

市場が大きく変動する状況では、小手先のテクニックなどは通用しません。損切りラインをしっかりと決めて確実に実行することだけです。

損切りの基準は投資家それぞれであると思います。多くは何%損失になったら損切りするなどが一般的であると思いますが、以前、当欄で解説しましたように金額での損切りも効果的であると思います。

100万円の投資で10%損切りは10万円の損となります。1000万円では100万円の損となります。つまり、パーセントの損切りでは投資金が大きくなればなるほど損切りの金額が大きくなります。そのため投資金が大きくなればその分プレッシャーも大きくなってきます。

それに変わり金額での損切りは損切り金額が常に一定です。たとえば損切り金額を30万円とした場合、100万円投資した時は30%での損切りとなり、1000万円投資した時は3%の損切りとなります。

損切り金額が常に一定しているということは、投資家にとってあまり大きなプレッシャーとならず平常心で投資活動ができるのではないだろうか。一度体験してみなければ分からないとは思いますが・・・。損切りにも多様性があってもよいのではないでしょうか。

適切なロスカット

現在の石油相場は今や需給相場ではなく、投機筋のおもちゃになっているような気もしますが・・・。サウジアラビアは長期化する原油安で歳入は目減りしており、手持ちの株式を売却して歳入確保を図るとも言われている。

さらに、イスラム国問題は全く収まっていませんし、それを受けた難民は今や2000万人にものぼるとされます。100万人を受け入れた欧州は立派ですが、その難民たちが引き起こす問題がドイツあたりでは社会問題化しつつあります。

ちなみに、ウォーレン・バフェット氏は石油株を買っているという。また、ジョージ・ソロス氏を含む大物投資家達は金の買い増しを続けているらしい。

以上のように、株式投資を取り巻く外部環境は混沌とし、片時も目を離せない状況です。よって、現在のような外部環境は読みきれないので、投資活動は一時休止しようなどと考える投資家も多いのではないだろうか。

私は、投資活動の全面休止にはあまり賛成はできません。最小単位ででも投資活動は続けるべきです。その理由については当欄で何度も説明してきました。

多くの投資家はシナリオを描いて投資活動をしているようですが、シナリオを描くから現在のような環境では恐れをなして手が出なくなってしまうのではないだろうか。

私自身も今後の見通しは無意識に描いてしまいますが、システム売買であるため、不安だからといって休むということはしません。休むときは分析システムの改良時に少し休む程度です。実践していると、なんとなくおかしいなと思うときがあります。そのようなときにシュミレーションを行いシステムの改良をしています。

私は、過去25年間の売買シュミレーションを行いました。その結果として得られた答えは、25年間の売買でおおむね右肩上がりの収益となったのですが、その売買に適切なロスカットを入れてシュミレーションをすると、その収益は2倍となりました。

現在のような不透明な外部環境の中での売買では、適切なロスカットを実行することにより、何も恐れることなく売買が可能となるのではないでしょうか。シートベルトをしっかり締めて頑張りましょう。