投資の現実

「自分は他人よりも運転がうまいと思うか、下手だと思うか」という質問をしたら、なんと90%の人が、自分は他人よりもうまい、と答えた。みんなが平均を上回るということはありえないにもかかわらず、この結果だ。これが自信過剰というものです。人間とはそんなものなのだろう。

ある株式セミナーで「あなたの投資レベルはどのくらいですか」というアンケートにも「投資知識はある。レベルは中級程度」と述べている投資家が多かった。と言うことは、成績においても中級程度なのだろうか。投資家は、自信を持って投資市場に挑んでいるようです。

また、投資に対する期待値も大きい。特に、新規に市場に参入してくる投資家は夢を抱き、大きな期待で胸を膨らましてくる。新規参入者は、書店に並ぶ多くのノウハウ本を読破し、自信をつけて、目標は「勝率は80%、利益は年間2倍」などと、夢を持って参入してくる。

これらの期待も当然であろう。なぜなら、書店に並ぶノウハウ本の多くは「大儲けできます」の内容であるから・・・。どうしても初心者は、投資の世界とは、そのような世界であると信じてしまう。そこに、現実社会との大きなギャップなど考える由もない。

市場に参入してから数ヶ月もすると、現実の社会に引き戻され目が覚める。こんなはずではなかったのだが、と後悔するも・・・

出版業界の人に聞いた話によると、それらの投資ノウハウ本も「最近は、株式投資に関する新刊書はほとんど出ていない」という。たしかに、書店の投資コーナーの狭くなったこと。あやかり商法ではないが、相場上昇期にはあれほど新刊書が出ていたのに・・・。

さて、株式投資には、まず投資に対する考え方が重要であるということは、当欄で再三述べています。投資に対する考え方が間違っていれば、いくら経験を積んでも右肩上がりの収益は期待できないとも述べています。

そこで、株式投資の「勝率」と「利回り」について考えてみたいと思います。まず、「勝率」は、一般のノウハウ本では、勝率80%などと、うたってアピールしている投資手法もあるようです。これらは、やはり「一定期間に限って」という条件付であれば、そのような勝率を上げることも可能であると思います。

つまり、それらの手法に合っている期間での「いいとこ取り」の手法であれば、勝率100%も不可能ではありません。しかし、実践においては、このようなことは許されるはずもありません。

勝率80%は、これらを長期スパンでみれば、まず不可能でしょう。私の検証の結果では、勝率は、長期間で見れば最高でも50%前後であるということです。つまり、「投資は長期間わたり継続して運用する」という前提に立てば、「勝率50%前後」は普遍の事実です。

投資というものは、短期であれ、長期であれ継続して行うものであり、投資に対する考え方から売買システムの構築にいたるまで、すべてこの「投資は長期間わたり継続して運用する」ということを前提に行わなければ、絵に描いた餅に過ぎません。

話が余談になりますが、私が投資に対して自信があるとすれば、それは、今まで、一般に出回っているテクニカル分析指標のほとんどを検証したことでしょうか。過去においても現在においても、テクニカル分析に対しては、誰よりも研究したという自信を持っています。

テクニカル分析に対する知識は人一倍ありますが、それらの知識を披露しても何も始まりません。その知識を実践に活かさなければ、何の意味もありません。実践あるのみです。そして収益を上げることです。

当研究所の分析システムは非常にシンプルですが、これらは、テクニカルのエッセンスが凝縮された分析システムであると自負しています。本システムの趣旨を理解され、正しく運用いただければ、大暴落やその後の上昇、そして下げにおいても脱落することなく、継続した運用が可能であると思います。

さて、投資家は、勝率に非常に敏感です。しかし、プロの間では「勝率」が云々という話は一切出てくることはありません。一般的なテクニカル分析指標を単独で長期間運用すると、勝率は、おおむね30%強程度にしかならないということを知っているからです。これは長年、テクニカル分析を研究してきた私が自信を持ってお伝えできる事実です。

つまり、「投資は長期間にわたり継続して運用する」という前提に立てば、勝率は、投資家が思っているほど高くはならないと言うことです。このことをしっかりと自覚していただきたい。

次に、「利回り」についてですが、やはり、巷のノウハウ本を見ると、高利回りをうたって、興味をそそるタイトルが付けられています。しかし、現実にはそんなに甘くはない。2003年から2006年のような、大きな上昇相場であれば、そのようなことも可能かもしれませんが・・・。

投資利回りは平均すれば年率20~25%くらいなものです。これでも良いほうです。これらが現実的な数値です。もちろん、相場展開によっては、一時的に大きく収益を上げるときもあるでしょう。

これらの利回りについても、やはり「投資は長期間わたり継続して運用する」ということが前提となります。しかし、多くの投資家は、これらに満足できず大きな賭けに出ているように私には見受けられます。勝負に出れば最後には必ず負けます。

「投資は長期間にわたり継続して運用する」という前提に立てば、「勝率」も「利回り」も、投資家が考えているほど高くはならない。この現実をしっかりと受け止め、足が地に付いた運用を行っていただきたい。

投資の世界に夢を持つことは大いに結構なことですが、商業主義的な情報に振り回されることなく、もう少し現実を見てほしい。