技(わざ)

ある動画をみた。それは格闘技であった。最近の格闘技は激しく、立ち技、寝技の何でもありの総合格闘技だ。金網デスマッチもあり、まるで闘鶏や闘犬、闘牛を見ているようでもある。一部には熱狂的なファンがいるようだ。

人間はより豊かになると、より刺激的なものを求めるという。昔にさかのぼるが、ローマ帝国の多くの都市にはアンフィテアトルム(円形闘技場)が存在しており、そこで剣闘士同士、あるいは剣闘士と猛獣などとの戦いが繰り広げられたとある。

なんとなく、現在の総合格闘技とローマ帝国時代の剣闘士同士の戦いが似ていると感じるのは私だけだろうか。このように格闘技をみても、その時代、時代の世相を表しているような気がする。考えさせられます。

日本の古来からの武道は、柔道や剣道、また空手などが代表されるであろう。これらはいずれも戦いから発生したものであり実践的である。これに対して「合気道」という武道がある。この合気道は攻撃ではなく、防御に徹した技である。つまり、護身術でもある。また、合気道は他人と優劣を競うことをしないため、試合や競技を行いません。

上記の総合格闘家の身体は筋骨隆々でとても強そうに見えます。一方、合気道の開祖、植芝盛平(うえしば もりへい、1883年~1969年)は、身長156㎝ながら大相撲力士を投げ飛ばすなど幾つもの武勇伝で知られ、また老境に至っても多くの神技を示し不世出の達人と謳われました。つまり、「柔よく剛を制す」と言ったところでしょうか。

アメリカのアクション俳優のスティーブン・セガールも17歳で来日して英語を教えながら、禅や合気会で合気道を学んでいる。

投資の世界では、我々個人投資家は、投資の世界から見れば小さく無力な存在でしかありません。大きな波がくれば、ひとたまりもなく飲み込まれてしまいます。

そのような小さな無力でしかない存在の個人投資家が、相場という荒波を乗り越えて生き抜くにはどのようにすればよいのだろうか。投資資金だって投資知識だって大手の機関投資家には劣っていることは明白の事実です。

我々は相場の世界の中で、身体的な面からみれば、上記の植芝盛平氏のようなものでしょう。その弟子、塩田剛氏も身長154cm、体重46kgと非常に小柄な体格であった。しかしながら、植芝盛平氏をはじめ塩田剛氏は武道家として世界中に知られており、各国で多くの合気道の道場を開いています。

武道家は身体的に強固でタフでなければいけない。これが一般的な認識であろう。しかし、植芝盛平氏や塩田剛氏は当時の日本人の平均的な体形ではなかったろうか。どこにでもいるおじいさんのようであった。

筋肉隆々の格闘家は投資の世界で言うならば機関投資家やファンドと言ったところでしょうか。一方、体の小さい、一見ひ弱そうな武道家は、我々個人投資家に当たるのだろうか。しかし、一見ひ弱そうな武道家が大相撲力士を投げ飛ばすところに何があるのだろうか。

それは「技」以外にはないだろう。技を磨くことによって、小さいからだの武道家が大男を投げ飛ばすことができるのです。

投資の世界には初心投資家から巨大な機関投資家が同じ土俵で戦います。不公平のように思われますが、これが投資の世界なのです。弱肉強食のような世界でもあるのですが・・・。

我々投資家には戦う相手は見えない。見えない巨大な敵に向かっていくためには、それらに優る武器や技や知恵が必要です。その中でも磨かれた技は、武器や知恵の集大成であり、あらゆる敵に対峙できます。

投資家の皆さんも、巨大な見えない敵と戦うには、やはり自分なりの技(ノウハウ)をしっかり身に着けることが必要です。技こそ力なりなのです。「発明や発見は一人の個人から生まれる」と言われています。個人を侮るなかれです。

個人投資家でも「技」があれば巨大な敵にも対等に戦うことができるはずです。よって、技を磨くことが勝利への近道と言えるのです。頑張りましょう。

過去・現在・未来

株式市場はここのところの上昇から少し小休止状態のようです。これは、これまでの急激過ぎる値上がりへの自然な反応とも考えられるが、ヘッジファンドが関わっているという説もある。

今回の上昇は9月初旬から押し目らしい押し目もなく上昇した。それ以前は小さな往来相場が続いており、利鞘が発生しない投資家泣かせの相場展開であった。往来相場での売買は、押し目買いの吹き値売りで対応できるが、一旦トレンドが発生すると押し目らしい押し目がないため、仕掛けのチャンスがない。

よく昔から言われる相場格言に「押し目待ちに押し目なし」とあるが、今回の上昇もこれに当たるのではないだろうか。ところが、やっと待ちに待った押し目がきたので仕掛けてみると、それからズルズルと下げてしまったなどという経験はなかったでしょうか。

結局、上記の相場解説や相場判定も過去の解説でしかないのですが、では、投資家は何を根拠にこれらの判定をしているのでしょうか。多くの投資家の判定根拠は過去の経験や体験からではないでしょうか。

システム売買でもない限り、今まで体験してきた売買の積み重ねからきた「ひらめき」や「勘」によるところが多いのではないだろうか。つまり、過去のデータからの判断ということになる。

テクニカル分析は過去のデータを分析して、現在の相場水準や今後の予測をするものである。また、ファンダメンタル分析も過去の業績から今後の展開を予測するものであり、テクニカル分析もファンダメンタル分析も大局的には過去の指標をベースに判定しているため同じようなものではないか。

また、「ひらめき」や「勘」も過去の成功や失敗を体験して、これらをベースに判定している。つまり、すべては過去の出来事を基にして考えるものであろう。もし、過去のデータが何もなかったら未来を予測しようとしても不可能ではないか。

歴史を学ぶことも、過去はこのようであったから現在はこのようになっている。また、未来はこのようにしなければいけないと考えるものであり、これが歴史を学ぶことの必要性だろう。

このように、学ぶということは過去から学ぶことであり、過去を学ばなくして未来は分からないといっても過言ではないだろう。学校の勉強もすべて過去を学んでいるということになる。

ここで考え頂きたい。現時点は将来から見ると過去になる。そこで『 今、目の前にある状況は、すべて自分が過去に選択(決断)した結果である。よって、現在の決断は将来の自分の姿となる。今、何かを決断しなければ将来は何も変わらない』とならないだろうか。

これらを突き詰めていくと「現在」は過去でもあり、未来でもあることになる。よって、人は将来をすばらしいものにするために努力するものであり、常に精進に努めなければならないということになる。

私も過去のデータを分析して、より良いシステム作りに精進しています。

統制経済

一般に株価は市場金利と企業業績で決まると言われています。景気低迷期には、市場金利も低く抑えられため、高配当などの利回りの高い銘柄などが物色され金融相場を演出する。また、好景気時期には、好決算や予想業績の良い銘柄などが物色され業績相場となる。長期的な視点から見ると、このような展開で株価は循環するものです。

しかし、実際の株価変動は、すべてこのように理想的に、また理論的に変動しているわけではない。株式市場は、情報や材料といった投資家の先取り的な思惑や突発的な事件、事故なども織り込みながら変動するため、適正な株価水準を容易に判断できるわけでもなさそうです。

このように、実際の株価の水準や変動は、あらゆる要因を取り込み変動しています。基本的行動として、今は市場金利が低いから、利回りの高い株式投資をしよう。この企業は、技術開発力がすばらしいため将来性があるので長期投資しようなどと、その投資要因や内容から投資を決定するわけです。

投資先が決定されると、今度は市場において、実際に資金を投資するという行動に移ります。この行動が「需要」となるわけです。その「需要」に至るまでの根拠はさまざまですが、実際に資金で買いに入るため、これが実需となって、実際の株価にインパクトを与えるものです。

改めて説明する必要もありませんが、短期的な株価は実際の需給関係で変動しているわけです。業績が良いというだけで株価は上がりません。これらを裏付けとして多くの投資家が買い(実需)に入って株価を押し上げるわけです。また、暴落時のように、理論的解散価値(PBR)を大きく割り込んでしまうという現象も需給関係で引き起こされるものです。

また、以前のバブル崩壊時に政府は、株価をこれ以上下げさせないようにと公的資金を使って、日経平均が2万円を割れないように、PKO(プライス・キーピング・オペレーション)を行いました。しかし、その下値サポートラインも突破され、今度は2万円が上値抵抗線となってしまった。

これらを証明するかのように、2万円のしこりが取れたかのように、今回の日経平均は2万円を抜いて直線的に上昇してきています。先のことは分かりませんが、このような需給関係が株価変動に影響を及ぼすことになります。

市場変動は市場に任せるべきであって、安易なてこ入れなど考えるべきではないことが証明されたわけです。安易なてこ入れや規制は逆効果になる場合が多いものです。中国の株価を見てみるとよい。

中国の株価は2015年の最高値から急落し、3000ポイント強で2年近くも横ばいで推移しています。これは当局の指示により株価維持策がとられているためです。不動産についても然りです。不動産についても当局の指示により不動産価格維持策がとられています。

もはや中国の名物と言ってもよい「鬼城」(住む人のいないマンション街)は有名な話で、中国に数多くある地方都市に多く存在しています。それなのに・・・。

このようなことから、最近は特に中国崩壊論が巷にはびこっているようです。中国貿易指標である輸出入指数も下がっているのにGDPだけはプラスで推移している。どういうことなのか。一般に、経済評論家の間では中国の経済指標は捏造されたものであると言っている。まさしくその通りだろう。

しかし、バブル崩壊の様相もない。なぜだろうか。それは、そこに資本主義と共産主義の違いを見ることができる。かつて日本ではバブル崩壊後、失われた20年といわれ景気低迷が続いた。

しかし、日本のバブル絶頂期の経済指数と現在の中国の経済指標を比較しても、現在の中国の経済指標は恐ろしく悪い。しかしながら、明確なバブル崩壊とはなっていないようだ。なぜだろうか。

資本主義では経済は需要と供給で決まる。中国も経済は資本主義のようではあるが、基本は共産主義である。中国の実体経済から見ると、株価、不動産価格を需給関係からみればとうに崩壊してよいはずである。

それは中国は資本主義と異なる点、つまり共産主義の得意技である「統制経済」を発令しているからである。たしかに、当局から株価を3000ポイント以下にはするなと指令が出れば、空売りさせない、株主は持ち株を売ってはならないとなる。不動産価格でも同様である。もし、これらに違反した者は罰せられる。資本主義経済ではありえないことを共産党一党独裁での「統制経済」ではこれが可能となる。

では「統制経済」の末路はどのような結果になるのだろうか。上記の日本のバブル崩壊後の株価対策であった「統制経済」のような日経平均2万円維持策後の経過を見てみれば分かるだろう。これを中国では株価維持だけではなく、あらゆる国内経済に適用しているため、その末路は通常のバブル崩壊の比ではないだろう。

過去、世界は栄枯盛衰を繰り返しながら現在に至っている。歴史を振り返って、衰退あるいは滅亡した国には共通の課題がある。それは「自由」と「人権」のない国はいずれ衰退、滅亡となっている。また、革命などによって自由と人権を獲得した国は繁栄している。

我々の日本では自由と人権は保障されている。自由経済の代表である投資市場も自己責任において自由に活動できる。大いに活躍していただきたい。