投資手法の検証

中国の証券監督管理委員会の主任は、出席した全国人民代表大会の部会で、集まった記者らに対して「株を買ってください。株を売らないでください」とパフォーマンスを披露したと言う。さすがにこれには中国メディアも「何を言いたいのか分かりますか? 私には分かりません」と酷評した。ほとんどが批判的だ。

米経済メディアのブルームバーグは、中国・上海株の暴落が加速していた昨年7月、習近平国家主席が手書きの文書で、株価維持を事実上命じていたことが分かった。異例の指令書で重大な危機感を示したにもかかわらず、国内外の投資家は総スカンで、株価対策も失敗に終わった。一方、人民元の国際通貨化も看板倒れで、当局は買い支えに必死という惨状だ。共産党一党独裁下の市場経済という大いなる矛盾が浮き彫りになっている。

中国当局は、株価も関係者を取り締まれば維持できると考えているのだろうか。市場経済は多くの人が自由な活動をすることで発展するもので、共産党の一党独裁体制で市場をコントロールすることなど不可能だろう。

『本来あるべき姿から乖離したものは、いずれ是正され、再び元の位置に戻される』と言う。結局、間違った手法は無駄であるということです。

さて、手法といえば、投資家はそれぞれの投資スタイル(手法)を持って投資活動に励んでいます。儲かる時もあるが損をする時もある。これが投資の世界である。巷には多くの投資手法が存在します。

しかし、あらゆる投資法を採用し投資に挑んだが結果はさっぱりという声が多いようです。これらについて私なりの考えを述べてみたい。

数多い投資手法の中で、明らかに使えない手法や間違っている手法がある。ひどいものには占いや星座から売買を判定するなどのいかがわしいものから、勝率80%などと謳った手法まである。

これらは論外であるが、投資とは「理論と実践」であるため、理論的根拠の希薄な手法は、まず除外するべきです。理論的根拠については投資家の判断に委ねられることになりますが、投資家自身が納得できる根拠であればよろしいと思います。勝率やパフォーマンスの良さに惹かれることなく、分析根拠を十分理解した上で採用するべきです。ただ実践で使える手法は、ごく一部でしかないことを理解しておくことです。

もし仮に、最終的には収益の上がる投資手法があったとします。その手法であっても常に勝ち続けることはないと思います。負けが続くこともあります。もし、収益の上がる手法と理解しつつも、連続して負けが続くと多くの投資家は止めてしまいます。これではいつまでたっても投資手法の確立はできません。

ここで私の提案ですが、もし、自分に合っている理論的根拠のある投資手法が見つかったなら、売買を最低単位で行い、相場の山と谷、つまり上昇トレンドと下降トレンドの両方について売買してみることです。

相場には追い風や向かい風があります。また、偶然やサプライズということもあります。そのため上昇だけ、下降だけの検証ではなく、相場の山と谷の両方において実践売買して検証するべてきです。これらによって、その投資手法が正しいか否かを見極めるのです。多くの投資家はちょっとかじっただけで「これはダメ」と結論付けしているようです。ある程度の期間は検証してみることです。

ここで、自分に合わない手法でも検証するべきかという問題が発生しますが、私は投資家に合わない手法は無理に採用する必要はないと考えています。なぜなら、投資の世界では極度のトレスが発生します。その上で自分に合わない手法の採用は更なるストレスとなる可能性があるためです。投資とは継続して行うものです。そのためできるだけストレスは最小限に抑えたいものです。

問題解決の極意

人は、何かうまくいったとたんに、ふと力が抜けて安心してしまうことはあるものだ。根を詰めて頑張ったら、あとはこのままうまく回ってくれるはず・・・。そんな気持ちにあぐらをかいてしまいたくなる。

あるいは、うまくいかなかった時には、やったところで・・・といった気持ちになることもあるかもしれない。成功するために精一杯の力を出すが、いったん成功するとその心地よさに身を任せて、それまでの努力を怠ってしまいたくなるものだろう。

投資でも同様なことが起こる。うまくいっているときは何をしてもうまくいく。うまくいかないときは何をやってもダメ、という経験された方は多いはずです。うまくトレンドに乗っているときはどのような投資手法でも儲かる。

一旦トレンドが反転するとすべてうまくいかなくなる。このような現象は投資家に投資技術がないことを証明するものである。なぜなら、投資家の技量で儲けているのではなく、たまたま偶然、トレンドに乗ったときだけ運よく儲かるだけである。そこに投資家の投資能力は存在しない。

もし、投資家に確たる投資技術があるならば、たとえトレンドが反転しても儲け続けられるはずである。よって、投資の世界で「投資の継続性」は、とても難しいものとなります。

投資家は常に儲け続けようと日頃から投資の継続に努力し、試行錯誤されているのではないだろうか。しかし、その努力に比例した成果が上がらない。努力は続けているものの、果たしてこれが正しい努力なのだろうかとふと疑問に思うときがある。「努力しても得られないこともある。しかし、努力しなければ何も得られない」という言葉が頭をよぎり、さらに苦悩は続く。

世間では「自分を信じて努力すること」などと言っているようだが、これがまた難しい。私自身も分かっているが実行することは難しい。

では、投資のアイデアを生み出すために何をどのようにすればよいのだろうか。これは私なりの考えですが、投資に限らずあらゆる問題解決に利用できるのではないだろうか。

まず、あらゆる角度から発想することが必要になる。一見関係がなさそうな事物の間に関係性を見出す力を養うことで、こうした作業がやりやすくなるだろう。

私の場合はテクニカル分析が専門であるが、テクニカル分析は過去の数値を検証、分析することにある。過去の検証は「歴史」と言うことにもなる。私は日本の歴史や世界の歴史なども勉強することがある。一見相場には関係ないように思われるが、「過去の検証」という共通した事柄でもある。アイデアを生み出すためには、あらゆる角度から発想することが必要になるのではないだろうか。

問題解決や新しい発想をするときには、その解決策を思いつくままに自分の中に、アイデアのもととなる情報をインプットし続けることです。ここで大事なことは、そこにインプットした情報をもとに問題を解決しようとしないことです。常に情報だけはインプットして、いったんそこから思考を離してみることです。

問題解決のアイデアの元となるあらゆる情報を頭の中に箇条書き的にインプットしたらあとは何もしないことです。この「何もしない」ことがポイントです。

人は歳を取ると、ある人の顔は思い出しても名前が思い出せないときがある。しかし、あるときフッと思い出すときがある。これは脳内のデータベースへのアクセスに時間がかかったためである。

これらと同様に、ちっとも生み出せないはずのアイデアが、忘れたようなときにフッと湧き出ることがある。これはいきなり生まれた考えではなく、自分の中のあらゆる情報が結びつき、うまい具合に成熟した瞬間となる。これが「ひらめき」というものであろうか。

これらの現象を分かりやすく説明すると、アイデアの発想はジグソーパズルに似ている。問題解決のアイデアの元となるあらゆる情報をジグソーパズルのピースとする。そのピースを組み合わせて最後にジグソーパズルが完成する。

ここで、ピースを組み合わせを脳内のデータベースにアクセスしながら組み合わせの完成を待つのです。自分で考えたりしないことです。脳内のデータベース(蓄積された過去の体験)から最適な結果が生み出されるのを待つのです。

問題が大きい場合は、そのピースも多いということになります。ピースが多ければその組み合わせ時間も長くなります。すべての情報をインプットしたら、あとは焦らず待つことです。必ずひらめきます。

どんなことでも関心を持ち、できるだけいろいろなことに挑戦し、少しでも疑問にはチャレンジしてみること。そのような姿勢を持つことによって、いつもそのことを考えているわけではなくとも、いずれ関連することを常にインプットし続けた成果が自分に現われるのです。
拙者の格言

『問題解決の極意:その問題について、考えられるあらゆるすべての事項を頭にインプットする。そして、その問題を解決しようと考えず、その問題からいったん離れる。しばらく時間をおくと必ず正しい解決策がひらめく。自然に正しい方向に進む。焦るな。』

変化に沿った売買

最近の世界情勢を見てみると「世界経済の回復は続いているが、なおまだら模様であり、力強く持続的で、均衡の取れた成長という目標を下回る」「金融政策は引き続き、経済活動を支援し、物価安定を確かなものにするが、金融政策だけでは均衡成長は実現できない」。

我々投資家としては、世界情勢が持ち株にどのように反映するか、また、その対策はと聞かれても「まったく分からない」と言ったところではないだろうか。漠然とは理解できるが明日の持ち株の予想はつかない。

世界情勢がめまぐるしく変化しているのは分かるが、今後の相場展開を自分の売買にどのように結び付けていくか分からない。確かに、このところの株価の変動を見ていると株価の変化が著しい。

これらの株価変動をテクニカル的に分析してみた。一日の株価の変動を過去6ヶ月間にわたりTOPIX採用銘柄(2000銘柄弱)を調査してみると、最近の株価変動は通常の変動より5割り増しの変動となっていることが分かる。

TOPIX採用銘柄の一日の始値、高値、安値、終値をみて、始値に対してどのぐらい変動しているかを調査([高値-安値]÷始値)してみると、過去6ヶ月では平均して1.2%の変動となっている。通常の変動は0.8%前後であるため、実に5割り増しの変動となっている。

このように最近の株価変動は大きく乱高下しているのが分かる。これらも世界経済の不安定さを物語っていることが、株価変動によっても読み取れるのではないだろうか。

上記のように、最近の株価変動が大きいため理論的にもテクニカル的にも損切り幅もそれらに準じたものにしなければならない。つまり、損切り幅を従来の損切り幅の5割り増しにすることです。今までは10%で損切りと決めていたものを最近の相場では15%で損切りにしなければ相場に沿った売買とはならない。

相場が大きく変化しているのに、分析指標や損切り幅もいつも同じでは収益には結びつかない。今までは順調に収益を上げてきたのに、突然収益が落ち始めたなどは、相場が変わったことに気づかず従来の分析指標を使い続けているためでもある。

我々には今後の世界情勢などは分からないものの、通常のテクニカル分析でもその変化は捉えられるものです。以前にも申し上げましたように、常に相場のボラティリティに注意を払い、それらに沿った売買を目指すべきです。

相場はあらゆる情勢を織り込み常に変化しています。「流れに棹させば流される」とあるように、その変化に沿った売買を行うことが成功への近道ではないだろうか。

人間とコンピュータ

日本経済はそんなに悪くないのに株価だけが大きく下げているような気がします。アナリストは、その要因のひとつとして、東京市場での最大級の売り手は、主要産油国の投資家(政府系ファンド)のようであり、原油価格の急落に伴う収入減を穴埋めするためだと言う。

以上のように、投資銘柄のファンダメンタルズだけでは判断できない外部的要因が大きく影響しているようです。やはり、投資世界は内外のあらゆる要因が複雑に絡み合って市場を形成していくものです。難しいものです。

さて、最近のニュースに「人工知能(AI)による株式投資」と題した記事があったので読んでみました。その記事によると。

『将棋や囲碁の世界でプロを撃破する人工知能(AI)が、株式市場でも存在感を見せ始めた。株価指数の騰落 予想における的中率は現在7割近くとなっており、将来的には8割まで 確率を上げることが可能、とAIモデルを研究するストラテジストは言う。投資の的中率について「上がるか下がるかなので50% が基準になり、そこからどれだけ高められるか。今まで出てきたモデルは57-58%で、今回70%近くまで持ってきたのは飛躍的な進歩」と話す。精度の向上に関しては「人工知能の動きがちょうど株価の動きに合っている」とみている。

もっとも、AIによる予想は計算量が多く、コンピューター の能力に左右されるため、現時点では取り込むデータに限界がある。「良いモデルを選ぶことはできているが、それを選ぶまでに1、2カ月 かかり、その間負けてしまう。良いモデルが選ばれたら、しばらく当たりだす」と。コンピューターの容量拡大などで改善が図られれば、前月比の高安を的中させる確率は「80%近くまで上がる可能性が十分ある」としている。』

このようにコンピュータ「人工知能(AI)」は日々進化し、近いうちに将棋や囲碁、チェスなどはコンピュータには誰も勝てないという時代が必ずくる。さらに近い将来、現在の職業の半分はコンピュータに置き換わってしまうと話もある。

人間とコンピュータの大きな違いは何だろう。それぞれに得意分野はあるだろう。コンピュータであれば計算能力や処理速度であろう。人間であれば想像力や感情であろうか・・・。

では、株式投資にとってはいかがだろうか。上記の記事に「精度の向上に関しては人工知能の動きがちょうど株価の動きに合っている」とあるように、コンピュータはON、OFFの世界、投資は売り、買いの世界。どちらも二者択一の世界であり、相性が良いのかも知れない。

人間とコンピュータの違いに感情の有無がある。人間には感情があり、勝てば嬉しくテンションも上がる。これだから相場はやめられないという投資家も多いのではないだろうか。ただ、感情と勝敗は相反するような気もするが・・・。

それにひきかえ、コンピュータには感情が一切ない。プログラムで指示された通りの仕事をこなす。勝とうが負けようがお構いなしに指示を出す。しかし、コンピュータもそのプログラムも人間が作ったもの。その指示が間違っていれば結果も間違うことになる。この問題をクリアしようと、上記の記事のように日夜奮闘しているのでしょう。

いずれにしても、コンピュータの進化は早く、いずれほとんどの仕事はコンピュータに置き換わってしまうでしょう。それであっても人間ではなくてはできないことはあるはずです。それは想像力でしょう。

これからの投資家は想像力を駆使し、投資をシステム化して、その構築のプロセスの中に楽しみを見出し、そして、その成果に喜びを味わうべきでしょう。
『想像力を働かすことは、知識を得ることより格段の価値がある。知識は我々を後押ししてくれるが、想像力は道を切り開き、未知の領域に導いてくれる』