ペア・トレード

■投資に対する考え方  (投資の基本)

多くの投資家は、いかに多くの収益(リターン)を上げるかに日々努力しています。ある投資家はファンダメンタルズ分析で、ある投資家はテクニカル分析でと、その手法は変われどもリターンの大きさを求め、その研究を惜しみません。

投資の世界には常に危険(リスク)が付きまとい、その収益(リターン)とは表裏一体の関係にあることはどなたでもご存知であると思います。つまり、投資とは、リスクとリターンがシーソーのようなバランスの関係にあるということです。

多くの投資家は常にリターンの大きさに関心を持ちます。大きいリターンを求めるのは大いに結構なことですが、それだけで良いのでしょうか。少し視点を変えて見てみましょう。

もし、リスクを最小限に抑えることができれば、そのバランスであるリターンも大きなものとなってくるのではないでしょうか。私は、投資の本質はここにあるのではないかと考えています。

投資の世界は、どのような投資手法であっても、その運用においては長期間にわたる継続的な売買において収益が積み上がっていくものです。運用途中に暴落などに遭遇し、運用継続が困難となるようでは、本来の投資の目的も達せられないことになります。しかし、今後の市場の行方など誰も分かりません。

一般的な投資の考え方において、今後のマーケットの方向性は非常に大きなファクターとなることは事実です。今後のマーケット展開が分かれば相場で勝つことは容易になります。しかし、投資の世界はそう甘くはありません。専門家であるアナリストやシンクタンクであっても、その方向性を当てることは至難の業です。

ましてや、個人投資家レベルで今後のマーケットの展開を予想し、実際の運用に結び付けていくということは非常に困難です。

つまり、投資家の成績は、この「今後のマーケット展開」に大きく左右される結果になります。しかし、今後のマーケット展開など誰も分かりません。実は、ここに大きなリスクが存在するわけです。多くの投資家は、永遠のテーマでもあるこのような問題で常に頭を痛めているのです。

そこで、このような問題を解決する方法はないのでしょうか。これらのリスクは軽減できないものでしょうか。そして、そのリスクを最小限にとどめることはできないものでしょうか。

これらの問題を解決し、長期間にわたる継続的な運用を可能にするひとつの売買手法をご紹介します。
■ペア・トレードの基本

ペア・トレードは、異なった二つの銘柄の一方を「買い」、他方を「売り(空売り)」として、組み合わせて売買するため、売りまたは買いの利益と損失を相殺することによって、相場全体の変動を吸収することになります。つまり、相場全体の今後の予測や方向性を無視しても収益を上げることができるという大きなメリットがあります。

このようにペアでの売買により、たとえ相場が暴落したとしても売り(空売り)銘柄が、また逆に相場が急騰したとしても買い銘柄が、それぞれ保険(ヘッジ)の役割を果たすため、不測の事態でも大きな損失を被らないで済むという仕組みです。

更に掘り下げて考えて見ましょう。
一般的に、個々の銘柄においては、そのファンダメンタルズをベースに変動するものではありますが、それ以上に相場全体の影響を受け大きく揺さぶられることがあります。暴落などがその例です。

暴落などの相場全体への影響は、組み合わせたペアの銘柄の各銘柄にも同じような影響を及ぼします。とすれば、理論的には、組み合わせたペアの銘柄の各銘柄にも同じような影響となるわけですから、これらは共通の因子とみなすことができるはずです。

そこで考えられることは、これらの影響はおおむね共通であるわけですから、組み合わせた各銘柄において相殺されるはずです。相殺された後に残るのは、各銘柄の独自の要因となります。

各銘柄の独自の要因とは、各銘柄のファンダメンタルズや株価水準などではないでしょうか。つまり、売りと買いの銘柄を同時に持つことにより、相場全体から受ける共通因子は相殺されるわけですから、ペア・トレードにおいては、各銘柄の独自の要因の分析のみでの売買が可能となるはずです。

よって、相場全体の予測や方向性を考えることなく、非常にシンプルな形で売買ができる素晴らしい投資手法であると言えます。
■ペア・トレードはなぜ安全性が高いか

一般的な売買において、相場全体がボックス圏、つまり往来相場であったなら、ある程度は高値、安値の目安は付くものです。そのようなボックス相場では、逆張りが効果的であり、経験の少ない投資家でも利益を得ることは可能でしょう。

ボックス相場とは、それは相場の調整期とも言えます。今までのしこり玉の整理と次のステップへ展開するためのエネルギーの蓄積期でもあるのです。そして、調整が済むと、そのボックス圏から大きくブレイクして、上か下に抜け出していくのです。

たとえば、このボックス圏内で買い付けしていたとします。その後、株価はボックス圏から抜け出し、下に展開していったとします。当然ながら、ボックス圏内で買い付けした銘柄は大きな評価損を抱えることになります。

一般的に、ボックス圏を脱した株価は、トレンドを形成し一方通行的な展開となるケースが多く見受けられます。そのため、この大きな評価損は、どこまで膨らむか分かりません。つまり、リスクが増大したということになります。結局は、どこかで損切りをしなければならないわけですが、このような片張りでの売買は大きなリスクをはらんでいることを絶対に忘れてはいけません。

片張りにおける空売りなどでは、損切りしなければ、その損失は、ある意味では無限大と言うことにもなりかねません。片張りにおける売買では、損切りが必須のアイテムとなります。

一方、ペア・トレードにおいては、前項で説明しましたとおり、理論的には相場全体から受ける共通因子は相殺されるわけですから、各銘柄の独自の要因を適切に分析された後の組み合わせのサヤにおいては、片張りのような一方通行的な変動とはならず、そのサヤの変動はボックス圏内での変動にとどまる傾向があります。

サヤの変動がボックス圏内での変動傾向であれば、その売買の判定も容易になるというものです。

ペア・トレードでは、相場全体の変動に左右されず、そのサヤにおいては片張りのような一方通行的な変動は少なく、そのため、リスクを最小限に収めることが可能であり、よって、投資における安全性は確保されることになります。

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