リスクと売買ルールと・・・

投資とは、そこに発生するリスクを受け止めながらも、将来に対して利益という見返りを求めるものです。投資家は、リスクを抑えながら、いかに多くのリターンを上げようかと日々努力し、投資活動を行っています。

こうした投資活動の中で、投資家を一番悩ますものはやはりリスクです。投資にはリスクがつきものであることは理解しつつも、その対策に頭を痛めているのが現状ではないでしょうか。

このリスクは、投資家を大いに悩ませ不安に陥れます。これらの悩みや不安は、常に投資家に影のように付きまとい投資判断を狂わせるという結果になります。

投資とは「長期間にわたり継続して運用する」ものであり、その過程において収益が積み上がってくるものです。しかし、その継続性を絶たれるのもリスクです。

リスクとは、その投資判断を狂わせ、投資の継続性が絶たれてしまう大きな壁となって投資家の前に立ちはだかっています。投資家は、このリスクという問題から逃げることはできません。

これからも投資活動を続けていこうと考えるならば、このリスクという問題を正面から受け止め、これらと対峙して解決していかなければなりません。

また、投資家の悩みや不安を解消する手段として、売買ルールの明確化があります。正しく構築された売買ルールは、投資の継続性という点からみても非常に有効であると思います。

投資活動においては常に決断を迫られます。これらの銘柄は投資対象として適性だろうか、また、持ち株を決済するべきか、それとも持続するべきかなど決断の連続です。

投資家であれば誰でも体験されていると思いますが、これらの決断も投資の成果により大きく左右されるものです。成績が良ければ強気になり、成績が悪ければ弱気となって、そこに投資の一貫性は見られません。

投資においては、そこに損益が発生するため投資家の感情が大きく揺さぶられるものです。しかし、投資においては、そこに感情移入せず淡々と事務処理をするがごとく処理していくものであると考えます。そのためには、明確な売買ルールの構築が不可欠となってきます。

効率的な売買ルールの構築は容易なことではないのですが、努力を惜しまず継続することによって、その成果は確実に自分のものとなってくるはずです。

明確な売買ルールにより、投資家の裁量的な判断を排除し、運用における精神的な負担を軽減することによって継続的な運用が可能となります。そして、継続的な運用が収益の積み上げとなってきます。明確な売買ルールによる売買は、システム売買と呼ばれ、今後の投資手法の主流になると思われます。

投資家は、これからも長い投資活動を継続していくものと考えます。そのためには、そこに投資家自身の明確な投資方針や投資哲学が存在しなければなりません。確固たる投資手法の確立により継続的な運用が可能となって、初めて投資家本来の目的が達成できるものではないでしょうか。

上記の内容につきましては、当欄でも何度もくどいほど解説してまいりました。なぜなら、現在においても、これらの考え方は何ひとつ変わっていないからです。私の投資方針は、一貫して投資におけるリスクの回避策、そして売買ルールの明確化(システム化)にあります。

今までには、歴史的な相場の最安値や大暴落、そして大底からの上昇のなど、さまざまな相場の局面においても、その投資方針の軸はブレることなく解説してまいりました。また、テクニカル分析を中心にしたトレンドフォローの手法、分散投資などについても、その投資方針を変更することなく一貫した姿勢を貫いてきました。

「投資の世界には正しい答えはない」と言われていますが、ある程度正しいと考えられる方向性は必要となってくるはずです。私は、今まで多くの投資指南書を読み、また、誰にも負けないくらいのシミュレーションを行ってきました。

これらの体験から、やはり、投資の世界においては、リスクコントロール、売買ルールの明確化、トレンドフォロー手法、分散投資は、投資における必須アイテムではないかと改めて感じる今日この頃です。

個人でもできる裁定取引

一般的に、裁定取引は機関投資家や大手の金融機関が行うものであるという認識があります。たしかに、裁定取引は、日経 225先物を売って同時に日経平均の採用銘柄を買い付けして運用しますので、それらの資金量からしても個人投資家が参入できるものではありません。

<裁定取引の定義>
裁定取引とは、広義には「2つの資産について価格差のある場合」に着目、「割高な一方を売り、割安な他方を買う」ことにより利ざやを取る投資行動をいいます。

しかし、これらの裁定取引の有利性を利用して、個人投資家においてもこれらに類似した取引はできないものでしょうか。裁定取引の理論的優位性に着目し、個人投資家でも運用可能な裁定取引について考えてみましょう。

現在、個人投資家向けに「日経 225mini」が利用できますので、これらを利用した裁定取引について考えてみましょう。

「日経 225mini」とは、
日経 225miniは、日経平均株価(日経 225)を対象にした株価指数先物取引で、将来の特定の日に日経平均株価(日経 225)の100倍を現時点で取り決めた値段(約定値段)で売買することを約束する取引です。

株式投資のように売買代金を支払うのではなく、証拠金と呼ばれる担保を差し入れることで取引ができるので、少ない資金で比較的大きな取引ができるという特徴があります。また、取引対象が日々のニュースで伝えられる日経平均株価(日経 225)ですので、初めての投資家でも親しみやすく参加できます。

「日経 225mini」の特徴は、
・日経 225miniは従来の日経 225先物取引のミニサイズとなる商品です。
・日経 225先物取引のメリットはそのままで、少ない資金から取引ができます。
・信用取引のように「金利」や「貸株料」が不要です。
・売りからもスタートできる。
・倒産リスクがない。

以上のような特徴があり、これらの活用方法によって個人投資家にも大きなメリットを享受することができます。

個人でできる裁定取引とは、
基本的には、割高銘柄を売り(空売り)、割安銘柄を買い付けするという考え方です。そこで、個人でできる裁定取引は、割高とされる売り銘柄として、日経 225miniを採用します。

日経 225先物の理論価格は、現物価格より満期までの金利の分(現在はマイナス金利ですが?)だけ割高となっているため、基本的に、日経 225miniを割高銘柄として採用します。複数の割高銘柄をパッケージにして空売りし、日経 225miniを買いにまわすようなことはしません。日経 225miniは、常に売り銘柄とします。

一方、割安とする買い付け銘柄として、日経 225採用銘柄の中から資金量にあわせて、現物株をパッケージにして買い付けます。これらの間でサヤの裁定取引を行います。

裁定取引は、日経平均採用銘柄のすべてをパッケージにして売買しますが、個人でできる裁定取引では、日経平均採用銘柄の中から特に割安となっている銘柄を数銘柄選択し、これらをパッケージにして、先物とのサヤを取るという仕組みです。

そこで、割安株として採用する銘柄の選択となりますが、これらは、やはり日経平均採用銘柄( 223銘柄)の中から選択しますので、その選択もある程度容易ではないかと思います。

これらの割安株を選択する方法として、ある銘柄の1年前の株価と現在の株価を比較して算出します。たとえば、過去1年前の株価が500円で、現在の株価が600円であった場合、現在の株価水準は、20%=(600-500)÷500×100となります。

これらの方法で、日経平均採用銘柄のすべてを計算し、割安な銘柄順にランク付けをします。割安な銘柄順にランク付けされた銘柄を投資家の資金量に合わせて複数銘柄を選択し、それらをパッケージにして日経 225miniとの裁定取引を行うわけです。

売買は、これらを一括で仕掛けて、サヤが縮小した時点で一括で決済します。裁定取引ですから、すべて一括売買です。非常に簡単な手法ですが、いくつかの注意点があります。

まず、パッケージにした数銘柄の買い銘柄においては、各銘柄の株価変動率(ボラティリティ)をある程度同じような変動幅の銘柄にすることや、日経 225miniとの相関性など。また、日経 225miniとパッケージにした銘柄との投資金の配分など、仕掛け前に検証しなければならない点はいくつかあります。

多くのメリットもあります。まず、基本的には裁定取引であるため、理論的裏付けがあること。安全性や安定性が高いこと。また、相場変動に対しヘッジをかけているため、相場に振り回されないこと。銘柄選択においても、限られた銘柄からの選択であるため、その作業も容易であること。情報や材料などを必要としないなど。

私は「投資とは、長期間にわたり継続して行うものである」と常々提唱しています。投資を継続するためには何が必要なのか、また、投資家の精神的な安定を図るにはどうすれば良いのかなど、投資家は、これからも続く投資活動に対し、これらの問題点と正面から対峙しなければなりません。

時代は日々進化しています。投資市場においても、当てもの的な旧態然とした手法から脱却し、あらゆる可能性を追求すべき時代となっているのではないでしょうか。

詳しくは、拙著「ロング・ショート戦略、勝利の方程式」等を参考にしてください。

くれぐれも、ルール厳守で・・・

ある経済関係の新聞社から取材を受けた。その取材内容は、個人投資家向けの損切りの方法と塩漬け銘柄の対処法についてであった。

新聞社のアンケート資料を見せられたが、それらはかなりのデータであり、現在の個人投資家の実態が如実に現れていた。その資料から、個人投資家がどのような銘柄を保有し、どの株価水準で仕掛けたかが伺い知れた。

それらの資料から直感的に感じたことは、多くの個人投資家が保有している銘柄は、メジャーな銘柄、つまり、日本を代表する大型銘柄であった。たとえば、みずほ銀行、トヨタ、NTT、日本航空、ソニーなどであった。

個人投資家が、これらの日本を代表する大型銘柄を保有することは、ごく自然のことであろう。投資ということであり、名の知れた有名ブランドの銘柄を保有し、今後の日本経済を信頼し長期保有と考えてのことでしょう。

これらの投資行為に対しては何らの問題はない。ある意味では、投資の正統派として賞賛されるべきであろう。しかし、これらの銘柄が塩漬けになっている。そこで、これらの銘柄を今後も持続するべきだろうか、それとも・・・、となってくる。

これらについて、私は次のように答えた。まず、これらの銘柄を保有しようとした目的が何であったかということです。そのひとつとして、資産株として、配当などを受けながら長期保有と考えていたのか、それとも、キャピタルゲイン狙いの保有なのか。

もし、資産株としての保有であれば、株価の上げ下げに一喜一憂せず、今後も持ち続けるべきであると。また、キャピタルゲイン狙いであれば、即処分するべきであると。そもそも、キャピタルゲイン狙いで保有したものの大きく評価損を出し、今さら売るに売れない状況であれば投資家失格である。

キャピタルゲイン狙いで保有したものの塩漬けになってしまい、どう対処したら良いのかなどの質問には、その答えはない。振り込め詐欺に遭ってしまってから、どうしたら良いのかと言うのと同じである。

また、多くの個人投資家が有名ブランド銘柄を保有する根拠として、「名前が知れているから」「つぶれる心配がないから」「安心だから」等の理由によるところが多い。しかし、これらは、投資で利益を上げるという前提であれば、その根拠が希薄ではないだろうか。

さらに、それらの銘柄を損切りできない理由として「その銘柄に入れ込み過ぎ」がある。有名ブランド銘柄だから将来有望であるという確信のもとに、多少の株価の下落にも耐えてきた。しかし、ここにきて株価は大きく下がり頭を抱えている。

有名ブランド銘柄だからといっても、いつまでもブランドでいられるはずはない。時代は刻々と変わっている。入れ込み過ぎれば、恋は盲目となるように「あばたもえくぼ」となる。

ある銘柄が大型増資があるからといって買い付けした。しかし、増資後は株価低迷となり、どうしたものかと質問があった。冷静に考えれば分かることであるが、増資をするということは発行株式数が増加することであり、これらは株価低迷の要因のひとつにもなる。その銘柄もブランド銘柄であった。

相場の世界は非情である。投資家が入れ込んだからといって、それに答えてくれるような世界ではない。投資家ももう少し割り切った考えで対応しなければならない。入れ込みすぎるから損切りができなくなる。

話は戻りますが、その担当記者は「損切りはどのようなルールで実践すれば良いのか」という質問が多くきていると言う。これらに対して、私に意見を求めてきた。

私は「その人たちは損切りの重要性を認識しているのでしょうか」と質問したら、ほとんどの投資家は「YES」と答えたと言う。そこで私は、冷たく「投資家が損切りの重要性を認識しながらも損切りができないのだから、それらは投資家自身の問題であって、その対処法はない。投資家本人が解決する問題である。」と答えた。

私もちょっと言い過ぎたかなどと反省しつつも、それが現実ではないだろうか。私は常々「投資の成果は、投資家の性格に回帰する」と述べています。「ここで損切りをするんですよ」と手取り足取り説明しても、それらを実行するのは、最終的には投資家自身なのです。結局、本人の問題となってしまうのです。

社会には法律というルールがある。ルール違反をすれば罰せられる。投資の世界にもルールがある。このルールを守らなければ「損」という罰を受けることになる。くれぐれも、ルール厳守で挑んでいただきたい。

与えられた環境の中で・・・

近年の世界経済は国境という経済的障壁が消滅し、世界全体がひとつの経済圏になりつつあります。これらにより1990年以降の世界経済は、IT革命の進展とともにマネーのグローバル化が進み、現在では世界各国への自由な投資が可能となってきました。時代の潮流からすれば当然であると思います。

特に新興国、とりわけ東南アジアなどは、今後高い経済成長が期待されます。これらの市場を総称してエマージング・マーケットと呼ばれています。新興国は、豊富な資源、安価な労働コストなどを背景に経済が活性化し成長を続けています。

このような背景から、新興国ファンドがブームになり、多くの証券会社や銀行は、これらのファンドの売り込みに躍起になっているようです。投資家が利用している証券会社からは、このようなセールス・メールマガジンが毎日送られてきます。

そのような中、会社を退職し老後に不安を抱いている団塊の世代は、将来のために何か利回りの良い投資先はないものかと捜し求めています。そこに、このような新興国ファンドなどのセールスがあると真剣に見入ってしまいます。

当然です。そこには何と「利回り6%」などと書いてあるのです。その利回りの高さに心が動かされます。そして、退職金をこの利回りで回せば老後は安心だななどと妙に納得してしまいます。

不動産業界のことわざに「目に届かないところの不動産は買うな」という格言があります。これは、あまり有利な条件であっても、目が届かず管理の行き届かない不動産は買うなという格言です。

これらの格言は、今ブームの新興国ファンドやその他のファンド購入においても同様なことが言えるのではないでしょうか。行ったこともない国、その国の政治情勢も理解せず、ただ、利回りが良いというだけで投資しても良いのでしょうか。為替リスクや税金など理解しているのだろうか。

もちろん、海外情勢に詳しく、それらのファンドの内容などを熟知しているのであれば、この限りではありませんが・・・。しかし、利回りが良いから、今ブームだからなどの雰囲気だけで決め込むのもいかがなものだろうか。

ある投資家が言った。これからの日本は経済成長は見込めない。デフレ状況にあり、不動産価格も低下している。今後は高齢化社会となり、福祉などへの負担が多くなるなどネガティブな内容を一気にまくしたてた。そして「これからの投資先は海外だね」と言って話が終わった。

この話は、何年か前の話ではあるが、確かに今まで日本経済を支えてきた団塊の世代も中高年となり第一線を退いた。これらから考えると、日本経済も人間の年齢にたとえると中高年の時代であろう。今後は日本経済も緩やかな下降線を辿っていくのだろうか。

上記の投資家は、足元(日本)での運用がうまく行かなくなったため、その打開策として海外投資を選んだ。その海外の投資先はベトナムであった。当時は「これからはベトナムだ」というブームが起こり、多くの投資家がベトナムに向かった。

以前にも解説しましたように、投資家は、現在利用している投資手法がうまく行かなくなると、また他の手法へと次々と渡り歩いていく。気持ちは分かるが・・・。

同様に、日本の金利が低いため高利回りな海外のファンドへ、日本での運用がうまく行かなくなると海外へ、今の投資手法がうまく行かないと他の手法へと、次々に変えていく。変えていくというより、逃げていくといった方が正しいかもしれない。

現在、日本経済は低迷状況にある。中小企業や商店も苦しんでいる。しかし、私は、どのような状況におかれても生きる道はあると考えています。嘆いていても何も始まらない。考えることです。そして行動することです。

投資の話に戻りますが、上記の投資家のように日本株での運用がうまく行かなくなると、「もう日本株はダメだ」と決め付けてしまう。足元の日本株の運用でもうまくいかなければ、どこに行ってもうまくいくはずがない。日本経済が低迷するのであれば、空売りという手法だってあるじゃないですか。

銀行にお金を預けても利息も付かないと嘆く。そこでセールスの「有利ですよ」と言う口車に乗せられて、利回りの高いファンドなどを購入してしまう。有利なのはセールスマンのほうではないのか・・・。利息が付かないのは、デフレだからです。デフレであるから利息は付かなくても、元金が目減りするような心配は必要ないのだが・・・。

投資の成績が芳しくないと嘆く。そして、相場が上昇しないからなどと相場のせいにする。投資家は、それ相当の努力はしてきたのだろうか。嘆き悲しむ前に、それ相当の勉強をしてきただろうか。

私が信条としている言葉がある。『与えられた環境の中で最大限の努力をする』、これをベストをつくすと言う。

本質へのアプローチ

今年に入って株式市場はやや上昇傾向ですが、その変動幅は小さく上昇もちあい状況にあります。投資家にとって、もちあい相場は、やっかいな相場展開です。特に、私のような順張り投資手法においては、成績もいまひとつと言ったところでしょうか。

私の投資コンセプトはテクニカル分析であり、情報や材料といったものには一切頼ることのない投資方針であることは、すでにご存じてあると思います。

ある情報を得て相場上昇と判断したとしよう。とすれば、空売りはすべて手仕舞い、どてん買いに回るはずです。もし、それができたとしよう。しかし、問題はそれからです。

なぜなら、どてん買いに回った銘柄をどこで利食いするかの問題が発生するからです。日経平均がどこまで押し上がるかを考えなければなりません。実際に、これらの材料が市場にどれだけのインパクトを与えるかの判断は専門家でも難しいところです。

買った銘柄は、売らなければ損益が確定しません。的確に利食いができて、はじめて利益を上げることができるわけです。買いのタイミングを材料によって判断できたとしても、その材料によって利食いポジションを的確に判定することは困難を極めます。

よって、情報や材料での売買では、それらが市場に与える影響まで判断することは難しいということになります。また、情報などによる売買が空振りになることだってあります。結局、その確率は際限なく50%に近づくのではないでしょうか。

まず、テクニカル分析では、市場の先行指数の作成は不可能であるということです。ウェブサイトなどでは、あたかも、これからの相場展開が分かるような分析指標の解説しているところもあるようですが、これらにおいても結果的には無理です。予測はできても当りません。

情報や材料を採用しないテクニカル分析は、突発的な株価変動には対応できないという弱点を十分に理解しておいてください。なぜなら、テクニカル分析は、過去のデータをよりどころに分析を行う統計学であり、「過去のデータから分析すると、現在は、こうなっています」と判定することが限界なのです。

統計学においても突発的な事象には対応できないものです。では「テクニカル分析は株式分析には利用できないのでは」という投資家の意見もあると思います。私は、テクニカル分析は、その統計学上から突発的な現象には対応できないと言っているのであって、それ以外では、体験上、非常に効率的に機能すると考えています。

テクニカル分析は、突発的な現象には対応しきれないものの、それ以外では効率的に機能しますので、理論的に構築されたテクニカル分析においては、長期的な視点から見ればトータル的にはプラスの収益を生むはずです。突発的な現象では「損切り」以外の対処はないでしょう。

信頼できる投資手法を持たない投資家であれば、一時的な収益の悪化が生じると、運用をストップするか、または別の投資手法へと鞍替えしていくでしょう。信頼できる投資手法を持たない投資家は、いつも「迷える子羊」となります。

私は常々申し上げています「投資とは長期間にわたり継続して運用するものである」「継続は力である」と。投資とは、このような視点からアプローチすべきであると考えますが、いかがでしょうか。

何事においても、目的に向かって突き進む途上では、何らかの障害が発生するものです。その障害を乗り越えるか、乗り越えられず戻ってしまうか、これらの決断により、人間としての真価が決定付けられるものです。強い信念を持って突き進むべきです。

投資とは、荒波を越えてひたすら前に進んで行くものである・・・。

腹八分

投資において、「売り」と「買い」のどちらが難しいか。誰でも底で買って天井で売りたいと思っています。しかし、偶然はあっても狙い撃ちで、底、天井を捉えるのは無理というものです。何事でも「腹八分」であれば十分でしょう。

ところで、買い方、売り方のどちらが有利であるかお分かりですか。株価をある一定の水準から、上昇した場合と下降した場合の株価分布の統計を取ってみると、断然、買い方が有利であることが分かります。当然といえば当然なのですが・・・。

買った銘柄が倒産してしまえば投資金はゼロとなります。投資金からの率で見れば100%の損失です。一方、株価上昇となれば上限が100%ということはありません。500%だって、1000%だってあり得ます。

これらは、買い方が有利だから投資では買いのみにして、空売りはするなということではありません。空売りにおいては、その利幅に限界があるものの、実際に売買してみると分かりますが、買い方も売り方もそう大差はないものです。買い方であっても、簡単に2倍になるまで持ち続けることは困難なわけですから・・・。

空売りは怖いからやらないという投資家も多い。これらの多くは知識の欠如からくるもので、しっかり理解して実践すれば空売りも買いも同じです。株価チャートをひっくり返してみれば買いも売りも同じではないですか・・・。

株式市場でコンスタントに利益を上げていこうとするには、やはり空売りは欠かせないものです。よって、空売りを絡めた売買は必須のものとなります。

もし、今後の相場見通しが正しく判断できたとします。そして、その判断が相場下降と判断を下した場合、買いのみで売買している投資家は、しばらくは休みということになります。「休むも相場」とも言いますので、それはそれで正しいと思うのですが・・・。

私の話で恐縮ですが、私は株式投資を生業としていますので、もし、今後の相場展開を下降と判断したときには、やはり買いのみでは休まなければなりません。しかし、株式投資を生業としている者にとっては、いつ回復するか分からない相場を指をくわえて待っているわけにはいかないところです。

そこで、どうしても下降相場では空売りを採用する必要に迫られます。売り方は、買い方に比べ不利であるなどと言っている場合ではありません。果敢に空売りを仕掛けて売買を継続していきます。実際に、最近の暴落を含めた相場展開では、空売りで多くの収益を得ています。

すでにご存知のように、私の売買は、買いと空売りを利用した運用手法を採用しています。なぜ、このような複雑なシステムに至ったかということですが、それにはそれなりの理由があるのです。

私の分析システムは、基本的には株式投資をビジネスとして捉えたシステムであるということです。株式投資を職業とするならば、上記で説明しましたように、相場が下降だからと言って休むわけには行きません。どのような相場展開になろうとも休むことなく、売買を継続していかなければなりません。

投資の究極は、投資利回りにあるわけです。相場が下降だからといって投資金が休んでいては、その利回りも低下します。投資金の一部で投資して、たとえ多少の利益を上げたとしても、その利回りは、投資金(投資のために準備した資金)に対する利回りで考えなければなりません。

そこで株式投資を生業としている私としては、どのような相場展開になろうと継続的な運用ができ、また準備した投資資金をフル稼働させることができる売買手法を考えざるを得なかったわけです。

試行錯誤の上、「どのような相場展開でも・・・」については、買いと空売りの両建てによる売買手法を考えました。そして、これらを適切に判定するヘッジ比率(ポジション比率)を採用することにしました。ヘッジ比率も一朝一夕で、でき上がった指数ではありませんが、現在では、他では見られない私のオリジナル指標です。

更に、「投資資金をフル稼働させる・・・」については、同銘柄における買いから空売りへ、空売りから買いへの「どてん売買」を採用することになりました。「どてん売買」によって、投資金を休ませず運用することが可能となります。

ひと口に「どてん売買」と言っても、「どてん売買」を採用するにあたっては長い歳月がかかったのは言うまでもありません。なぜなら、投資手法で一番難しいとされる手法は「どてん売買」だからです。いまだかつて、インターネットのサイトでも、完全な「どてん売買」手法(分析システム)を紹介した記事は見たことがありません。

「どてん売買」が難しいとされるのは、同銘柄で継続して買いと空売りを行うわけですから、買いにおいても、また売りにおいても両方を満足するポジションでの売買を実行しなければなりません。これらの買い売りの転換ポジションを長期間にわたり的確に当てていかなければならないわけですから・・・。

これらの転換ポジションを後から見てみると、おおむね、買いは底値から上がったところ、空売りは天井から下げたところとなっています。決して、買いが底、空売りが天井とはなっていません。客観的に見ると効率的ではないように思いますが、結果的に「腹八分」のポジションで売買しているということになります。

私なりに考えると、「どてん売買」に採用されているような「腹八分」の売買ポジションがベストではないかと思っています。底や天井などは後になってからでなければ分かりませんし、底を確認してからの買い、天井を確認してからの空売りが現実的であると考えます。相場格言に「頭と尻尾はくれてやれ」という言葉もありますように・・・。

私の分析システムは、以上のような経過を辿り、オールラウンドの運用システムとして構築されています。

自分のことは自分で・・・

1兆円を超える負債で倒産した会社を調べてみました。1位 協栄生命保険 4兆5296億円、2位 リーマンブラザーズ証券 3兆4314億円、3位 千代田生命 負債 2兆9366億円、4位 日本リース 負債:2兆1803億円、5位 マイカル 負債:1兆6000億円、6位 日本航空インターナショナル 負債:1兆5279億円、7位 タカタ 負債:1兆5024億円、9位 日榮ファイナンス 負債:1兆円、などです。

もちろん、これらの企業はその後消滅したり、再建されたり吸収合併されたりしている企業もあります。企業であってもそれなりのリスクを背負って運営されているわけです。

日本航空は、会社更生法に基づき経営再建を目指し、48年間の上場会社としての歴史に幕を下ろし、市場から退場した。そして、東京証券取引所で最終売買日を株価1円で迎えた。日本航空の株数は6割程度を個人株主が占めていたという。その後に再上場を果たしました。

私も若いときに海外へ出かけ、外国の空港で鶴のマークの飛行機を見るとホッとしたものでしたが・・・。以前は、誰も日本航空が倒産するなど考えてはいなかったでしょう。日本航空が経営難であるという話を聞いても「何とかなるだろう」と思っていたに違いない。

しかし、その甘え体質が消えず、ついに法的整理に追い込まれてしまった。不倒神話を信じていた個人株主も大損でその責めを負うことになった。株主優待券を目当てに購入した投資家もいたでしょうが、結果的に、やぶへびになってしまった。これらの状況を客観的な立場で、投資という前提で考えれば、何があってもおかしくはないのだが・・・。

経済は生き物であり、大きく成長することもあるが、倒産という憂き目にあうこともある。投資家であれば、このようなことは常識であり、これらを受け入れて投資活動をしているはずです。つまらない思い込みや入れ込みが通用しない世界であることも十分承知しているはずです。

日本航空は、もともと国営企業であった。そのためか「親方日の丸」的な甘え体質になっていたのだろうか。もともと、日本人は「国のやることだから」などと言って、国に依存する体質がある。日本国民だからやむを得ないのだが・・・。

私は、あまり国に依存する考えは持っていない。国民年金を見ても分かるだろう。社会保険庁のオンライン化したデータにミスや不備が多いこと等が明らかになり、国会やマスコミにおいて、社会保険庁の年金記録のずさんな管理が指摘され、国民から批判されている。そして誰も責任を取らない。

企業年金のない中小企業の会社員らが加入する個人型確定拠出年金(日本版401k)で、掛け金を増額する人が増えているという。老後に備えたいというニーズが多いのだろうか。

個人型確定拠出年金401(k)には明らかな問題がいくつかあるにもかかわらず、マスメディアで人気の金融専門家たちは、相も変らず、この年金プランの恩恵をしつこく売り込んでいる。その本質を見極めないと大変なことになる。

現在は分からないが、会社には「持ち株会」なるものがあった。毎月給料から一定額を天引きされ、定期的に自社株を買っていくものである。この方法は、ドル平均法的な投資手法であり、長期投資には向いているように思う。しかし・・・。

その手法はともかく団塊の世代が現役引退した。その団塊の世代の歩んできた道を辿ってみよう。団塊の世代の頑張りによって日本も成長してきた。「持ち株会」では、相場の如何にかかわらず定期的に買い付けしていくわけだから、相場の天井でもバブルの絶頂期でも買い付けしていることになる。

団塊の世代を日経平均と合わせて見てみよう。団塊の世代の歩んできた期間を日経平均の移動平均線で比較すると、現在の株価は移動平均線の下にあるのではないだろうか。つまり、平均で損をしていると言うことになる。

団塊の世代が退職したときには、日経平均は最安値になってしまう。何をか言わんやである。しかし、これらの現象を客観的に考えれば当然の結果である。なぜそうなるか、各自で考えてみてください。その答えが見出せるはずです。

賢明な方は、ここで私が何を言わんとしているかお分かりであると思います。つまり「自分のことは自分で考えなさい」と言うことです。他人の勧めや依存体質を捨てて、自分のことは、自分で考え自己責任で行動するべきであるということです。

投資においても然りです。根拠の分からない情報や他人の意見を取り入れるのではなく、自分の考えで、自分の意志で行動するべきです。たとえ、それが失敗したとしても、それは経験という財産になります。

「儲かりますよ」と言うセールストークは、私に儲けさせてくれるのではなく、儲かるのはセールスマンであるということを・・・。

ペア・トレード

■投資に対する考え方  (投資の基本)

多くの投資家は、いかに多くの収益(リターン)を上げるかに日々努力しています。ある投資家はファンダメンタルズ分析で、ある投資家はテクニカル分析でと、その手法は変われどもリターンの大きさを求め、その研究を惜しみません。

投資の世界には常に危険(リスク)が付きまとい、その収益(リターン)とは表裏一体の関係にあることはどなたでもご存知であると思います。つまり、投資とは、リスクとリターンがシーソーのようなバランスの関係にあるということです。

多くの投資家は常にリターンの大きさに関心を持ちます。大きいリターンを求めるのは大いに結構なことですが、それだけで良いのでしょうか。少し視点を変えて見てみましょう。

もし、リスクを最小限に抑えることができれば、そのバランスであるリターンも大きなものとなってくるのではないでしょうか。私は、投資の本質はここにあるのではないかと考えています。

投資の世界は、どのような投資手法であっても、その運用においては長期間にわたる継続的な売買において収益が積み上がっていくものです。運用途中に暴落などに遭遇し、運用継続が困難となるようでは、本来の投資の目的も達せられないことになります。しかし、今後の市場の行方など誰も分かりません。

一般的な投資の考え方において、今後のマーケットの方向性は非常に大きなファクターとなることは事実です。今後のマーケット展開が分かれば相場で勝つことは容易になります。しかし、投資の世界はそう甘くはありません。専門家であるアナリストやシンクタンクであっても、その方向性を当てることは至難の業です。

ましてや、個人投資家レベルで今後のマーケットの展開を予想し、実際の運用に結び付けていくということは非常に困難です。

つまり、投資家の成績は、この「今後のマーケット展開」に大きく左右される結果になります。しかし、今後のマーケット展開など誰も分かりません。実は、ここに大きなリスクが存在するわけです。多くの投資家は、永遠のテーマでもあるこのような問題で常に頭を痛めているのです。

そこで、このような問題を解決する方法はないのでしょうか。これらのリスクは軽減できないものでしょうか。そして、そのリスクを最小限にとどめることはできないものでしょうか。

これらの問題を解決し、長期間にわたる継続的な運用を可能にするひとつの売買手法をご紹介します。
■ペア・トレードの基本

ペア・トレードは、異なった二つの銘柄の一方を「買い」、他方を「売り(空売り)」として、組み合わせて売買するため、売りまたは買いの利益と損失を相殺することによって、相場全体の変動を吸収することになります。つまり、相場全体の今後の予測や方向性を無視しても収益を上げることができるという大きなメリットがあります。

このようにペアでの売買により、たとえ相場が暴落したとしても売り(空売り)銘柄が、また逆に相場が急騰したとしても買い銘柄が、それぞれ保険(ヘッジ)の役割を果たすため、不測の事態でも大きな損失を被らないで済むという仕組みです。

更に掘り下げて考えて見ましょう。
一般的に、個々の銘柄においては、そのファンダメンタルズをベースに変動するものではありますが、それ以上に相場全体の影響を受け大きく揺さぶられることがあります。暴落などがその例です。

暴落などの相場全体への影響は、組み合わせたペアの銘柄の各銘柄にも同じような影響を及ぼします。とすれば、理論的には、組み合わせたペアの銘柄の各銘柄にも同じような影響となるわけですから、これらは共通の因子とみなすことができるはずです。

そこで考えられることは、これらの影響はおおむね共通であるわけですから、組み合わせた各銘柄において相殺されるはずです。相殺された後に残るのは、各銘柄の独自の要因となります。

各銘柄の独自の要因とは、各銘柄のファンダメンタルズや株価水準などではないでしょうか。つまり、売りと買いの銘柄を同時に持つことにより、相場全体から受ける共通因子は相殺されるわけですから、ペア・トレードにおいては、各銘柄の独自の要因の分析のみでの売買が可能となるはずです。

よって、相場全体の予測や方向性を考えることなく、非常にシンプルな形で売買ができる素晴らしい投資手法であると言えます。
■ペア・トレードはなぜ安全性が高いか

一般的な売買において、相場全体がボックス圏、つまり往来相場であったなら、ある程度は高値、安値の目安は付くものです。そのようなボックス相場では、逆張りが効果的であり、経験の少ない投資家でも利益を得ることは可能でしょう。

ボックス相場とは、それは相場の調整期とも言えます。今までのしこり玉の整理と次のステップへ展開するためのエネルギーの蓄積期でもあるのです。そして、調整が済むと、そのボックス圏から大きくブレイクして、上か下に抜け出していくのです。

たとえば、このボックス圏内で買い付けしていたとします。その後、株価はボックス圏から抜け出し、下に展開していったとします。当然ながら、ボックス圏内で買い付けした銘柄は大きな評価損を抱えることになります。

一般的に、ボックス圏を脱した株価は、トレンドを形成し一方通行的な展開となるケースが多く見受けられます。そのため、この大きな評価損は、どこまで膨らむか分かりません。つまり、リスクが増大したということになります。結局は、どこかで損切りをしなければならないわけですが、このような片張りでの売買は大きなリスクをはらんでいることを絶対に忘れてはいけません。

片張りにおける空売りなどでは、損切りしなければ、その損失は、ある意味では無限大と言うことにもなりかねません。片張りにおける売買では、損切りが必須のアイテムとなります。

一方、ペア・トレードにおいては、前項で説明しましたとおり、理論的には相場全体から受ける共通因子は相殺されるわけですから、各銘柄の独自の要因を適切に分析された後の組み合わせのサヤにおいては、片張りのような一方通行的な変動とはならず、そのサヤの変動はボックス圏内での変動にとどまる傾向があります。

サヤの変動がボックス圏内での変動傾向であれば、その売買の判定も容易になるというものです。

ペア・トレードでは、相場全体の変動に左右されず、そのサヤにおいては片張りのような一方通行的な変動は少なく、そのため、リスクを最小限に収めることが可能であり、よって、投資における安全性は確保されることになります。

厄介なもちあい相場

最近の株式市場を長期スタンスで見ると「大きなもちあい状況」にあります。相場には、上昇、下降、もちあいとありますが、一番厄介なのは、やはり「もちあい」状態ではないでしょうか。もちあいは往来相場とも言い、方向性が定まらず、利幅取りも難しいものとなります。

相場変動の多くは、もちあい状態にあるとも言われています。「大もちあいは大相場」と言う格言もあります。相場が上がることもなく下がることもなく、もちあい状態が長く続いたあとには、大相場に発展する可能性が大きいという格言です。

では、なぜこのようなもちあい状態が発生するのでしょうか。もちあいを別な角度から見ると、それは相場の調整期とも言えます。今までのしこり玉の整理と次のステップへ展開するためのエネルギーの蓄積期でもあるのです。

大きく上昇した後のもちあい、大きく下降した後のもちあい。いずれも長く走り続けた後の休憩みたいなものです。投資家は、このような時期を嫌います。なぜなら、利益が上がらないからです。

もちあいの厳密な定義はありません。もちあいは、いつ始まっていつ終わるかも分かりません。もちあいは、投資家にとって非常に厄介な相場状況です。投資家は、もちあい相場に入ると利益が上がらなくなり思い悩みます。自分の投資手法が悪いのかなどと・・・。

焦った投資家は、相場格言の「もちあい放れにつけ」と言うことを思い出し、もちあいからブレイクしたところで仕掛けたものの、再びもちあいに引き戻され、参った、参ったとなってしまう。やはり、もちあいは一筋縄ではいかないものです。

もちあい相場では、逆張りで細かな売買が効果的とされています。しかし、もちあいは、いつ始まっていつ終わるかも分からないわけですから、もちあい期に細かく稼いできたものの、その後の大きなブレイクの一瞬で今までの利益が飛んでしまうということにもなりかねません。このように、もちあいは投資家にとって非常に厄介な相場展開です。

つまり、相場は簡単には儲けさせてはくれないということでしょうか。では、このようなもちあい相場では、どのような姿勢で臨むことが良いのでしょうか。

現在がもちあい期であるか否かの判断は、まず、株式市場(TOPIX等)の長い株価チャート(10年程度)を見てみることです。視覚的に現在の株価の推移と全体の変動を比較することによりある程度理解できると思います。これらは視覚的ではありますが、相場判定の分析指標を持たない投資家ではやむを得ないところです。

また、個別銘柄においても同様に判定します。一般に、個別銘柄において、短期的には、上下の変動幅が20%以内での変動をもちあいと呼んでいるようです。

通常では、もちあいは長くても6ヶ月程度で解消されるものですが、そこは相場のこと、必ずしも確定的なものではありません。6ヶ月は信用取引の期日でもありますので、それらにより、どちらかにブレイクすることもあります。しかし、これらを先読みして売買することはお奨めできません。

現在がもちあい期であると判定できたなら、収益が上がらないことに焦らず、持ち株を注意深く観察しつつ、あれこれ考えず持続された方が賢明かと思います。「急いては事を仕損ずる」と申しますので・・・。

当然ながら、もちあい期においては、その収益も低下し、売買が逆になってうんざりする場面もあるかもしれません。しかし、現在がもちあい期であることを理解できていれば我慢もできるはずです。まずは現状の相場展開の把握にあります。

現在の相場状況も理解せず、自分の成績ばかり見て判断しているから焦って下手を打ってしまうのです。「木を見て森を見ず」となってしまいます。そういう時こそ、焦らず投資家自身の売買ルールにのっとって淡々と売買することです。

「辛抱する木(気)に、金がなる」

景気循環

景気循環とは、経済全体の活動水準である景気において、循環的に見られる変動のことであることは周知のとおりです。これらの状況を異なった視点から見るとどのようになるでしょうか。

日本経済を日経平均に照らし合わせ、その推移を見ていくと・・・。日本経済は、1968年には国民総生産(GNP)が資本主義国家の中で第2位に達し、この経済成長は世界的に見ても稀な例であり、終戦直後の復興から続く一連の経済成長は「東洋の奇跡」と言われた。

1973年の第四次中東戦争をきっかけに原油価格が上昇し、オイルショックに陥ったことで戦後初めて実質マイナス成長を経験し高度経済成長時代は終焉し、その後は安定成長期(1973年~バブル崩壊の1991年まで)へと移行した。

高度経済成長時代の終わりは、第二次ベビーブームも終わらせ、1980年以後の日本は少子化の道を歩むこととなった。バブル崩壊以後も実質経済成長は続いており、右肩上がりの時代が終わったわけではないが、株価的には、1989年末からのバブル景気崩壊で戦後の右肩上がりの「高度経済成長」の時代の終了としても良いだろう。

私は、これらの一連の推移を「団塊の世代」と照らし合わせてみた。ちなみに「団塊の世代」と命名したのは、先日お亡くなりになりました作家の堺屋太一氏である。団塊の世代は、戦後の昭和22年から24年に産まれ、前後の世代に比べて極端に人口比が高く、第一次ベビーブームと呼ばれている。

彼らは常に競争の中にいた。同世代の人口が多いため、まず受験戦争に巻き込まれた。その後、その溢れるエネルギーは、安田講堂事件などの学生運動を起こし、そして最後に連合赤軍事件を起こした。ベトナム戦争反対運動やヒッピー文化など、社会に大きなインパクトを与えた。彼らは、古い既製の価値観や多くの社会の矛盾を追及した時代でもあったのかもしれない。とにかくエネルギッシュであった。

その後、彼らは社会に出て行った。しかし、そこでも競争が待ち構えていた。競争に落ちこぼれないように家庭も顧みず頑張った。彼らの頑張りで、日本の経済も高度成期には、世界から「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とまで言わしめた。

そのような中、バブル崩壊が起きた。団塊の世代は40代の働き盛りであった。バブル崩壊まで、日本経済を高度成長させたのは、その前の世代の戦後復興を願った人達と、彼ら(団塊の世代)の競争から産まれた頑張りであったのではないだろうか。

団塊の世代は良く働いた。サバイバイルの中、会社人間となって夜遅くまで働き、休日も接待ゴルフなどで、ほとんど家庭も顧みず働いたた。そのような中、産まれたのが「団塊ジュニア」である。

その後、団塊の世代も中年となり、その活力は失われつつ、それらと共にするかのように日本経済も活力を失われつつあった。会社人間となった団塊の世代は、その過程の中で何か置き忘れてきたものはなかっただろうか。家庭での団欒はあっただろうか。子供達とのコミュニケーションはあっただろうか・・・。

日本経済もバブル崩壊をもって高度成長は終了となった。そして世代交代となり、その後、団塊ジュニアが社会に出て行った。しかし、そこに待っていたのは景気低迷による就職氷河期であった。低成長経済下では、その収入も限られ生活水準も自ずと制限されてくる。

団塊ジュニア達は、このような状況下で、家庭を築くも多くの子供を持つこともできず、結果的に現在の「少子化」という問題につながってしまった。父親不在の生活を送ってきた団塊ジュニア達は、「ニート」「フリーター」などの社会現象を引き起こした。それだけではない。団塊ジュニアの親である団塊の世代がリタイヤし、高齢化となってくる。

年金問題もこのようなところから発生する。現在の社会の中心であろう団塊ジュニアは、現状では、リタイヤした団塊の世代の親達を支えることはできなくなり、今後の大きな問題となってくる。

振り返れば、景気循環説もさることながら、この半世紀、日本の社会、経済は団塊の世代と共に歩んできたとは言えないだろうか。これらの視点から、今後の日本経済を判断すると、自ずと結論が出てくるのではないでしょうか。

「ものづくりの日本」と言われて久しい。これらも団塊の世代が作り上げてきた。しかし、ここにきて団塊の世代も高齢者となり、社会の第一線から退くことになる。しかしながら、物は作れなくても、今まで競争の中で培ってきた知識や経験は十分にあるはずです。

これらを「知的財産」として、大いに活用してはいかがでしょうか。