数値と確率

市場の動向を判断する上では、日経平均の上げ下げのみで云々するのではなく、あらゆる角度からの総合判断が必要となってきます。投資家の主観や感覚的な判断ではなく、必ず公表された「数値」に基づいて判定を行っていただきたい。

一般的な投資情報は、今後の相場展開を予想する情報が多いようです。しかし、これらも結果的には、評論家やアナリストなどの主観的な判断に基づく内容も多く、強気派は万年強気、弱気派は万年弱気の傾向が強いようです。

評論家やアナリストなどの多くは、ファンダメンタルズをベースにその解説を行っているようですが、その基本姿勢は正しいと思います。しかし、公表されているファンダメンタルの情報は誰にも同じように、同じ数値で届くはずです。

同じ情報で同じ数値であっても、それぞれに判断を下すと、強気派、弱気派に分かれてしまうようです。インサイダー情報でも入手していない限り、その判定は同じようなものになるはずなのですが・・・。

もちろん、これらの判定も短期的な判断と長期的な判断では当然ながら異なってきますが、それであっても両極端にはならないはずではと思うのですが・・・。私が考えるに、もともと、ひも付きの評論家やアナリストは別としまして、その判断に彼らの基本的な考え方の違いや主観的な部分が多く織り込まれているのではないかと考えます。

投資家でも評論家でも一人の人間ですから、そこに感情が入るのもやむを得ないところでしょう。それはそれとして、投資においては、やはり、これらの主観や感情を排除して運用したいものです。

投資家であれば、新規に仕掛けに入る時は誰でも緊張するものです。これらの緊張も、元をただせば不安からくるものです。確定的な必勝法がない世界では当然かもしれません。では、絶対的なものがない世界で生きていくには何が必要であるか。

そもそも、我々の一般社会でも絶対的などというものはありません。そのため、将来に対する漠然とした不安などを感じるものです。絶対的なものがないとすれば、我々はどのような対応でその不安を軽減すれば良いのでしょうか。

それは「確率」ではないかと考えます。確率を高めることです。たとえば、株式投資では割安な銘柄を買い付けするということが基本です。では、割安とは何か。PERが40倍の銘柄を仕掛け(買い)ようとした場合、この40倍は割安なのか。そこで、東証一部全銘柄の平均PERを調べてみた。その平均は37倍であった。

PERが40倍の銘柄は、東証一部全銘柄の平均以上である。これでは割安とは言えない。つまり、PERが40倍の銘柄は買い仕掛けはできないという結論に達する。このような分析数値の多くを積み上げていけば、より高い確率での運用が可能となるのではないだろうか。

一般社会においても同様のことが言えると思います。たとえば、企業において、ある商品を売り出そうとした時、絶対売れるという保証はないものの、綿密な市場調査を重ねて、それらの数値をもとに分析して最終的には「いける」と判断し発売するものです。

ここでの市場調査も決して感覚的なものではなく、しっかりとした数値による分析を行うはずです。そして、それらの数値を総合的に判断して「売れる確率が高い」として商品を発売に踏み切るはずです。

つまり、投資においても企業経営にしても「確定した数値をもとに、確率を高める」ということに他ならないのではないだろうか。そこに、主観や感覚の入る余地はないはずです。

もし、この考えが正しいとすれば、投資の最高峰は「システム売買にある」ということにはならないだろうか。そのように考えるのは私だけでしょうか・・・。

「平均」という数値

一般に投資とは、経済状況を織り込みながら今後どのように展開するのだろかと将来を見据え投資スタンスを決めていくのでしょう。投資ニュースの中で一番多い記事は、やはり今後の相場の展開であろう。

多くのアナリストや評論家は、今後の相場展開を真剣に考え論評している。その人達の中にも強気派、弱気派などさまざまです。それぞれの意見が異なることは良いことで、我々は、それらを客観的な立場から判断できます。

しかし、もし持ち株が現在大きくマイナスであった場合には、どのような対応をするのでしょうか。弱気派の記事は飛ばして、強気派の記事を真剣に読んで自分を納得させようとするはずです。その気持ちはよく理解できる。投資の世界は実のところそんなところです。

言葉では「相場では客観的な立場で」「自分を信じて」とは言うものの、感情を持つ人間であれば、また、相場に正しい答えがないということから考えれば、相場に振り回されることもやむを得ないのかもしれない。

ただ私は、これらの経済ニュースや相場変動に振り回されることは、そのパフォーマンスにおいてプラスの要因とならないことを知っています。そのために、システム売買で運用しているわけです。

システム売買は、投資の最終到達地点であると理解しているつもりでも、その長い運用期間においては、「これでいいのか?」と疑問を持つこともあります。システム売買だからと言って、すべてにおいて満足するものではありません。まだシステム自体が未熟なのかもしれませんが・・・。

このような中から、テクニカル分析において問題となる点をお話しましょう。テクニカル分析は、移動平均線をはじめ多くの分析指標が存在します。それらの多くの分析指標の共通点は何か。それは大なり小なり「平均」という数値を用いているということです。

平均とは、「大体(だいたい)は」「アバウトに」という意味です。ランダムな株価変動を捉えるには、これらの「平均」は適していると思います。これらの平均を利用しない手法は、テクニカル分析の中ではローソク足で分析する「酒田五法」ぐらいなものでしょう。

これらの「平均」を利用したテクニカル分析指標は、その平均値の期間の取り方にもよりますが、株価変動がスムーズな変動であれば、これらの指標も機能的に働きます。しかし、突発的なニュースや事件などで、株価が突然急騰、または急落した場合などには、平均値を採用しているため、その対応が遅れます。

08年のリーマンショックの大暴落では、株価チャートを見ていただければ分かると思いますが、大暴落前には、それなりの下落の兆候が見られます。このような前兆があれば平均的なテクニカル分析でもその後の下落も捉えられやすくなります。

しかし、09年の大底からの上昇では急激な変化のため、一般のテクニカル分析では、その前兆を捉え難くなります。そのため、本来の買いのポイントが売りのポイントとなってしまったりすることがあります。例としてあげれば、移動平均線のゴールデンクロスが、結果的には株価の天井であった場合などです。

そこではまずいと考え、突然の急騰、急落にも対応できる分析システムを作ったとしても、今度は、通常の株価変動時には多くのダマシが発生してしまうなど、なかなか思うようにはなりません。

これらの対策はどうしたものか思案のしどころですが・・・。結論的には、通常相場用と急騰、急落用の二種類のシステムを平行して使用するという考えもありますが、一般的には、「発生する確率の高いシステムを採用する」ということになると思います。

つまり、通常相場用でよいのではないかと思います。もし、急騰、急落があって、システムが一時的にパフォーマンスが落ちたとしても、そこは「平均」を採用したシステムであるので、ここは少し我慢しようとするべきではないでしょうか。これらを理解していれば、冷静に嵐を凌げるのではないかと考えます。

ファンダメンタルズ分析においてもテクニカル分析においても、それらが万能ではないということを知ることです。これらを理解していないから、少しパフォーマンスが落ちると、この分析手法はダメだと考え込んで、また「青い鳥」を探しに長い旅に出て行くのです。

分析システムを構築することは大変な作業となります。苦労して作り上げたシステムで運用したとしても、結果がシミュレーションと同等とならず思い悩みます。そしてまた新しいアイデアで分析システムの構築に励みます。

これらの分析システムの構築においても、その多くは失敗に終わります。しかし、それらの失敗と努力を続ける姿勢は、必ず正しい方向に向かっているはずです。

今、自分にできること

世界は常に問題を抱えながら変動しています。米中貿易問題、北朝鮮問題、ヨーロッパの移民問題、イギリスのEU離脱問題、中国の経済状況。日本では消費税問題や移民問題、対韓国、対中国、対ロシア問題、少子高齢化問題など、これから先にはさらに多くの難題が待ち構えています。これらの世界の潮流の中、我々は投資活動を行っいかなければなりません。

我々投資家は、このような先行き不安の中どのように考え、どのように対処していけば良いのでしょうか。しかし、これらの問題は、あまりにも大きすぎて、一投資家には如何ともし難い。「そんなの関係ねえ」とでも言うのでしょうか。

このようなことから、これから先の自分の人生と照らし合わせると非常に不安になるものです。将来が不安だからお金を使わない。お金を使わないから物が売れない。物が売れないから物価が下がる。そしてデフレに・・・。

最近、今後の経済に対する不安や自分の将来に対する不安、投資に対する不安など、諸々の不安をメールで訴えてくる投資家も多くなってきています。私のところは、「よろず相談所」ではないのですが、これらに対して、私の体験の範囲内でお答えしています。その答えが正しいかどうか疑問は残りますが・・・。

私自身も、今後の日本の財政や世界経済に対しては漠然とした不安はあります。しかし、これらの問題の対策として、次のように考え対処しています。

このような状況時には「今、自分にできることからする」という考えで対処しています。「悩んだら基本に戻れ」と言われるように、あまり先のことを考えて不安をがらず、原点に戻り、今、何をなすべきか、その最善の方法は何かと考え行動するようにしています。

あまりにも問題が大きく対処できない場合には、一時的にパニックに陥ってしまうこともあるかもしれませんが、投資の世界と同様にパニックになれば正しい判断はできないことになります。

よく考えてみると、我々がどのような状況に置かれたとしても「今、自分にできることからする」以外にはないのです。そして、「今、考えられる最善の方法で対処する」以外にはないのです。

投資の世界では、暴落などにより多くの投資家はパニックに陥ります。そして、頭を抱えて右往左往します。誰でも同じことです。しかし、失敗しない人間などいません。人間の価値は「失敗の処理の仕方により決まる」とも言われています。

失敗においては、できるだけ早く冷静さを取り戻し、今、自分にできることは何か、そして、その最善策はと何かと考えるべきです。しかしながら、そのときに最善策と信じ実行したとしてもすべてうまく行くとは限りません。

その最善策との判断は結果的に間違いであったということもあるかもしれません。これらは、後になってから分かることであって、その時点では最善策として判断したわけです。多くの人達は、「こうれば良かった、ああすれば良かった」と悔やみます。これらは、投資の世界でも同じです。

しかし、その判断時点では最善策として決断したわけですから、それはそれで正しいのです。これを受け入れるべきです。受け入れることにより、それらが経験として生きてくるのです。失敗をいつまでも拒否しているから、その経験が生きてこないのです。

世の中の成功者は、多くの失敗を重ね、その都度「今、考えられる最善の方法で対処」して、そこから多くのものを学び、成功を勝ち取ってきたのではないでしょうか。

投資の世界などは失敗の連続です。熟練者であっても同じです。しかし、初心者と熟練者の大きな違いは、その失敗の処理の仕方にあります。熟練者は、多くの体験から学び取った最善と考えられる失敗の処理の方法を身につけています。

不安や悩みは誰でも抱えています。しかし、これらは考え込んでも何も解決しません。考えれば考えるほど、正しい解決方法から遠ざかっていくものです。

これらの経済状況により、投資市場も大きな波乱を含んでいると思われます。今後、投資家も不安を抱えながらの運用となります。そのような時こそ「今、自分にできることからする」「今、考えられる最善の方法で対処する」ことではないでしょうか。