努力に無駄はない

私の語録に「結果に依存しすぎると、人生は意味を成さなくなる。結果とは関係なく、そのプロセスの中に、いかに楽しみ、喜びを見いだすかである」とあります。つまり、努力し続けることに価値があり、その過程において人間的な成長が育まれるものと考えます。

投資の世界のように、努力しても期待する結果が得られないことも多い。しかし、努力しなければ何も得られない。私も長い間投資の世界に身を投じ頑張ってまいりましたが、たしかに努力に対する見返りはごく少ないものです。

しかし、ここであきらめたら今までの努力がすべて無駄になります。紆余曲折の努力の中に、投資以外の何かを発見することもあります。人生における何か大切なことを見出すこともあります。

努力することにより、結果的には本来の目的を達成できなくても、目的以外の貴重な体験を得ることができるものです。これは私の経験上、間違いないところと考えています。つまり「努力に無駄はない」ということです。トータル的には必ずや努力に見合った、いや、それ以上の何らかの見返りはあるものです。

たとえオリンピック選手がメダルを取れなくても、そのプロセスの中に人生における大いなる財産を築いているに違いありません。結果をあまり考えすぎず、今できること、今しなければいけないことをしっかり積み上げていくことが大切なのではないでしょうか。あきらめず決して断念しないことです。そしてチャレンジすることです。

デイトレードについて

私自身はデイトレードは行いませんが、デイトレードについてのご質問が多いため私なりの基本的な考え方を説明してみます。デイトレードについては、多くのノウハウ本が氾濫していますが、投資の基本だけはしっかり身に着けてから実践に入ってください。

株式投資の三要素は、相場観測、銘柄選択、売買テクニックですが、デイトレードは一日での手仕舞いですから相場観測はあまり必要ないようにも思えますが、デイトレードにおける相場観測は、トレンドの方向性の確認程度は必要かと思われます。

次に銘柄選択ですが、取引されるている銘柄も多くありますので、その中から銘柄を見つけ出すには何らかの基準が必要です。まず銘柄選択時には、出来高(取引量)が多いことが必須となります。株の売買をする場合、出来高の多さは非常に重要です。日中の取引銘柄の出来高がどう変化しているかにも注視しなければなりません。

出来高の多い銘柄は、出来高の少ない銘柄に比べチャート上の出来高の増減がはっきりしています。この増減に慣れてくると、それに伴って次に株価がどう動くのかある程度理解できるようになります。

続いて、株価の値動きの幅が大きい銘柄を選択します。出来高が多い銘柄でも、値動きの悪い銘柄もあります。銘柄によって出来高はランキング上位に入っているにもかかわらず、値動きはほとんどしていない銘柄もあります。いわゆる低位株と呼ばれる銘柄ですが、1日の値幅が3円から10円程度で、何千万株も取引される銘柄です。このような銘柄は資金力のある証券ディーラーなどに好まれますが、個人投資家には向きません。

デイトレードで扱う銘柄は、値動きがある程度激しい銘柄、一日の値動きの幅がその銘柄の株価に対して5%以上の銘柄を扱うことが多いようです。なぜなら、一日で利ザヤを稼ぐデイトレーダーにとって値幅の広さが重要だからです。

例えばA社の株価が現在3000円で前日の高値が3150円、安値が2950円だった場合、(高値3150-安値2950)÷3000 =0.066。つまり6.6%の値動きがあることになります。これくらいの値幅があれば十分利益を得ることが可能となります。従ってデイトレードをするなら必然的にこのような動きの銘柄を選ぶことになります。

次に、板に注文がしっかり入っている銘柄の選択となります。板とは現在の値段に対して、注文がどれぐらい集まっているかを示す買い注文と売り注文の集合体のようなものです。値動きが荒い銘柄でも、この板の注文がしっかり入っているような銘柄はチャートの動きがわかりやすくなります。

以上が銘柄を選ぶコツとなります。このような特徴を揃えた銘柄の選択となります。銘柄選択は、公開された出来高ランキング上位銘柄などから選択すると容易に選ぶことができるでしょう。また、銘柄選択時には株価の値段によって、5円刻みだったり、10円刻みだったりしますので呼値には注意してください。

銘柄選択ができたら次は実践に入りますが、その前に売買のルールを決めておかなければなりません。

第一にはやはりリスク管理です。つまり損切りの徹底です。損切りはデイトレードにおいて絶対に不可欠な行為です。デイトレードのノウハウ本やウェブサイトでも損切りの重要性は記載されています。損切りについては、いまさら詳しく述べる必要はないと思います。

さらに、ポジションサイズも決めておかなければなりません。ポジションサイズは、現在用意している投資金に対して、どのくらいの資金を一回のトレードにつぎ込むかということです。

デイトレードを始めた初心者が、投資金をフルに使用して取引を行ったならば、おそらくポジションを持った後、心理的に大きな負担がかかるかもしれません。身の丈に合ったサイズで取引するべきでしょう。

またレバレッジをかけるか、かけないかという問題も発生します。これらについても投資家の経験や熟練度によって決めるべきです。たしかに扱う資金量が大きくなれば、当然ながら利益も大きくなりますが、その分損も大きくなります。あせらないことです。

続いて利食いについてですが、利食いについては常日頃から述べていますが、投資では一番難しいのではないかと思います。一発で最高の利食いは難しいので、分割決済などで対処してはいかがでしょうか。

ある投資家が言っていました。「利食い幅と損切り幅を同じにしているんだよ」と。一瞬、それでは儲けが出ないのではないかと思いましたが、彼いわく「勝率を上げるんだよ」と言う。確かにそのとおりではあるが、どのようにして勝率を上げるのだろうか。いろいろな売買法があるもんだなと感心しました。

デイトレードには向き、不向きがあるため、積極的にお勧めするものではありませんが、いずれにしてもルール厳守で挑みたいものです。

投資技術の以前に

当欄は投資に対しての解説であるのに、あまり技術的な解説がないのではないかと思われるかもしれません。。まさにご指摘のとおりです。私自身もテクニカル派を自認している立場からもっと投資技術の解説するべきであると思うのだが。

ここで言う投資技術とは、相場観測や銘柄選択、売買テクニックであろうが、私としては、これらの技術を習得する前にもっと大事なものがあるような気がする。たとえば、投資技術の上からここで損切りしなければならないとしても、それを確実に実行できなければ何にもならない。これでは絵に描いた餅になってしまう。

誰でも投資技術を身につければ即収益に繋がると思い、投資セミナーに出かけて行き、また、投資指南書をむさぼるように読む。その内容の真贋は別として、それらを習得して現実的に収益を上げられただろうか。何が間違っているのだろうか。

投資は投資家の最終決断によって実行される。その実行時の投資家の心理状態を考えてみよう。もし、その投資家がトータルで収益を上げているならば、損切りも容易にできるであろう。しかし、技術的にはここで損切りしけなければならないことは分かっているが、損失額を計算すると大きな損失となり損切りを躊躇してしまう。

投資の世界では、このようなことはよくあることで、大きな損失になる前に何らかの手立てはなかったのだろうか。大きな損失を被らないためにも確固たる投資技術も必要なのだが・・・。

さて、投資家は大きな損失を被ると「こんなはずではなかったのだが・・・」、あの時ルールを守っていればと後悔し心が折れてしまう。しかし、その後悔は何度も繰り返しやってきていまだに改善されない。何が悪いのか。

ある資料に「心が折れやすい人と逆境に強い人の思考習慣の違い」について書いてあった。心が折れやすい人の思考習慣には次のような特徴が共通して見られるとのことです。

「いつも誰かと比較して自分の欠点ばかり見ている」「相手の嫌な面ばかり見て、相手が全て悪いんだと思い込んでいる」「漠然とした不安や心配を堂々巡りさせている」「視野が狭くいろいろな視点から物事を見つめられない」「物事を先延ばしにして、行動できない」「自分ではどうしようもない環境にばかり愚痴をいっている」「完璧にやろうとしすぎて疲弊する」「過去の失敗にずっとクヨクヨしている」

皆さんはいくつ当てはまっているでしょうか。私としては、悲しいかな、ほとんどの項目に当てはまっている。誰でもいくつかの項目は合致していると思います。これらの「心が折れやすい人」が克服する方法は、市販のノウハウ本などにいろいろと書かれているので今更ここで述べる必要もないでしょう。

要は、追い詰められたときにどう対処するかである。誰でも追い詰められると、心が折れ、ネガティブになり最後にはパニック状態になる。これでは投資に限らず何事でもうまくいかない。

私はこのような考えています。どのような冷静な人でも追い詰められると正しい判断ができなくなる。では、追い詰められる状況をいかに回避するかである。投資には絶対はないが、追い詰められる状況をできるだけ作らない方法を考えてみてはいかがだろうか。

「追い詰められる状況を作らない」ということは、究極的に投資の世界では「大損しない」ということではないか。投資では損失は避けられないが、大損は避けられるような気もする。

大損を避けるにはどうすれば良いか。これは簡単なことです。「こまめな損切り」です。そんなことは分かっているとブーイングされそうですが、物事を突き詰めていくと、究極はシンプルでやさしいことなのです。投資の世界は、売りと買いしかないので何も複雑に考える必要はないのです。シンプル・イズ・ベスト。

上記のように、投資で成功するためには投資の技術的な問題以前に、投資家自身が克服するべき問題があるような気がします。このようなことから、当欄では投資技術以前の問題をテーマとして多く解説しています。この点をご了承ください。

中国問題

安倍総理大臣は憲法改正について「自民党は、そもそも憲法改正をするということで立党しており、私たちの憲法改正草案は示している。国会の憲法審査会に議論の場がしっかりと移っていき、そこで議論し、どの条文をどのように変えていくかということに集約されていくことになるだろうと思っている」と述べました。

では、なぜこの時期に憲法改正の話題が持ち上がっているのだろうか。戦後70年を過ぎて、現在の日本国憲法が現状にそぐわなくなってきているからだろうか。そもそも日本国憲法とは、国家権力の組織や権限、統治の根本規範(法)となる基本原理・原則を定めた法規範を言うものである。

現在の日本国憲法は日本人が自ら作成したものではなく、日本の敗戦後に「マッカーサー草案」なるものとして作成された経緯ある。つまり。戦勝国が作成した憲法ということになる。これらの点で、戦後70年も過ぎているのだから、ここらで我国独自の憲法をつくろうではないかと機運が高まってきたのだろうか。

憲法改正には反対意見も多い。日米安全保障条約、集団自衛権(仲間の国を守るため武力使う権利)や自衛隊のあり方など。また「今まで日本は平和だったのに、戦争をする国にするのか」などの過激な発言も多い。

ここで少し冷静になって考えてみよう。なぜこの期に及んで憲法改正なのかと。私なりに考えてみた。それは「中国」が原因ではないだろうか。ご存知のように、南シナ海をめぐる中国の主張や行動は国連海洋法条約違反などとしてフィリピンが申し立てた仲裁手続きで、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は、中国が「歴史的権利」として主張する「九段線」について国際法上の根拠は認められないとの裁定を公表した。

中国の拡張主義による海洋進出。日本では、日本の固有の領土である尖閣諸島が現在問題となっている南シナ海をめぐる紛争と同様に中国の主張や行動が日本にも及ぶのではないかという不安から、憲法改正が話題となっているのだろうか。これらに対し、現在の憲法では日本の防衛はできないのではないかなど。これらの矛盾から憲法問題が巻き起こっているのだろう。

お隣の国であっても価値観や歴史観が大きく異なれば、なかなか話し合いで解決できないところもあるのだろう。憲法に縛られて身動きが取れない。難しい問題である。以上が私なりの稚拙な考えではありますが・・・。

中国の話題が出たところで、中国の経済状況は現在どうなっているのだろうか。中国のバブル崩壊などと叫ばれて久しいのですが、かつての日本のような急激なバブル崩壊とはなっていないようだし、はたまた、バブル崩壊の前夜なのだろうか、それともバブルなどないのか・・・。

では、中国経済を数値の上から考えて見ましょう。中国の企業債務残高対GDP比は2010年頃まで100%に留まっていたが、それ以降は企業債務残高の増加が止まらなくなってしまった。その後、GDPは下がっているにもかかわらず債務残高だけが積み上がっている。また、与信の伸びが大きくなっている。つまり、銀行などの貸付金額が大きくなりすぎている。

経済全体のGDPが伸びていないのに企業の借金だけが増えている。借金には利子がつき、その利子が払えなくなると借金は複利で増えていきます。中国はどこまで持ちこたえられるのか。現在の中国の企業債務はGDP比で160%を超えている。一般的に経済成長が悪化するのはGDP比で85~90%からと言われている。

伊勢サミットで、安倍首相は「リーマン・ショック前夜」という発言をした。反応は冷ややかだったようだが、安倍首相はこのことを指しているのではないだろうか。中国経済のハードランディンクは不可避であると・・・。

投資の世界にいる者は常にリスク管理は怠るべからず。

感情を排した投資

株価の変動率が高くなると当然ながら投資環境はハイリスク・ハイリターンとなる。ハイリスク・ハイリターンとなると、どうしても投資家のストレスも高まってくる。

このストレスは投資家にとって厄介なものとなる。ストレスと投資収益は表裏一体のものであり、投資活動を続ける限りストレスは切り離せないものである。そこで、このストレスに関して、学者たちが研究した文献がありましたので紹介しましょう。

ケンブリッジ大学のジョン・コーツ氏とジョー・ハーバート氏は、ロンドンの株式市場で働く複数の男性フロアトレーダーからさまざまな種類のホルモンを採取、その量を測定した。その調査は、ホルモンの分泌パターンが市場の動きやトレーダー個人の成績(またはその両方)と関連があるかどうかだった。

研究の結果、2つのことがわかった。そのうちの一つはコルチゾールに関するものだった(コルチゾールはヒドロコルチゾンとも呼ばれる。副腎皮質ホルモンの一種である糖質コルチコイドの一種)。

ストレスを受けると、コルチゾールの分泌が促進されるという。肉食獣に襲われそうになった動物が逃げるときのようなストレスを受けた場合、コルチゾールは命を守る役割を果たす。だが、人間ならではの慢性的な心理的ストレスにさらされれば、長期的にコルチゾールの分泌量が増え、ストレス関連の疾患にかかるリスクが高まる。

では、トレーダーのコルチゾールの分泌量はいつ増えたのだろう。損失を出したときと思うかもしれないが、実はそうではない。コルチゾールの量が増えたのは市場の変動率が高いときだった。物事をコントロールできないときや状況が予測できないときに心理ストレスが生じることを考えると、非常に納得がいく。

コルチゾールは全身に影響するだけでなく、認知や感情、行動にも及ぶ。コーツ氏とハーバート氏はこの結果から、「コルチゾールの量が増えると、トレーダーの意思決定にどのような影響があるのか」という極めて重要な疑問を思いついた。

これこそコーツ氏とその同僚が今回の研究で取り組んだテーマである。この研究結果も米国科学アカデミーで発表された。

コーツ氏らはボランティアの被験者にコルチゾールを投与した。投与量を慎重に調整して、08年の研究で観察した中程度のストレス状態を作り出し、その後、被験者にリスクを伴う金融ゲームをしてもらった。

どのような結果になったのだろう。コルチゾールの量が一度上昇しただけでは何の変化も起きなかった。しかし、8営業日続けてコルチゾールを投与すると、被験者は金融ゲームをする際にこれまでとは違った行動を見せるようになった。期待収益が低くなり、同じような投資の仕方を繰り返すようになった。言い換えれば、被験者はリスクを取りたがらなくなったということだ。

これも過去の研究と一致している。被験者がある方法で難しい課題にうまく対応できるようになったとしよう。突然、その方法で対応できなくなったとしたら、被験者は新しい戦略を試みるべきなのだろうか。

おそらくそうだろう。しかし、こういう状況に直面すると、私たちは新しい方法を試さず、これまでのやり方に固執することが多い。幸運を祈ったり、勝負下着を身につけたりして、同じことを何度も繰り返す。繰り返すスピードは速くなり、回数も多くなる。

これまでの研究で、人間も実験動物もストレスとコルチゾールによってこのように物事に固執することが明らかになっている。こうした結果は気がめいるような生物学的事実にも裏付けられている。ストレスが続いてストレスホルモンにさらされると、意思決定において重要な役割を示す前頭葉が萎縮してしまうのだ。

市場の変動率が高くなると、ストレスホルモンの分泌量が増えて、その結果、人々はリスクを回避するようになる、とはどういうことなのだろうか。トレーダーにとってプラスなのだろうか、それともマイナスなのだろうか。

コーツ氏も強調しているように、最も重要なことは、我々は物事をできるだけ効率的に行う機械ではなく、あらゆる行動が生物学的な見えない手に操られている生命体であるということだ、と結論付けている。

以上が学者の研究結果であるが、要は「我々は物事をできるだけ効率的に行う機械ではない」と言うことであろう。我々は効率的に行う機械ではないため、結果的に相場では負けるということを証明しているのだろうか。

人間には感情がある。感情は機械ではない。よって効率的な投資はできないということなのだろう。では、この逆説的な行動では投資で成功を収めることができるということなのだろうか、つまり「感情を排した投資」である。

投資家は、これらの点を十分に踏まえて投資活動を行うべきであると思います