「平均」という数値

一般に投資とは、経済状況を織り込みながら今後どのように展開するのだろかと将来を見据え投資スタンスを決めていくのでしょう。投資ニュースの中で一番多い記事は、やはり今後の相場の展開であろう。

多くのアナリストや評論家は、今後の相場展開を真剣に考え論評している。その人達の中にも強気派、弱気派などさまざまです。それぞれの意見が異なることは良いことで、我々は、それらを客観的な立場から判断できます。

しかし、もし持ち株が現在大きくマイナスであった場合には、どのような対応をするのでしょうか。弱気派の記事は飛ばして、強気派の記事を真剣に読んで自分を納得させようとするはずです。その気持ちはよく理解できる。投資の世界は実のところそんなところです。

言葉では「相場では客観的な立場で」「自分を信じて」とは言うものの、感情を持つ人間であれば、また、相場に正しい答えがないということから考えれば、相場に振り回されることもやむを得ないのかもしれない。

ただ私は、これらの経済ニュースや相場変動に振り回されることは、そのパフォーマンスにおいてプラスの要因とならないことを知っています。そのために、システム売買で運用しているわけです。

システム売買は、投資の最終到達地点であると理解しているつもりでも、その長い運用期間においては、「これでいいのか?」と疑問を持つこともあります。システム売買だからと言って、すべてにおいて満足するものではありません。まだシステム自体が未熟なのかもしれませんが・・・。

このような中から、テクニカル分析において問題となる点をお話しましょう。テクニカル分析は、移動平均線をはじめ多くの分析指標が存在します。それらの多くの分析指標の共通点は何か。それは大なり小なり「平均」という数値を用いているということです。

平均とは、「大体(だいたい)は」「アバウトに」という意味です。ランダムな株価変動を捉えるには、これらの「平均」は適していると思います。これらの平均を利用しない手法は、テクニカル分析の中ではローソク足で分析する「酒田五法」ぐらいなものでしょう。

これらの「平均」を利用したテクニカル分析指標は、その平均値の期間の取り方にもよりますが、株価変動がスムーズな変動であれば、これらの指標も機能的に働きます。しかし、突発的なニュースや事件などで、株価が突然急騰、または急落した場合などには、平均値を採用しているため、その対応が遅れます。

08年のリーマンショックの大暴落では、株価チャートを見ていただければ分かると思いますが、大暴落前には、それなりの下落の兆候が見られます。このような前兆があれば平均的なテクニカル分析でもその後の下落も捉えられやすくなります。

しかし、09年の大底からの上昇では急激な変化のため、一般のテクニカル分析では、その前兆を捉え難くなります。そのため、本来の買いのポイントが売りのポイントとなってしまったりすることがあります。例としてあげれば、移動平均線のゴールデンクロスが、結果的には株価の天井であった場合などです。

そこではまずいと考え、突然の急騰、急落にも対応できる分析システムを作ったとしても、今度は、通常の株価変動時には多くのダマシが発生してしまうなど、なかなか思うようにはなりません。

これらの対策はどうしたものか思案のしどころですが・・・。結論的には、通常相場用と急騰、急落用の二種類のシステムを平行して使用するという考えもありますが、一般的には、「発生する確率の高いシステムを採用する」ということになると思います。

つまり、通常相場用でよいのではないかと思います。もし、急騰、急落があって、システムが一時的にパフォーマンスが落ちたとしても、そこは「平均」を採用したシステムであるので、ここは少し我慢しようとするべきではないでしょうか。これらを理解していれば、冷静に嵐を凌げるのではないかと考えます。

ファンダメンタルズ分析においてもテクニカル分析においても、それらが万能ではないということを知ることです。これらを理解していないから、少しパフォーマンスが落ちると、この分析手法はダメだと考え込んで、また「青い鳥」を探しに長い旅に出て行くのです。

分析システムを構築することは大変な作業となります。苦労して作り上げたシステムで運用したとしても、結果がシミュレーションと同等とならず思い悩みます。そしてまた新しいアイデアで分析システムの構築に励みます。

これらの分析システムの構築においても、その多くは失敗に終わります。しかし、それらの失敗と努力を続ける姿勢は、必ず正しい方向に向かっているはずです。