流れに沿った売買 そのⅡ

我々個人投資家は外部環境がどのようになろうと、したたかにチャレンジして行かなければなりません。前回、どのような相場環境でも継続的な運用を行うには「流れに沿った売買」が適していると解説しました。

暴落などは、投資の世界の恐ろしさをまざまざと見せ付けられます。そして、投資家はそのような環境の中で多くの体験をします。それらの体験の中で、もし、その売買を「流れに沿った売買」であったとしたらいかがだったでしょうか。

「もし」という仮定の話は相場の世界では通用しないことは承知していますが、暴落の場合「流れに沿った売買」であれば、ほとんどの銘柄が「空売り」となって、それなりの利益も見込めるのではないでしょうか。

では「流れに沿った売買」とは、具体的にどのような手法を言うのでしょうか。「流れに沿った売買」とは、大きな意味での「順張り」ということになります。つまり、下げを確認してからの「空売り」、上げを確認してからの「買い」ということです。

これらの判定如何で投資成績が大きく変わってしまうほどです。しかし、これらの判定は非常に難しく、私自身も長年研究をしていますが、究極のシステムの完成には至っておりません。もしかして、これらの判定は永久に無理なのか、あるいは、まだその究極の手法が発見されていないのか・・・。悩むところです。

仮に、その判定の確率が50%とします。つまり勝率が50%であるということです。勝率50%であるとすれば、この条件下で利益を上げようとするならば、やはり、利益の時は大きく、損の時は小さくする以外の方法はありません。

しかし、これらは理屈であって実践となるとなかなか難しいものです。そこで、簡易法ながら、ひとつの考え方を提示してみたいと思います。これらは、あくまでも考え方として捉えてください。

まず、一番簡単な「流れに沿った売買」は、株価が高値から○%下げたら下降転換、株価が安値から○%上げたら上降転換とすれば、安易にその判定はできるはずです。しかし、実際にこの手法で売買しても収益は上がらないと思います。なぜなら、それは誰でも考えそうな手法ですから・・・。

実際には、これらの転換で売買をするのではなく、転換後の手法が重要になります。ここで、ある程度の転換点を見出した後に、その転換に沿った逆張りを行うのです。ここで重要なことは「この逆張りは、転換を確認してから行う」ということです。

ここでの逆張りは、決め打ち的な逆張りという意味ではなく、買いの場合であれば「下げ止まり」を確認後ということになり、空売りの場合であれば「上げ止まり」を確認後に仕掛けに入るということになります。「上げ止まり」「下げ止まり」は、ある意味では、超目先的な順張りと言えなくもないのですが・・・。

買いに入ったら「上げ止まり」で利食いします。空売りに入ったら「下げ止まり」で利食いします。もし、目先売買の場合に、買いの仕掛け時の「下げ止まり」の最安値を切ったら損切りする、空売り仕掛け時の「上げ止まり」の最高値を抜けたら損切りするなども効果的です。

ただし、上昇転換を確認したら、その後の売買は下降転換するまで「買いのみ」で行うものとします。下降転換を確認したら、その後の売買は上昇転換するまで「空売りのみ」で行うものとします。

ここでの「上げ止まり」「下げ止まり」の確認は、一般の目先的なテクニカル分析指標でも可能であると思いますが・・・。

相場格言に「森を見て、木を見よ」とありますが、ここでの森は「転換の判定」であり、ここでの木は「転換後の逆張り」に当たります。

「上げ止まり」「下げ止まり」については、拙著「仕掛け・損切り・利食い、プロのノウハウ」に記載されていますので参考にして下さい。

以上のような考えのもとに投資手法を組み立てることにより、継続的な運用が可能な「流れに沿った売買」となるのではないでしょうか。私が長年、相場の世界を体験してきて、現在考える中ではベストな投資手法ではないかと思われます。これらの考え方は、遠い昔の中国の投資指南書にも書いてあったような気がします。

流れに沿った売買

投資手法において、通常の相場展開では、一般的なファンダメンタル分析やテクニカル分析もある程度は機能するでしょう。しかし、相場には考えてもいないような展開も起こります。○○ショックによる急落や要人の発言などによる急騰など。そのような時、投資家は通常の分析手法が役に立たないことを実感されたことでしょう。

そこで、相場急転で懲りた投資家は、急騰、急落でも通用する手法を模索することになります。あれこれ苦心して、急騰、急落でも凌げる売買手法がある程度でき上がったとします。しかし、急騰、急落にも対応した売買手法を見つけたとしても、その手法がオールマイティにどのような相場展開でも通用するでしょうか。

相場には上昇相場、下降相場、そしてもちあい相場とあります。さらに上昇期には大暴騰もあるでしょうし、下降期には大暴落もあるでしょう。これらに対応した売買手法が、果たしてすべての相場変動に通用するでしょうか。

テクニカル分析を好む投資家は、多くのテクニカル指標から自分なりに合った、いくつかの指標を組み合わせなどして利用されると思います。この時に急騰、急落に指標を合わせ、それらを利用し理屈の上では急騰、急落を乗り切ったと仮定したところで、これらは実際の運用では通用しないと思います。

これらはファンダメンタルズ分析においても同様なことが言えると思います。なぜなら、通常相場では機能するPER、PBRは、急騰、急落の時に適用できるでしょうか。これらの指標の水準が未来永劫、基準として採用できるでしょうか。

つまり、投資の世界には絶対的な基準がないということです。ではどうするか。これらの問題は、投資家の永遠のテーマとなっています。しかし、現在投資活動をしている投資家とっては切実な問題でもあります。私とて、これらの問題に対峙し、日夜孤軍奮闘している状態です。

投資とは、これから有望だろうと思われるところに先行して資金を出資するものです。「これから有望・・・」を心の支えとし、また信じての行為ですが、そこには、不確定要素というリスクも多く内在していることでもあります。

現在のような情報化社会では、その経済状況がめまぐるしく変わり、対応できない状況にあります。暴落時には、まるでバンジージャンプをしているようです。企業経営者も想像すらしていない状況になるのです。

経済状況の急変により、経営者も想像できない状況下で、結果的に、我々投資家はさらに想像もできない事態となっています。これから先の経済状況も読めない状況では、さらに投資に対する自信も持てなくなってしまいます。

傷ついても八方塞がりの状況下であっても、投資を志す者は、あきらめず勇気と気力と知恵を持って進むべきです。そこで、上記の問題を解決する方法、つまり、どのような相場展開になろうとも運用が継続できる方法は何か考えて見ましょう。

これらの問題の解決策は非常に簡単なものです。これらは、私自身が実践し、長い間相場の世界で生き抜いてきた考え方です。それは、当欄でも何度も解説しています「流れに沿った売買」です。

「流れに沿った売買」、つまり、株価が下げ始まったら「空売り」し、株価が上げ始まったら「買い」に入るという、いたってシンプルな手法です。相場の流れに逆らわず、流れに沿った売買です。これらの考えを基本として、売買手法を組み立てることです。

投資家は、企業業績の見通しを立て投資するわけですが、これらの企業業績も遅かれ早かれすべて株価に繁栄してくるわけです。また、企業業績(暴落以前の業績)も無視した大暴落においても「流れに沿った売買」であれば無難に運用継続が可能になるのではないでしょうか。

どのような相場展開でも通用するオールマイティな投資手法があるとすれば、それは「流れに沿った売買」であると私は確信しています。よって、これらの考え方をベースにして投資手法の構築を図るべきではないでしょうか。

体験に勝るものなし

株式市場は世界的に下落した。これは、トランプ米政権が貿易赤字削減に向け、アメリカン・ファーストの一環である保護主義政策を相次いで打ち出した結果である。これらにより世界の株式市場で株価が急落するなど、世界経済は政治リスクに直面しています。

朝起きて相場を見たらびっくりするほど下げていて、狼狽してしまった投資家も多かったのではないかと思います。相場の世界では、このようなサプライズは常に発生するため、投資家は常に対処しておかなければなりません。

では、このような突然のアクシデントに対応するには、どのようすればよいのか考えてみましょう。

投資での最大のリスク管理は「損切り」でしょう。しかし、その損切りは精神的に痛みを伴うものであり、ましてや損切りが続けば嫌気がさしてきます。相場とはそのようなものだと分かっていても割り切れないものがあります。

損切りは一番辛いものではありますが、もっと辛いことがあります。それは損切りしたものの、そこをボトムとして急騰してしまった時には、損切りによる損失と急騰により儲けそこなったという思いでダブルのショックを受けます。

損切りはやむを得ないとしても儲けそこないは損切りよりさらに辛いものでしょう。投資家であればこのようなことは何度も体験されているのではないでしょうか。このような現象は、投資の世界に参入したことを後悔させる現象でもあるのです。

それではこのような現象、つまり損切り後に急騰して後悔するようなことは避けられないのでしょうか。損切りはやむなく受け入れるが、どうも損切り後に急騰することには絶えられないと多くの投資家は嘆いています。

そこで、これらの対策について考えて見ましょう。まず、ある銘柄を買い付けしたとします。買い付け後に損切りラインを設定します。そこで、その損切りラインに(同銘柄に)逆指値で「売り(空売り)」を入れておきます。

買い仕掛け後に当初設定した損切りラインに達した場合には、そのラインに空売りが入ります。これで買い付け銘柄と同銘柄の空売りを行ったことになります。これで損切り金額が確定したことになります。その後は株価がどのように変動しても損切り金額に変化はありません。

しかし、このままでは損切り金額が固定されたままです。もし、株価がそのまま下落して戻りそうもないときは、いつでもどのポジションでも任意に買い銘柄と同空売りを同時に決済します。これで損切り金額が確定することになります。

もし、損切り水準に達して同銘柄を空売りしたとします。その後株価が急騰してきた場合、どの水準でも構わないのですが、できるだけ買値の水準と損切りの水準の間で空売り分のみを決済します。

この時点で当初の損切り金額が確定します。その後は株価上昇についていき、買い付け値を上回れば当初の利食い目標値で利食いします。しかし、それは相場のことであるから、予想通り順調に上昇して利食いできる保障はありません。

上昇と見込んで空売り分をはずしたものの、意に反して下落してしまったらどうしたらよいものか。その場合は最初の損切りラインに達したら再度同銘柄の空売りを行えば良いわけです。そして、上記の対処を繰り返します。

新規の仕掛けと同時に、設定した損切りラインに反対売買の逆指値を入れておけば、不安になって、いちいち相場を見ることなくメンタル面の負の部分が大いに軽減されることになります。

これらの一連の作業は「つなぎ売買」の一部ですが、一度体験されると分かりますが、単発の損切りより精神的な負担は考えているより軽減されることは間違いありません。「体験に勝るものなし」です。

投資の世界では主に上がるか下がるかに終始しがちですが、実践では投資のテクニックも学ぶ必要があるのではないでしょうか。