投資と人生

投資とは長く続けていくゲームである。もし、株式投資で儲かっていれば、まず、株式投資をやめないと思います。やめる場合があるとすれば、その理由はすでにお分かりであると思いますが・・・。

つまり、株式投資は延々と続くゲームである。延々と続くのであれば、その投資家の人生の多くの部分を投資が占めることになります。であるならば、これからも続くであろう投資活動を、人生という長いスパンからも考える必要があるのではないでしょうか。

投資の世界は非常にメンタルな世界です。持ち株が上がれば嬉しいし、下がれば悔しい思いをします。数値を追いながら一喜一憂します。人間の心理として、持ち株が同じ幅だけ上がった時と下げた時のインパクトは、下げた時の方が上げた時よりも2.5倍ものインパクト(ショック)があるそうです。

投資の世界は、一般社会と異なる別次元の世界であるということは、当欄でも、すでに述べています。投資初心者にとっては、一般的な常識や知識もキャリアも通用しない未体験ゾーンでもあるわけです。しかも、投資の世界には、もっと大きな問題が待ち構えているのです。

答えのない投資の世界では、間違った情報でも、まことしやかに独り歩きしています。その間違った情報(知識)をインプットしてしまった投資家は、それを排除する術もなく、潜在意識に埋め込まれていきます。さらに投資家は誰でも自分の考えは正しいと思いがちです。

幼少期に埋め込まれた潜在意識は一生消えないと言います。ある意味、その潜在意識が、その人の一生を左右するとまで言われています。これらと同様に、市場に参入した時に得た知識や体験がいつまでも残っているのです。それらが、その後の投資人生を決定付けると言っても、言い過ぎではないような・・・。

私は、ある投資家と話しました。その投資家はキャリアが30年だと言う。れなりに紆余曲折はあったと思いますが、しかし、いまだに収益を上げることができないでいます。何かが間違っているのでしょう。間違ったまま今まで来てしまったのでしょう。

株式投資は、競馬や競輪と違って、投資における経費は売買手数料だけです。そして、上げ下げの確率は50%程度でしょう。ならば、儲ける投資家は半分と言わずとも、三分の一程度はあってもおかしくないはずです。

しかし、現実はそうではないようです。何かがおかしいのです。何かが変。そうです、何かが間違っている、何かが邪魔をしているから収益を上げられないでいるのです。

これは、私の長い投資活動の中から自分の体験も含めて、これらの問題について感じることがあります。そこには、二つの要因があるのではないかと考えています。

まずひとつは、すでに上記で述べましたように、明らかに間違った知識のインプット。それに思い込み。何が正しいか分からない世界では、これらもやむを得ないのかもしれません。しかし、そうも言っていられません。投資で稼がなくてはならないわけですから・・・。

これらも難しい問題かもしれませんが、一時、「欲」という部分を切り離して、投資について客観的な目で見てみたらいかがでしょうか。

もうひとつは、これは非常に困難な問題です。これらは、本来、誰でも持っている人間としての本能の部分です。それは「人間の判断は本質的に損を招く」というものです。これらについては、アメリカの科学誌「サイエンス」にミシガン大学の心理学者が発表した記事があります。

『投資において負けると、なぜか大きな賭けに出て深みにはまってしまう。こうした行動は、損失を取り戻そうとする脳内の反射的な働きに一因がある。儲けた場合より損をした場合の方が「前頭葉内側野」が活発になり、損をした直後には、その損を取り戻そうと、更に大きな賭けに出る傾向が見られた』とある。

投資家であれば、誰でも「損失の恐怖と利益の歓喜」という共通の意識を持ち、人としての感情がマーケットでの正しい行動を狂わせ、そして、全員が負けるというものです。

いつもながら、重い話題となってしまいましたが、投資家各自がこれらの問題に対し、どのように向き合い、どのように解決していくかが、今後の長くなるであろう投資活動の成果につながるものと思います。

私自身もこのような問題と対峙し苦悩し続けてきましたが、年月を経て、ある一定の方向性を見つけ、現在の投資手法に至ったわけです。私の分析システムは、これらの考え方が組み込まれているため、暴落に対しても分析システムを変更することなく、難なく乗り越えたられたのではないでしょうか。

投資家は、これからも投資活動を続けていく限り、これからの人生の多くの部分を「投資」という問題が占めることになります。このあたりで、これらの問題についても、もう一度考えてはいかがでしょうか。