投資の真髄や理論

投資家はそれぞれ投資戦略を持っていて「自分のやり方は常に正しい」と思いがちです。また、投資関連の書籍では常識とされるような必勝法が紹介されている。しかし、それを無条件で信じるのか、また、一つの仮説として実際に検証してみるかで大きな違いが出てきます。

前回もゴールデンクロス売買を解説しました。これらを実際に模擬売買をしてみると、累積損益がプラスになる期間はあったものの、マイナスになる期間もあり、常に良い結果が得られなかった。

では、その他のテクニカル指標ではいかがでしょうか。自慢するわけではないのですが、私ほどテクニカル分析の研究をした者はいないのではと自負しています。当然ながら今までほとんどのテクニカル指標の検証は行いました。

しかし、その結果としては、上記のゴールデンクロス売買と同様の結果となっています。そのため現在ではオリジナル指標の開発にまい進しています。今でも夜遅くまで研究しています。

そこで最近感じることをお話してみたいと思います。株式投資では売りと買いしかないわけですから売買システムもあまり複雑にする必要はないということです。以前に移動平均線を何本も引いて「ここの時はこうする」などと熱心に説明したシステムもありましたが、そのシステムも今はない。

システム開発で一番陥りやすいミスとは「最適化」という罠です。最適化とは過去の一番良いところだけをチョイスして集計しているだけです。ですから過去のパフォーマンスはすばらしいものとなります。

投資家が、これらのパフォーマンスを見て「これはすばらしい」とシステムを採用する。その結果は明らかである。過去の右肩上がりのパフォーマンスから実践に入ると見事に右肩下がりとなります。当然です。そこに明らかに理論はなく、過去の良いとこ取りであるから・・・。私もこの罠にはまり時々失敗することもあります。

では、「テクニカル分析における理論などと偉そうなことを言っているが、あなたは理解しているのか」と質問されそうですが、偉そうに言っている私にも分かりません。ただ、言える事は、明らかに間違っているところを排除していけば、自ずからそこに投資の真髄や理論が存在するのではないでしょうか。これは明らかに無責任な回答でしょう。ごめんなさい。

私は今でも投資の真髄や理論が分からないから研究を続けているのです。しかし、最近の研究で分かってきたこともあります。あるひとつの分析指標である程度の期間(日足ベースで20年間)で緩やかではあるものの収益の上がるシステムが出来上がったとします。

そこに更に収益を上げようとあらゆる分析指標を追加して、そのパーフォーマンスを検証します。多くの指標を追加すると、それなりに収益はアップするものの満足する成果は得られませんでした。

納得しないまま、検証を続けているうちに画期的な指標を発見しました。実にその成績は50%アップとなりました。その指標とはいったいなんでしょうか。それは「損切り」でした。損切りを入れることにより「成績が50%アップ」、すばらしいではありませんでした。

投資とは売りと買いしかないシンプルなものです。なにも難しく考える必要はないのです。投資の真髄や理論はこのようなところにあるのかなあと思う今日この頃です。

己のほかに敵はなし

最近のの投資成績はいかがでしょうか。世界情勢の変化や不透明感の漂う経済状況の中、今後の市場を見通すことも難しくなっているようです。

日本の相場の歴史は江戸時代のコメ相場からと言われています。「相場の神様」と讃えられた本間宗久。宗久が残した「秘録」は21世紀の迷える投資家のバイブルとして頼りにされているようですが、現在、テクニカル分析に使われる「ローソク足」の考案者とも伝えられています。

このように日本の相場には長い歴史がありますが、その間に多くの相場師が輩出されました。伝説の相場師として名を残している投資家も多い。しかし、私が調査した結果では、これら相場師の晩節は有終の美とはなっていないケースが多いように感じました。

今でも著名な相場師と記憶されている投資家も調べてみると、途中で破綻状態となっていたが、幸いに助け舟を出してくれる人がいて助かったという話もある。れらから理解できることは、いかに相場は難しいかと言うことです。

相場はなぜ難しいのだろうか。相場が難しい原因は、投資家自身が難しくしているのではないか、とも考えられる。なぜなら「欲には際限がない」ということに起因している。儲かればもっと儲けようとして、さらに大きな資金を賭けようとする。つまり、欲のエンドレス状態である。これが一番大きな原因かもしれない。

もうひとつは「自己否定の拒否」であろうか。簡単に言えば、人は誰でも自分の考えは常に正しいと思っている。常に正しい行動をしていると考える。そこに自分が相容れない状況が入ってくると本能的に拒否する行動をとる。これは人間として当然の行為である。これは人間が生きていくための本能的な行為とも言える。

この本能的な行為は、相場においては「損失の拒否」という行動に繋がる。つまり、損失を受け入れたくないという心理が働く。結果として、損切りができないことになる。相場で「損切りができない」ことは致命的である。

このように相場を難しくしているのは、やはり「自分自身」ということになる。相場で負ける原因を世界情勢や経済状況のせいにするのは間違っている。私の語録に「己のほかに敵はなし。向かう敵は自分だけ」とある。

かなり精神論的になってしまいましたが、投資はビジネスと考えるも相手がいない。投資活動はひとりで悶々として行う。かなりハードである。そのためメンタル面が弱いと損失を被る前に人間的に破綻してしまうということも起こりえる。

しかし、メンタル面を鍛えると言っても一朝一夕で容易にできるもではない。上記のように人間としての本質を見極め、相場から距離を置いて客観的に捉え、感情移入せず売買することが良いのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

間違っているから・・・

米国の新大統領となったトランプ氏は就任演説で、「国を再建する。ワシントンから皆さんに権力を移す」と発言。選挙戦で訴えた「米国第一主義」を進めて、国内雇用の維持・創出や移民問題、社会基盤の修復をすることなどに言及した。

トランプ氏は減税についても言及している。もし、これらが実現するのであれば米国の景気は上向くだろう。米国の景気が良くなれば、当然ながら日本においてもその恩恵はあるだろう・・・。

日本の政治家や経済人は、トランプ氏の大統領就任で彼は政治経験もないし、その発言も際立っているので、今後の見極めが非常に難しいなどと口をそろえて言っている。しかし、そんなことを言っていても始まらない。その時々の情勢を的確に見極め、判断していくのが政治家であり実業家であろう。

「その時々の情勢を的確に見極め、判断していく」のは、投資家においても同じだ。投資家は先行きは分からないものの、現時点て的確な判断を下していかなければならない。投資とは将来に対して行うものであるが、その決断は「今」である。

結果として、現在の判断が正しければ将来は収益を生むし、間違えれば損失を被る。ただそれだけのことです。これを逆の方向から見てみると、現在、損切りし損失を被ったとすれば、それは、それ以前の判断が間違っていたことになる。

つまり、結果的に損をした、または損をしているということは、判断が間違っていることになる。もちろん投資の世界であるから損をすることは常にある。しかし、長期投資は別として、短期売買で何度も売買しているにもかかわらず2年も3年も利益が出ないということは、その判断が間違っているのではないだろうか。

「間違っているから儲からない」という図式ができあがる。では、間違いを正そうとする。しかし、何が間違っているか本人も分からない。当然だろう、これが自分の正しい投資法だと信じて今までやってきたのだから・・・。

ある自動売買のニュース記事があったので紹介します。

『日経平均連動型ETFで5日と25日の移動平均線を使って「ゴールデンクロスで買い、デットクロスで売る」という投資戦略を01年12月末から16年6月末の期間で実際に検証してみた。その結果、累積損益がプラスになる期間はあったものの、マイナスになる期間もあり、つねにいいパフォーマンスとは言えなかった。同様に、日経平均連動型ETFで、「ゴールデンクロスで買って、10%上昇で利益確定、5%下落で損切り」という運用を検証してみると、資産は02年8月~16年6月の検証期間内ではほとんどマイナスのままだった。』とある。

上記のテクニカル指標は「移動平均線」である。「資産は02年8月~16年6月の検証期間内ではほとんどマイナスのままだった」とあるように、実に14年間の検証でも収益は上がらなかったと述べている。

「移動平均線」はポピュラーなテクニカル指標であるが、上記のような利用方法ではダメという烙印を押されている。他の利用方法であれば活用できるかも知れないが、私には分からない。つまり、間違った分析指標の利用方法では収益を生まないことを証明する形となったが、結局「間違っているから儲からない」という図式が成り立つ。

私が極論すると、一般に出回っている分析指標は「使えない指標だから出回っている。使える指標は出回らない」と思えてならない。個人投資家には、あまり過去のデータを検証するすることは難しいかもしれませんが「投資の常識は非常識」ぐらいの気持ちで対応したいものです。

グローバル化の問題点

投資家であれば誰でも今後の経済見通しなどを占ったりします。これからの日本の経済はどうなるだろうか、そして、世界情勢はと考えを巡らします。景気が良くなれば儲かるのになあなどと期待します。

世界情勢を見ますと、昨年の大きな話題はイギリスのEU離脱であったのではないだろうか。EU離脱は何を意味するのだろうか。また、今年は米国でトランプ大統領が誕生しました。これらによって世界はどのように変わるのだろうか。

昨年まで世界では「グローバル化」が叫ばれていました。グローバル化とは「ヒト・モノ・カネの動きを活発化(自由化)させましょう」ということなのだろう。

グローバル化による「モノ」については、輸入品には自国の製品や農作物を守るため、関税がかけられています。こういった関税は、国内の産業を守るためには良いことではありますが、日本製品を外国に売る時に、 同じように関税がかけられてしまいます。

関税を高くすることは、グローバル化とは逆行していることにもなりますので、国際社会の場で圧力がかかることもあります。貿易という視点で見てみると、グローバル化が進む=関税の引き下げ・撤廃という問題が発生します。

「カネ」については、例えば、企業は商品やサービスを売って儲けを出します。できるだけ、商品を作る元値(=生産コスト)は下げて、 売る時は高く売りたいです。そのため、生産コストの大きな部分を占める人件費を安くするため、企業は外国の賃金の低い新興国で商品を作り始めます。これによって国内の空洞化という問題が発生します。

「ヒト」については、グローバル化が進むと、自由に国境を越えて、他国に入国することが可能になります。ヨーロッパでは、シェンゲン協定という決まりを締結している国通しでは、パスポートやビザなしで出入国できます。

以上がグローバル化の骨子ではあると思いますが、はたしてこれが正しいのかと疑問を抱く人も少なからずいます。「カネ」に対するグローバル化の弊害の典型にリーマン・ショックがあります。

「ヒト」に対しては、グローバル化とは少し異にしますが、ヨーロッパでは移民問題が大きくクローズアップしています。また、メキシコ国境に壁を作り不法入国者を防ぐという話題もあります。異国人が流入することにより独自の文化の破壊なども起こります。「モノ」については、日本の農業政策に支障をきたしてきます。

世界各国は富める国、貧しい国があるのも事実です。民族性や言語の違いもあります。これら格差のある国を含めて、すべて自由化するには大きな障壁があるのも事実です。そこに明確なルールや倫理観がなければグローバル化も混乱をきたすことになります。

以前に解説しましたように「自由」とは素晴らしいものですが、そこに厳格なルールや倫理観がなければ最後には破綻することになります。ロシアを見てみてわかるように、ソ連の共産主義が崩壊しロシアが誕生して、資本主義に移行しようとしましたが、そこに高度な倫理観があまりなかったので、いまだ成長していない状況にあります。

また、深刻な不況からなかなか立ち直れないアメリカで、1%対99%と言われるように富裕層と貧困層の格差が最大に広がっているという。これは資本主義の行き着く先なのか?。ここに富裕層による高度な倫理観である社会還元がなされていないような気がします。

このような現状から、グローバル化の問題点が浮き彫りになってきています。前述のイギリスのEU離脱はグローバル化に逆行する動きでもあります。また、次期トランプ大統領の掲げている「アメリカ・ファースト」は、アメリカ第一主義。つまり、国力が相対的に停滞し国内にさまざまな問題を抱えるアメリカは、自国の社会、経済建直しを最優先し,国際的問題への関与を可能な限り控えるべきであるとする考え方です。

このように、イギリスのEU離脱、および次期トランプ大統領の掲げている「アメリカ・ファースト」は、グローバル化に逆行する動きでもあります。このような問題も考慮された上で、今後の世界情勢や経済状況を読み解く必要もあるのではないでしょうか。

私の格言に「世の中、いつの時代も矛盾だらけ。人は矛盾の中で生きている。世の中は常に距離をおいて客観的に見よ」とある。また「情報過多は迷いを引き起こす。マスメディアの情報の9割はノイズ(雑音)。時として、メディアにより真実が嘘の情報のもとに隠蔽されることがある」とあります。

責任を取らないマスメディアなどに振り回されることなく、世の中の情勢は、できるだけ主観を入れず客観的に観察して、これからの投資活動に役立てていただきたいと思うところです。

以上の内容には反論もあると思いますが、これらは、あくまでも私の独りよがりの「私見」でありますので、このような考え方もあるのだなあ、程度に留めておいてください。ご参考までに・・・。

規律、責任、心理コントロール

多くの投資家は、「収益を上げよう」と市場に夢を抱いて参戦します。投資家は収益を上げることが究極の目標ですが、その目標達成にはあらゆる考え方や投資手法があります。

投資家がそれらを自由に設定し、自分なりの手法で売買を行えばよいわけです。どのような方法でも構わないのです。投資市場は自由市場ですから・・・。しかし、自由とは聞こえが良いが、自由には大きな危険もはらんでいることは理解しておくべきです。つまり「規律と責任のない自由は暴走し、崩壊をたどる」と言うことです。

これらを投資に当てはめると「投資とは自己責任である。規律(ルール)がなければ暴走し、崩壊をたどる」となります。投資市場は自由市場ですが「規律と責任」は絶対厳守でしょう。これらが守られれば、後は自由に売買してもよいと言うことになります。

さらに、もうひとつ上げるとすれば「極度の緊張のない売買」でしょう。人間は極度に追い込まれると冷静ではいられなくなります。冷静でなければ正しい判断はできません。つまり、極度な緊張を伴わない売買手法を選択することになります。

たとえば、全投資金を一度に投入するとか、損切りできずいつまでも持続しているなどは、かなりの緊張感やストレスが発生します。このような投資法は避けるべきです。

よって、より重要なことはトレード時の心理状態を把握しコントロールすることです。心理コントロールができるか否かにより成績が格段に異なってくるのです。

「規律と責任」「心理コントロール」を投資の原点とし、しっかりとした目標を立て投資自身に合った投資スタイルを構築して大いに活躍していただきたい。

私からの提案は「規律と責任」「心理コントロール」とし、これらをしっかり理解し、身につけた上で投資活動を実践されることを願うものです。