投資哲学(その1)

毎週、当コメント欄をお読みいただいてる投資家の皆さんには、私の投資に対する考え方やその手法は、すでにご理解いただいてると思います。これからも混迷すると思われる不透明な時代に向けて、改めて私の投資哲学を解説して参りたいと思います。

投資哲学は、五つの項目から成り立っています。

第一、テクニカル分析
第二、トレンドフォロー戦略
第三、分散投資
第四、リスク管理(ヘッジ)
第五、売買のシステム化

以上の項目について、今後、何回かに分けて解説します。

今回は「投資哲学(その1)」として、「テクニカル分析」について解説いたします。

◆テクニカル分析

テクニカル分析とは、過去に発生した価格の変化から将来の価格の変化を予想・分析しようとする手法であり、ファンダメンタル分析と相対する概念です。コンピュータを駆使して、判定条件に合うものを自動的に判定し売買をします。

テクニカル分析では、その検証期間が短すぎると問題が生じてきます。適正なバックテストとは、相場の大きなうねりの山→谷→山、または谷→山→谷を捉えた検証でなければなりません。パソコンの画面程度の期間での検証では、あまり意味を成さないことはすでに述べています。

私は常に過去10年から20年程度のバックテストを行い検証しています。これらの検証も30年ほど前から行っており、そのデータは膨大なものとなります。今でも、この検証は続けています。

自慢するわけではありませんが、私ほどテクニカル分析を研究しているところはないと思っております。なぜ、このような膨大な検証を長期間行っているかと申しますと、私の「投資の心のよりどころ」を、このテクニカル分析に求めているからです。

短期売買のため、ファンダメンタルズを採用しない私は、テクニカル分析を徹底的に検証し理解しておかなければ、テクニカル分析のみでの運用に不安が残るからです。

その徹底的な検証の結果かどうか分かりませんが、暴落や急騰においても難なく運用が継続されています。

私の分析システムは、暴落や急騰で相場展開に合わせてシステムの変更すべきことは一切ありませんでした。基本的には、相場がどのような展開になろうとも運用できる「全天候型」の分析システムであると自信を持っています。

なぜ、ファンダメンタルズを無視して、これほどまでにテクニカル分析にこだわるのか・・・。その根拠をは、その原因が明確でなければ、その結果においてもあいまいになってしまうからです。

その理由(根拠)として、まず、第一には、短期売買においては、業績と株価にタイムラグが生じているということにあります。これらは、すべてとは申しませんが、私の経験からして、多くの銘柄にタイムラグが生じているのは事実です。

業績が良いので買ったものの株価は一向に上がらず、逆に下がってしまった。その後の業績発表では、業績が下方修正であったなどの経験はなかったでしょうか。企業業績と株価とのタイムラグが、そのような結果をもたらすわけです。

もし、業績が良いということだけで買い付けして儲かるのであれば、誰でも儲かるはずです。しかし、そのようにならないところが、また株式投資の難しいところでもあり、面白いところでもあるのです。

また、我々が企業業績の確定数値を見るころには、それ以前に業界の人達や早耳筋が、これらの発表前の数値を知りえる立場にあり、インサイダーまがいの仕掛けが先回りして行われる可能性もあります。

更に、情報を先取りして売買しようとする投資家は、虎視眈々と常に新しい情報に耳を澄ませています。常にウェブサイトなどを検索し、新しい情報を探し回っています。以上のような要因が重なり、業績と株価にタイムラグが生じてくるわけです。

投資というものは将来に対しての行為であるため、多くの投資家や関係者が我先にと買い(売り)に走る傾向もあります。これらのことから、株価は常に企業業績に先行して推移するものです。

しかし、私がファンダメンタルズを検証しないことを皆さんがまねをする必要はありません。投資スタイルは、各投資家ごとに多様であって良いわけですから・・・。

業績上昇銘柄であっても、大きな相場の流れには勝てないということです。大暴落などにおいては、多少の業績上昇でも、いとも簡単に下落してしまいます。記憶にも新しいと思いますが、暴落時にはファンダメンタルズ指数もあまり機能しませんでした。

個々の銘柄の検証も重要とは思いますが、それ以上に「相場観測」が重要な要素となります。まず、私の「相場観測」(ヘッジ比率やポジション比率)などで、相場全体の位置や方向性を確認した後に、個々の銘柄を云々すべきです。

相場観測は、多くのアナリストや研究機関で発表していますが、その内容は抽象的で具体性に欠けています。抽象的では買うか売るかの判定もおぼつきません。テクニカル分析では、それらの判定を明確な数値で表します。

私も経済ニュースには関心はあり、それらの内容を「うん、うん、なるほど」と見ていますが、どう行動するかという時には、その判断には迷ってしまいます。(私はシステム売買のため実際には行動しませんが・・・)

投資情報のあいまいさ、短期売買における企業業績のタイムラグなどから考え、これらの不確定な要素はすべて排除しようと結論付けました。それでなくても、株価の今後の行き先など不確定なものですから・・・。

これら根拠よって、短期売買においては、テクニカル分析一本で行こうという結論に達し、以後、テクニカル分析に専念し、現在に至ったわけです。

株式投資において、その目的を「相場に振り回されることなく、できるだけリスクを抑え、しかも安定的に利益を積み上げる」ことを目指しています。その目的のために、現在のテクニカル分析システムがあるわけです。

私は今後もテクニカル分析に専念し、更なる研究を続けて参ります。

投資の現実

「自分は他人よりも運転がうまいと思うか、下手だと思うか」という質問をしたら、なんと90%の人が、自分は他人よりもうまい、と答えた。みんなが平均を上回るということはありえないにもかかわらず、この結果だ。これが自信過剰というものです。人間とはそんなものなのだろう。

ある株式セミナーで「あなたの投資レベルはどのくらいですか」というアンケートにも「投資知識はある。レベルは中級程度」と述べている投資家が多かった。と言うことは、成績においても中級程度なのだろうか。投資家は、自信を持って投資市場に挑んでいるようです。

また、投資に対する期待値も大きい。特に、新規に市場に参入してくる投資家は夢を抱き、大きな期待で胸を膨らましてくる。新規参入者は、書店に並ぶ多くのノウハウ本を読破し、自信をつけて、目標は「勝率は80%、利益は年間2倍」などと、夢を持って参入してくる。

これらの期待も当然であろう。なぜなら、書店に並ぶノウハウ本の多くは「大儲けできます」の内容であるから・・・。どうしても初心者は、投資の世界とは、そのような世界であると信じてしまう。そこに、現実社会との大きなギャップなど考える由もない。

市場に参入してから数ヶ月もすると、現実の社会に引き戻され目が覚める。こんなはずではなかったのだが、と後悔するも・・・

出版業界の人に聞いた話によると、それらの投資ノウハウ本も「最近は、株式投資に関する新刊書はほとんど出ていない」という。たしかに、書店の投資コーナーの狭くなったこと。あやかり商法ではないが、相場上昇期にはあれほど新刊書が出ていたのに・・・。

さて、株式投資には、まず投資に対する考え方が重要であるということは、当欄で再三述べています。投資に対する考え方が間違っていれば、いくら経験を積んでも右肩上がりの収益は期待できないとも述べています。

そこで、株式投資の「勝率」と「利回り」について考えてみたいと思います。まず、「勝率」は、一般のノウハウ本では、勝率80%などと、うたってアピールしている投資手法もあるようです。これらは、やはり「一定期間に限って」という条件付であれば、そのような勝率を上げることも可能であると思います。

つまり、それらの手法に合っている期間での「いいとこ取り」の手法であれば、勝率100%も不可能ではありません。しかし、実践においては、このようなことは許されるはずもありません。

勝率80%は、これらを長期スパンでみれば、まず不可能でしょう。私の検証の結果では、勝率は、長期間で見れば最高でも50%前後であるということです。つまり、「投資は長期間わたり継続して運用する」という前提に立てば、「勝率50%前後」は普遍の事実です。

投資というものは、短期であれ、長期であれ継続して行うものであり、投資に対する考え方から売買システムの構築にいたるまで、すべてこの「投資は長期間わたり継続して運用する」ということを前提に行わなければ、絵に描いた餅に過ぎません。

話が余談になりますが、私が投資に対して自信があるとすれば、それは、今まで、一般に出回っているテクニカル分析指標のほとんどを検証したことでしょうか。過去においても現在においても、テクニカル分析に対しては、誰よりも研究したという自信を持っています。

テクニカル分析に対する知識は人一倍ありますが、それらの知識を披露しても何も始まりません。その知識を実践に活かさなければ、何の意味もありません。実践あるのみです。そして収益を上げることです。

当研究所の分析システムは非常にシンプルですが、これらは、テクニカルのエッセンスが凝縮された分析システムであると自負しています。本システムの趣旨を理解され、正しく運用いただければ、大暴落やその後の上昇、そして下げにおいても脱落することなく、継続した運用が可能であると思います。

さて、投資家は、勝率に非常に敏感です。しかし、プロの間では「勝率」が云々という話は一切出てくることはありません。一般的なテクニカル分析指標を単独で長期間運用すると、勝率は、おおむね30%強程度にしかならないということを知っているからです。これは長年、テクニカル分析を研究してきた私が自信を持ってお伝えできる事実です。

つまり、「投資は長期間にわたり継続して運用する」という前提に立てば、勝率は、投資家が思っているほど高くはならないと言うことです。このことをしっかりと自覚していただきたい。

次に、「利回り」についてですが、やはり、巷のノウハウ本を見ると、高利回りをうたって、興味をそそるタイトルが付けられています。しかし、現実にはそんなに甘くはない。2003年から2006年のような、大きな上昇相場であれば、そのようなことも可能かもしれませんが・・・。

投資利回りは平均すれば年率20~25%くらいなものです。これでも良いほうです。これらが現実的な数値です。もちろん、相場展開によっては、一時的に大きく収益を上げるときもあるでしょう。

これらの利回りについても、やはり「投資は長期間わたり継続して運用する」ということが前提となります。しかし、多くの投資家は、これらに満足できず大きな賭けに出ているように私には見受けられます。勝負に出れば最後には必ず負けます。

「投資は長期間にわたり継続して運用する」という前提に立てば、「勝率」も「利回り」も、投資家が考えているほど高くはならない。この現実をしっかりと受け止め、足が地に付いた運用を行っていただきたい。

投資の世界に夢を持つことは大いに結構なことですが、商業主義的な情報に振り回されることなく、もう少し現実を見てほしい。

株式投資に何を求めるか

私には今後の相場展開は分からない。知るよしもない。分からずとも株式投資はできる。私は、以前から「情報」「材料」での売買は一切行わない。さらに、投資の基本中の基本とされるファンダメンタルズさえも見ない。

「情報」「材料」「ファンダメンタルズ」などを勘案することがない。そのため、これらの判断に迷うこともなく、気楽な売買ができる。投資を長く続けていくにはストレスを溜め込まず平常心を保つ、この気楽さも必要であると私は考えています。

私の売買は、相場が下降すれば空売りを増やし、相場が上昇すれば買いを増やす。これらをシステムに従って忠実に発注するだけです。

私も経済ニュースなどはよく見る。「相場は今後上昇する」などのメディアの情報も、あれこれと考えをめぐらしている。今後の景気予想などもしてみる。そして、今後の株式市場はこうなるだろうなどと考える。

しかし、私の運用手法は完全なシステム売買であり、その売買は忠実にシステムの指示に従っている。そのため、時にはシステムの指示が自分の考えと相反することもある。「自分はこのような展開を予想しているのだが、システムの指示が反対なんだよなあ」と悩むことがある。

私は、このような時でもすべてシステムの指示に従って売買する。今までの経験において、自分の予想や判断の多くは外れている。つまり、長期間で見れば、自分の予想や考えがシステムには勝てない。私はそのことを良く知っています。

「情報」「材料」「ファンダメンタルズ」などを一切採用しないという私の考えに、当然ながら反対意見も多いと思います。しかし、それは、それぞれの投資家が投資に何を求めているかによって異なってくると思います。人は、それぞれ異なった価値観持っています。

株式投資に楽しみを求めるのか、株式投資にスリルを求めるのか、株式投資に収益のみを求めるのか、はたまた、株式投資で経済の勉強をするのかなど、投資家によりそれぞれ異なっているものです。ここで、投資家の価値観の違いを云々しても始まらない。

投資世界は、すべて自己責任であり、その手法や考え方に外部からあれこれ言う必要はまったくないということです。投資家が株式投資に求めるものが明確であれば、自分を信じ、その目的に沿った投資スタンスを取るべきであると考えます。私は、このように考えますが、皆さんはいかがでしょうか。

 

タイムラグ

株式投資で、テクニカル分析を否定する評論家や投資家が多いようです。特に、高い経済知識を持つ学者などは、これらを否定する識者がほとんどのようです。しかし、投資の世界では正しい答えなどないですから、テクニカル分析を無下に否定することもないと思いますが・・・。

理論や知識だけで儲かるのであれば、誰も苦労などしないわけです。理論だけで儲かるのであれば、経済学者などはその最先端を行っているのではないでしょうか。しかし、経済学者が大儲けしたなどの話はあまり聞いたこともない。だからこそ投資の世界は面白いのかもしれません。

そこで、テクニカル分析を採用する根拠について考えて見ましょう。一般に、原因なくして、結果なしと言われるように「原因、結果の法則」に従い、根拠のないものは、いずれ破綻すると言われています。そのためにも、テクニカル分析を採用する根拠を明確にしておかなければなりません。

株式投資は、企業業績を検証し、好調な銘柄を買い付けるということが一般的です。これらは正しい考えです。しかし、その投資スパン、つまり投資期間を考えてみるといかがでしょうか。

5年、10年という投資スパンであれば、ファンダメンタルズによる投資が一番優れていると思います。しかし、皆さんも業績が良いので買い付けしたものの、株価が一向に上がらないという経験をされたこともあると思います。

その原因は何であるか、その理由には「業績の内容と株価の変動が、短期的には一致しない」という点にあります。

投資というものは、将来に対しての行為であるため、株価は常に、これらを織り込みながら先行するという習性を持っています。そのため、業績が最高の時は株価はすでに織り込み済みとなっている場合が多くあります。

一般的に、株価は業績の6ヶ月から長くて9ヶ月先を織り込みながら推移するといわれています。その根拠としては、投資とは、将来に対しての行為であるということだからです。つまり、業績内容を先取りしてしまうということです。そこに、業績と株価の「タイムラグ」が発生することになります。

実際に、皆さんも企業情報の予想などを見て、その企業の今後の見通しなどを予測しながら、好調な企業に対し投資するのではないでしょうか。つまり、この時点で、すでに業績の先取りをしているということになります。

しかし、業績が良いというだけで、株価が上がるというのであれば、誰でも儲かるはずです。つまり、このような「タイムラグ」が、株式投資をさらに難しいものとしているのです。

そこで、これは私の独自の考えですが、株価が、業績の6ヶ月から9ヶ月先行するとすれば、もし、6ヶ月以内の短期売買であれば、業績の数値はあまり役に立たないということにならないでしょうか。

つまり、短期売買においては、ファンダメンタルズは、参考程度に見ればよいのではないかと考えます。このような考えは間違っているかもしれません。ファンダメンタルズ派からはブーイングが起こるでしょう。一般的な投資の常識から外れているかもしれません。しかし、私はこのように捉えて今まで運用を行ってきました。

皆さんは、驚かれるかも知れませんが、私は売買に際し、ファンダメンタルズはほとんど見ておりません。たしかに、持ち株で上昇していない銘柄は、後から見れば業績が芳しくないという銘柄ももちろんあります。

しかし、業績が悪かった銘柄が急上昇して大幅に値上がりすることもあります。上昇相場では、収益率のトップクラスにランクされた銘柄は、いずれもこのような銘柄で、これらは仕掛け後に業績が好転するといった修正を行っています。

このように、後でその業績内容にも納得するのですが、仕掛けの時点では、これらのことは分かりません。よって、私は短期売買を目指していますので、投資対象となる企業の業績はほとんど検証しておりません。このようなことがアウトローと言われる所以かもしれませんが・・・。

要するに、長期投資ではファンダメンタルズは非常に重要な意味を持ちます。しかし、短期売買においては、ファンダメンタルズは参考程度でよいのではないかと考えます。つまり、売買期間が短くなればなるほど、ファンダメンタルズの影響は薄れていくと言うことです。

テクニカル分析を利用するという根拠は、株価は、常に業績を織り込みながら先行するという習性を持っているため、そこに「タイムラグ」が発生する。よって、その分析において、短期売買という条件の下では、ファンダメンタルズ分析よりテクニカル分析が適しているという考え方です。