相場の真実

投資家は常に理想と現実の狭間で悩んでいる。理想とは「このくらい儲けられればいいんだがなあ」との期待感です。現実とは、理想と現在の自分の成績のギャップにある。また、投資家には自分の考えは常に正しいというプライドがあるため、成果によっては、そのプライドが傷つけられることがあります。

このように投資家は常にジレンマと自己矛盾の中で格闘しています。これらの問題を解決する方法はないのだろうか。ジレンマと自己矛盾が続けばいずれ疲弊して市場から退場することになるだろうから・・・。

多くの投資家はこのような問題を抱えながら投資活動を行っているわけですが、これらの問題を原点に立ち返り考えてみる必要があるのではないでしょうか。

当欄の解説は、主に投資家の心理面や投資技術を主体として解説しています。心理面においては、私自身の長い投資経験から解説していますが、投資の苦悩や悩みは投資家であれば共通した内容であり、当たらずも遠からずといったところではないでしょうか。

また、投資技術面では、徹底的に膨大なシミュレーションを行った結果をベースにして、できるだけ主観を交えず解説しているつもりです。

そこで、今回は投資家のジレンマと自己矛盾を軽減するために、投資技術と投資家心理の両面から解説したいと思います。私は極論ではありますが常に「投資の常識は非常識」と述べています。これらについては私自身の主観的な考えではなく、検証の結果得られた数値に基づいて客観的に解説をしているだけです。

ある検証を試みました。日経平均を日足ベースで過去1991年1月4日から2018年3月9日まで約27年間の検証です。日足ベースでローソク足の陽線と陰線の数を比較してみました。この27年間の株価変動はW型となっており、検証データとしては適しているのではないかと思います。

さて結果ですが、結果は27年間で陽線の数は3241本、陰線の数は3436本であった。陽線の比率は全体の48.53%となった。ちなみにTOPIXにおいては48.75%であり日経平均と大差はなかった。また、個別銘柄(約4000銘柄)を検証しても同様の結果となった。これは何を意味するのだろうか。

この結果の意味するところは、つまり「上げ、下げの確率は50%前後に収斂する」ということではないだろうか。これがまさしく相場の現実であり、真実ではないだろうか。

この結果から考えと、相場の勝率は50%前後であると言えないだろうか。私が常々述べている「相場の勝率は50%前後に収斂する」ということは、これらの検証を経た結果を解説しているに過ぎないのです。

もしこれらを相場の真実とすれば、実践においても勝率は50%前後であることを基本として考えなければいけないのではないだろうか。真実を受け入れることは、時としてとても辛いことではあるのだが。

もし、分析システムを採用する場合「この分析システムの勝率は50%前後ですよ」と言われれば採用する人はいないだろう。もちろん相場の真実を知らない投資家なのだろうが・・・。

反対に「この分析システムの勝率は80%以上ですよ。絶対に儲かりますよ」と聞かされれば気持ちもグラッとするだろう。しかし、私に言わせれば「勝率80%以上」などは、最適化された「捏造」と言ってもよいくらいだ。

冒頭に述べましたように「理想と現実の狭間」は、このような原因により起こるもので、理想を追い求める気持ちは分かりますが、現実に優るものはないのです。理想を追いあらゆる投資手法を探し回っても桃源郷はないのです。現実から目を背けてはいけない。

現実的には、勝率50%前後をベースに投資手法の構築を行わなければなりません。しかしながら、勝率50%前後で実践に入ると、頭では理解しつつも体感的にはかなりきつい感じがします。

実際、私自身が運用しているシステムも、その勝率は50%前後でしかないのです。そのため、損切りが続けば理屈は分かっていても落ち込みます。これがまさしく現実なのです。これが相場の世界なのです。

投資家には、さらに辛い出来事があります。それは勝率50%前後の中に「損切り」が入ってくるのです。損切りなくして利益なしです。このように相場の世界は非常に厳しい世界であることを認識してスタートしなければなりません。

そこで、素朴な疑問が湧いてきます。それは「勝率50%前後では儲けが出ないじゃないか」という疑問です。まさにその通りです。勝率50%前後では利益は出ません。

しかし、ただひとつだけ勝率50%前後でも利益を生む方法があるのです。それは損切りすることです。損失を限定することです。相場に必勝法があるとすればこれだけです。他に必勝法は絶対ありません。私はあまり断定的な解説はしませんが、これだけは間違いないところです。真実です。

あるとすれば、たまたまや偶然でしかないのです。長い間投資活動を実践すれば偶然などは一過性のものです。「昔は儲けたこともあったのに・・・」とは、この類でしかないのです。かつてカリスマ投資家と言われた人たちもこの類なのです。

現実、真実から目を背けているから投資家の苦悩は続くのです。現実、真実と向き合うのは、時として辛く痛みを伴うこともあります。しかし、拒否すればいつまでも苦悩は続きます。これが現在の投資家の現状ではないでしょうか。

現実、真実はありのまま受け入れ、苦悩から開放されるべきです。