投資体験

これは過去を振り返っての後講釈ですが、この一年の体験で「株式投資は長期に持続すれば報われる」と考えた投資家も多かったのではないでしょうか。多くの投資家の成功体験はいつまでも記憶として残ります。

その成功体験は今後の投資活動に大いに役に立つでしょうか。もちろん大いに役に立つこともあるでしょう。しかし、その反対もあるのです。もし、現在の相場展開が過去の成功体験と同じような展開となったならば、その成功時と同じような考えで行動するはずです。

たとえば「持続すれば儲かる」という成功体験をしたならば、たとえ相場が下降となっても成功体験を元に「もう少し、もう少し」と頑張るはずです。相場が戻ればよいが、万一、さらに下降するものなら「こんなはずでは」となります。

結果として、損切りが遅れるということになります。つまり、成功体験も成績は五分五分というところでしょう。では、投資の世界で体験は無意味なことなのでしょうか。

相場の世界は大きなトレンドがあり、たまたま上昇トレンド期に株式投資を始めたなら「投資なんか簡単だ」となるでしょう。また反対の下降トレンド期に参入したならは「もう、投資なんかやるもんか」となるでしょう。どちらも相場上の出来事です。

ここで言わんとすることは、短期間での成功体験や失敗体験は、今後の投資活動にあまり役に立たないということです。投資体験とは、ある程度長期間にわたり売買を続けた結果として言えることです。

「石の上にも3年」という諺がありますが、相場上昇期、下降期で売買を繰り返し、歓喜することもあるだろうし、打ちひしがれることもあるだろう。結果的にあらゆる状況での貴重な体験ができるものではないでしょうか。

「私は長期投資だから」と言って、相場上昇期、下降期でも売買しなければ投資体験があるとはいえないでしょう。ただ、ここで長期投資がいけないと言っているわけではありません。投資体験という立場からの判断です。

短期売買で売買を繰り返せば、その回数だけ利益や損失の経験を味わうことができるはずです。その中で、相場に対する考え方、捉え方、売買法を学び、自分なりの投資体験を通して自己の売買ルールが構築されていくのではないだろうか。

いつも述べていることですが、成績が芳しくなくなると多くの投資家は「少し様子を見るか」などと、売買を中断してしまいます。また、やられにやられた場合も同様に売買をストップしてしまいます。(ここでは投資を職業としての立場から述べているものであって、趣味的な投資ではこの限りではありません)

そのような時ほど売買株数を最小単位にしてでも継続していくべきです。なぜなら、投資家が追い込まれたときの心理状態や売買の仕方などの体験が抜けてしまうからです。これこそが投資体験としてとても重要なのです。成績不振による売買中断ではオールラウンドプレーヤーにはなれません。

順風満帆の時は誰でも夢中になって売買を続けます。しかし、アゲンストとなったときこそ貴重な体験ができるわけです。この期を体験せずに長期に収益を上げていくのは難しいのではないだろうか。

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