大いなる旅路

投資家は投資家自身の性格や資金量によって投資手法を構築しなければならないことすでに述べています。投資手法構築に当たっては「相場には何があるか分からない」ことを前提に売買システムを構築しなければなりません。

投資に対する考え方や投資手法は、投資家それぞれに考え方もあると思います。裁量的な売買が得意であればそれでよし。逆張りが得意であればそれでよし。私はシステムトレードであり、また順張り手法を採用しています。これは私の性格に合っているからであり、これがベストであるというわけではありません。

私も当初は裁量的トレードでしたが、気の小さい私は、そのつどの判断に苦慮し迷い、相当のストレスを受けていました。ストレスが大きくなれば平常心は保てず、結局は判断を間違えるという結果になりました。

そして、長い道のりを経て最終的にシステムトレードにたどり着いたわけです。多くのシステムトレードのシミュレーションを行うに当たって、逆張りではシステムが構築できないという結論に達し、最終的に順張りを選択したわけです。

実際にシステムトレードで順張りを行うと、裁量トレードではできない無理な場面にも遭遇します。たとえば、買いから入って順調に上昇となったものの、さらにそこから急騰し、日経平均で1000円も上昇するものなら、所定の買い付け枠を全部買いというサインを出してくるのです。

一般的には1000円も上昇すれば利食いするところでしょうが、順張りでは1000円上昇の後にさらに買い付けすることもあるのです。通常の裁量トレードでは、そこからの買い付けは困難なものかと思います。

つまり、システムトレードの順張りでは、通常は行わないような売買も発生するのです。そのシステムによほどの信頼がなければ実行できないことです。

投資の世界では多くの投資家が負けているという現実があります。この現実は統計上からも否定できないところです。負けの現実の中には、投資の知識も乏しく、資金に任せて売買している投資家もいるでしょう。多少知識があっても追い詰められた状態で大きく損を出してしまう投資家もいるでしょう。

要は多くの投資家が負けているという現実です。それは以前にも解説しましたように「儲けたい、損をしたくない」という感情からくるもので、このような感情で売買すると長い間には全員負けるという結果になるのです。

これらを突き詰めていくと、感情的な売買では儲からないという結論になるのではないでしょうか。これは決して裁量トレードを否定するわけではありませんが、投資では、相場展開しだいでは投資家の感情が揺れ動くこともまた現実です。

感情が揺さぶられれば疲れます。疲れていては良い仕事ができないのも明らかでしょう。そこで「強固な精神力を鍛えて」と言っても、投資とは長い期間続けるものです。はたして人間は長い間緊張状態を保つことができるでしょうか。

このような状況から投資家は投資手法を常に模索し続けているのです。現在の私も、もっと良い方法があるのではないかと模索中です。もうちょっとアイデアのほしいところです。

投資に完璧はないのですから、裁量トレードでもトステムトレードでも良いのです。たとえば、売買の大枠はシステムトレードで、細かな売買は裁量トレードでといった方法もあるのです。

多くの投資家は常に自分に最適な売買法をあれやこれやと模索しながらトレードしていると言っても過言ではありません。投資とは模索の大いなる旅路なのです。

儲けたい、損したくない

投資成果が相場変動に左右されるのは仕方のないことですが、投資家は成果が上がれば、それを自分の実力と錯覚する傾向があります。注意が必要です。もちろん実力のある投資家もおりますので、そのような方はこの限りではありませんが・・・。

しかしながら、多くの個人投資家は希望する成果を得られないでいます。以前にも解説しましたが、投資を始めて5年も過ぎるとほとんどの投資家はマイナスとなっているというデータもあります。

確かに、毎年開催されるトレーダーの会合に続けて参加していると、5年も過ぎればメンバーのほとんどが入れ替わっていることが、これらを物語っているのでしょうか。

売り買いしかない二者択一の世界で、なぜ5年も過ぎると皆負けてしまうのだろうか。半分ぐらいは勝者となってもよさそうなものですが・・・。私はこれらの不思議について以前から考えていました。そして、それなりの結論を見出しています。この点を私なりに解説してみましょう。

まず、初心者に限らず投資家は誰でも「儲けたい、損したくない」という共通の意識で市場に参入してきます。ベテランになってもこの気持ちは変わらないと思います。

私は、この「儲けたい、損したくない」という意識(気持ち)が5年も経てば皆負ける原因ではないかと考えています。つまり「儲けたい、損したくない」イコール「皆負ける」という構図にはならないだろうか。不思議に思うかもしれませんが、例を挙げて解説してまいりましょう。

たとえば、ある銘柄を買い付けしたとします。その後、その銘柄は上がるか下がるかします。もし、買い付け後に下がってしまったとします。その時も「儲けたい、損したくない」という心理が働きます。「儲けたいが下がってしまった」となります。

下がってしまうと損となりますが、その損は「評価損」であり、実損ではありません。そこで、この評価損なら今後上昇となれば損は小さくなり、あわよくば利益となるかもしれないという気持ちになり、「儲けたい」という心理が働きます。投資家なら誰でも同じです。

そうして含み損を抱えながら、どうしたものかと考えます。損は損でも評価損なら耐えられると言ったところでしょうか。そして、塩漬けに・・・。

では、上がった場合はどのような心理状態になり、どのような対処をするのでしょうか。上がれば利益にもなり「儲けたい」という気持ちがどんどん膨らんでいきます。しかし、持ち株が上昇するも何となく不安がよぎってきます。

もし、ここが天井で下げに入ったらどうしようと不安になります。実際に高値から下げたとします。すると投資家は、まず「あの高値で売っとけばなあ」と思います。そして、下げが始まると、高値時の評価と現在の評価を比べて「損をした」と感じます。まだ、評価益があるのにもかかわらず、高値時と比較し損をしたと捉えてしまうのです。ここでも「損をしたくない」という心理が働くのです。

つまり、下がって損におびえ、上がっても損におびえる状況になります。この状態を実際の売買に置き換えてみると、下げられれば「損をしたくない」という心理から実損を嫌い持続することになる。上がれば、儲けたいのはやまやまだが高値覚えで、多少の押しで高値時の価格より損をしたくないので早めに利食いしてしまう。

これでは結果的に「損大利小」となり、これを繰り返して5年も過ぎれば全員が損をしてしまうことになる。何をか言わんやである。このように投資家心理をそのまま売買に繋げるような裁量トレードでは、投資家全員が負ける結果になるのです。

これらは私自身にも共通するものです。であるから、私は裁量トレードをやめて、システムトレードで売買するようになったのです。

心の拠り所

私は常々、投資手法は投資家に合った手法であればよいと述べています。さらに言わせていただければ、投資手法は投資家に合った手法でなければならないと考えています。

なぜなら、投資とは継続して売買を続けるものであり、自分に合わない手法であれば、それがストレスやプレッシャーとなり継続が困難となる可能性が高くなります。それでなくても投資は心労が絶えないのに・・・。

投資手法はどれが正しいというものはありません。投資の基本セオリーを守っていればそれで良いと思います。あれこれ理論をこねくり回しても勝てなければ意味を成しませんし、あまり理論は分からなくても動物的な勘が鋭く儲けている投資家もいるようですし・・・。

投資の世界は「勝てば官軍」的なところもありますが、しかし、一番大事なことは、継続していかに勝ち続けるかにあります。追い風もいつかは逆風になるし、ビギナーズ・ラックもあります。要は、相場動向に大きく左右されず堅実に利益を積み上げていく手法がベストではないでしょうか。

さて前回、投資家の揺れ動く心理について解説いたしましたが、多くの反響がありました。私を含め投資家は皆同じような心理状態になるのだなあと感じました。

ところで、私の売買テクニックについて解説してほしいとの要望がありましたので、少しお話してみましょう。前述のように投資手法は、それぞれの投資家に合った手法であれば良いのであって、私の手法も数多い手法の中のひとつと捉えてください。

私は先物市場で売買しています。まず最初に自己資金に合わせて最大投資金額を設定します。たとえば最大売買枚数を100枚などとします。私はシステム売買ですからシステムからのシグナルの指示によって売買注文を出します。

たとえば、少し相場が上昇気味の場合などは「新規買い20枚」のように指示が出ます。この指示に従って、翌日の寄り付き成り行きで発注します。さらに相場上昇となると「買い30枚追加」となり、建玉は合計で50枚となります。さらに相場上昇となれば追加買いの指示がでます。一発で90枚などと指示が出る場合もあります。もちろん「売り建玉」の指示も出ます。

この一連の売買を見ればいとも簡単なように見えますが、実戦ではハラハラドキドキとなるはずです。なぜなら、仕掛け後に上昇となって利食いしたいところに、さらに「買い乗せ」しているのです。

これらの売買を裁量的な判断で行うとすると「含み益があるので減らないうちに半分だけでも利食いしておこう」と。また「ここはひとまず利食いしておいて、下げたら再度仕掛けよう」などの心理が働きます。誰でも考えるような心理状態です。

しかし、私のシステムは、その心理を逆なでするように、相場が上がれば上がるほど買い増ししていくシステムなのです。実に恐ろしい(心理的に)システムなのです。これを裁量的トレードで行えば胸がはちきれそうになるでしょう。私自身も裁量トレードでは無理です。

なぜそのような売買法になったかと言いますと、第一にシュミレーションの結果が良かったことにあります。結果が良かったとは言え、実際にこれで売買ができるものかと不安があったことは確かです。

そこで冷静になって考えました。多くの個人投資家は結果的に裁量的な売買が多いのではないか。その個人投資家の投資家心理はいつも変わらず、上がれば利食い、下げれば持続となってしまう。多くの投資家は「誰でも考えるような心理状態」での行動となってしまいます。

統計によると、5年以上継続して投資活動を行った結果、収益を上げられたのは総投資家の1%に満たないと発表されている。これはどうしたことか。感情の赴くままに売買すると皆負けてしまうと言うことなのか。

これらを踏まえて、シミュレーションの結果と売買手法が一般的な裁量トレードの逆の売買手法となっていることに採用の決断が付いたわけです。しかし、実戦に入ると「えっ、こんなところで反対売買かよ」「仕掛け枚数が多すぎるんじゃないの」など、心理と大きくかけ離れた場面に遭遇します。

しかし、それであっても一度たりともシステムの指示に違反して売買したことはありません。もちろんシステム売買であっても損の続くこともあります。そこは踏ん張りどころです。自分の作ったシステムを信じるしかないのです。

私の心の拠り所は、私自身の裁量的トレードより、たとえ損となってもシステムトレードのほうが「上」であると固く信じているところにあります。

以上、私の売買手法を説明しましたが「これがベストのようだから真似しよう」などとは考えないでください。何度も繰り返しますが、投資手法にこれが最高などというものはなく、投資家自身に合った手法で行うべきであることをお断りしておきます。

自問自答

まず投資を始めると期待感と不安で気分は高揚する。仕掛け後に株価は上下に不安定に変動する。その変動に比例するかのように気分も上下する。

仕掛け後(買い仕掛けとする)に下げたとする。下げの初期段階では相場とはこんなものだと自分に言い聞かせる。さらに下げると不安がよぎり、仕掛けは間違いだったのかと自問自答する。しかし、その後相場が切り返すと、やっぱり、自分は正しかったなどと思いにふける。

その後、相場がもちあいとなり気分も強気、弱気と微妙にぶれてくる。相場もちあい後に急落。急落の原因は何かと調べまわる。その原因が分かると、急落で損をしているにもかかわらず妙に納得する。急落は自分の問題ではなく他の原因であるなどと自分に言い聞かせて自分を納得させる。

しかし、その後じり安となり漠然とした不安でもんもんとする。ナンピンを入れるのはまだ早いのではないかなどと考えたり、損切りという言葉がチラリと浮かぶ。その後さらに急落。当初決めておいたナンピン水準をはるかに超えての下落である。

「こんなはずでは・・・」とパニックになる。そして正常な思考と平常心は飛んでしまう。パソコンを立ち上げ相場を見るのが怖い。恐る恐るマウスをクリックするとさらに下げている。思考停止となる。

しばらく相場を見ることなく時間が経過し、少し平常心を取り戻す。「やっぱり損切りすべきだったな。あそこで損切しておけば損は半分で済んだのに・・・」。後悔しきり。持ち株はそのまま放置してある。結果的に損失は大きくなる。

ある時、テレビのニュースで相場が急騰しているとの報道があった。急いでパソコンを覗くと以前の損切り水準まで戻っている。これはしめたと思い、持ち株の持続を決める。損切り水準まで戻ったのに・・・。

その後は毎日パソコンを覗いて「上がれ、上がれ」と叫ぶ。世の中そんなに甘くない。相場トレンドは下降であり、その後、さらに前回の安値を割った。

もし、仕掛け後に運よく上昇となったとする。「見込みどおりだ。俺の読みは正しい」などと気分も爽快。パソンコを覗くのが楽しみだ。朝の寄付きが待ち遠しい。そして相場はさらに上昇、ハッピーだ。

相場はその後もじり高となり気分が良いはずだか、少し不安がよぎってきた。この不安は何だろう。儲かっているのに・・・。相場がさらに上昇となると喜びより不安がいっぱいになってきた。

「もし、ここから下げたら儲けが少なくなってしまう」と漠然とした不安が漂う。不思議と最大利益時の記憶は鮮明に覚えている。その後は、その最大利益時が基準になって損益を計算することになる。相場が少しでも下げると「あの時売っておけばこれだけ儲かっていたのに・・・」と。最大利益時の基準がいつまでも忘れられない。今度、最大利益時の水準になったら決済しようと考える。戻るはずはないのに・・・。

含み益が増大してから「もし下がったら」という不安は、仕掛け後に下げて損となっているときより不安が大きいと言う。不思議だ。つまり、損をしているときより儲かっているときの方が不安が大きい。損失に対しては免疫があり、利益に対しては免疫がないからなのだろうか。

相場が下がり、含み益が少なくなってしまうという不安は、投資家を早めの利益確定に走らせる。結果的に利益が小さくなる。これでは相場で利益を積み上げるには程遠い。実は、これは私自身の体験でもあるのです。

以上のように、投資家は常に心の葛藤の連続である。疲れてしまいストレスが蓄積される。そして自問自答の連続である。ストレスが蓄積され心が常に不安定な状態では相場で儲かるはずはない。投資家はこれらについて考えてみる必要があります。

「己のほかに敵はなし。向かう敵は自分だけ」